読書感想文(318)エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(鴻巣友季子訳)

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久々に『嵐が丘』を読みました。
この本を読んだのは大学四年生の頃だったと思います。
作者の姉であるシャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』を読み、とても面白かったのが読んだきっかけだったと思います。
英文学科の友人がこの本のことを話していたおかげでもあります。

今回久々に読もうと思ったのは、翻訳された鴻巣友季子さんの講演を今度聴きに行くからです。

感想

記憶通り、内容が重たく、読むのにやや時間がかかりました。
文章自体は読みやすいのですが、続けて100ページくらい読むと、一息つきたくなってしまいます。
現代日本ではなかなか実際に見ることのない非道な行いの数々が、心を疲労させます。
精神的な苦痛だけでなく、物理的な暴力が多く描かれるのが、この作品の苦手なところです。

「結婚したことは風の便りに聞いたよ、キャシー、つい最近。さっき下の庭で待っているとき、俺はこんな計画をねっていたんだ――きみの顔をひと目だけ見て帰ろう。きっときみはたまげて目を瞠り、うれしそうな振りをする、その顔を見るだけにして、あとでヒンドリーへの積もる恨みを晴らす。その後は、みずからに刑を下して法律に手出しはさせない、とね。ところが、きみに歓迎されて、そんな考えもけしとんでしまったよ。(中略)」

P203

この作品をどう理解するかはとても難しく、中でもヒースクリフの内心はなかなかわかりません(私の読解力の問題も大いにあります)。
しかし前半、キャサリンがまだ生きている頃はヒースクリフが自分の心を打ち明ける場面も多かった気がします。その中で目に止まったのがこのセリフです。
ヒースクリフはこの時、元々は自殺する予定だったのですね。これは、自分を罰することは自分以外に許さないという、強い意志のようなものを感じます。
けれどもキャサリンに歓迎されて考えを改め、そのキャサリンは亡くなり、その後のヒースクリフは何を考えていたのでしょうか。
復讐といえば簡単ですが、ヒースクリフ自身もどこまで自分の心を理解できていたのか、終盤の心情の吐露を考えると疑問です。

ところで、ヒースクリフがキャサリンの幻影を見るに至ったきっかけは何だったのでしょうか。
これも私の読解力不足かもしれませんが、ヒースクリフという男は何を考えて生きていたのか、やはり理解できません。

おわりに

よくあることですが、今回もよくわからない感想文になってしまいました。
ものすごいエネルギーを感じるのですが、それを受け止めきれていないような感じがします。
正直、「また読み返したい!」という感じではありません。
でもいつか読み返すのかもしれないなぁとも思います。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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