読書感想文(360)『更級日記』(角川ソフィア文庫)
はじめに
こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は久々に古典です。
感想
『更級日記』は元々それほど好きだったわけではないのですが、作者がとても身近に感じられる点はとてもいいなと思いました。
この作品を自分なりに位置づけるなら、夫や他の人を失った悲しみを創作によって乗り越えようとする作品、です。
これは『和泉式部集』の帥宮挽歌群などに近いです。そういえば『源氏物語』もそういう説もあったような。
作者はこの日記の中で何度も、物語にばかり執着して仏道修行を疎かにしたことを悔いています。
そして、大人になってから今度は仏道修行に夢中になります(この一途さは変わらないですね笑)。
しかし、この日記そのものがそうであるように、作者は「書く」ことによって自分自身を見つめています。
それは恐らく、子供時代に夢中になって物語を読み漁った経験が生きているでしょう。
この作品のもう一つ良かったところは、歌枕を実際に訪れてがっかりしていることです。
例えば松尾芭蕉などは遠い過去に思いを馳せることで様々な名所を堪能しており、それはそれで良いのですが、やはり和歌で素晴らしい場所だと思っていた所がそうでもなかったらがっかりするのが本音だと思います。
作者はそれを正直に書いているので信用できます。しかもそんな作者が語る猫の話はまるで物語なのですから、面白いです。まあ実際、きらびやかな幻に浮かれる人がいたり、小説より奇天烈な現実があったりするよなぁと思います。
おわりに
今回はビギナーズ・クラシックスでサラッと読みましたが、また近いうちに全文読みたいなと思います。
ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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