読書感想文(193)室伏広治『ゾーンの入り方』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はハンマー投げの金メダリスト・室伏広治選手の本です。
どこでこれを見つけたのか忘れましたが、最近見つけて即買って即読んでみました。
最近家でなかなか有意義な活動できないので、ちょっとでも参考になればと思って手に取りました。

感想

とても良かったです。
具体的なエクササイズが書いてあるのも良かったですが、考え方がとても参考になりました。
まさに、最近考えていた効率重視に対するアンチテーゼのようなことも書かれていました。
目標・目的の為に最短距離を描くイメージというのは一見効率重視のように見えますが、言葉を敢えて変えさせてもらえば最短距離ではなく最速距離、つまりもっとも短時間で着く距離を考え、そのためには遠回りに見えることもあるということです。
直線、二次関数曲線、サイクロイド曲線の例えがとてもわかりやすく、これも様々なことを学んでいる著者だから出てくる表現だなと思いました。

そう、この本を読んでいて印象的だったのが、著者がとても博識であることです。
ハンマー投げの為にハンマー投げ以外のことも積極的に学んでいる姿勢、原因や解決法を求め続ける姿勢に尊敬しました。
室伏広治はこれまで天才のイメージがあったのですが、やはり金メダリストともなると才能だけでなく努力の量も範囲も方法も並大抵ではないのだと思いました。余談ですが、他にも色んな有名人の本を読んでみてもいいなと思いました。

この本で紹介されていた集中法について、国語を中心に勉強してきた私は一言でその概念を捉える事ができました。
「無為自然」です。
著者は自分のこだわりだけを貫くのではなく周囲と調和することが大切だと考えているようで、私はこれを無為自然と捉えて自分の中に収めました(学問的な意味は違っていると思いますが)。

無為自然を意識することによって自分の実力を最大限発揮することを初めて経験したのは、高校生の頃の体育の授業でした。
二重跳びのテストがありましたが、私は余計な力が入ってしまって2回以上連続で飛ぶことができませんでした。
そこで目を閉じて、自然のあるがままに、縄と心を一つにして、二重跳びが自然であるイメージをもってやってみると、いとも簡単にできてしまいました。一度できてしまえばその感覚を繰り返すだけです。
その後も、競技かるたでは無為自然を意識し、自分の腕が剣であり、鞭であるイメージをもって試合に臨んでいました。
そのような経験があったので、私は著者の考えをごく自然に受け入れることができました。

本題とは関係ありませんが、この本を読んで初めて「難民アスリート」という存在を知りました。
もう一つ、「虚室生白」という荘子の言葉も印象に残りました。心を空っぽにしていると光が差し込んでくる。この精神は大切にしたいです。

おわりに

大変読みやすい本で、自分の中にしっかりと落とし込みたい内容だったので、また読み返したいと思いました。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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