読書感想文(219)岡本太郎『青春ピカソ』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は岡本太郎の本です。
昨年、岡本太郎展に行く直前に『自分の中に毒を持て』を読み、その文章に圧倒されました。
そして、岡本太郎展でまたしても圧倒されました。
圧倒圧倒と芸が無いようですが、是非岡本太郎の作品を見て下さい。
展示室に入る前から、遠くに見える強烈な作品達の気迫が押し寄せてくるようでした。

感想

さて、そんなこんなで読んでみたのですが、この本の内容は結構難しかったです。
ピカソとの対談の部分などは読みやすかったのですが、ピカソ論については理解しきれませんでした。

一つ印象に残ったのは、キュビスムの絵に対して、原型を読み取ろうとする者にはわからない、と書かれていたことです。
キュビスムは私が大学時代に少しだけ学んだ芸術論の中でも感激したものの一つで、当時はそれがピカソのごく一部でしかない事を知って、知らないながらにピカソの偉大さを感じました。
しかしキュビスムも、鑑賞者のリテラシーが高ければ、ピカソがどのように対象物を分解して再配置したのかがわかるのだろうと思っていました。自分はまだその境地には辿り着けてないという思いがありました。
しかし、キュビスムは決してそのような再生を求めているわけではない、とのことです。
なるほど、そういうものなのかな、と思いました。

また、キュビスムに関連して、岡本太郎がブラックについて「よき趣味好尚のブラックの作品では、形式は内容と完全にマッチしている。だからこそ退屈極まりない」と書いていたのも印象的でした。
先日、大阪中之島美術館と国立国際美術館が共同開催している、具体美術協会の作品展に行った時、なぜこの位置にこの色や形が用いられるのか、そこに必然性はあるのか、と自問しました。
しかし、その必然性を求める自然もまた問いかけるべき対象であるのだろうとすぐに思いました。
形式と内容が合っていること、また合う組み合わせを追究する事も一つの道なのだろうと思う一方、岡本太郎はその延長ではなく全く新しい道を切り拓こうとしたのだろうと思います。

おわりに

わからない部分も多くありましたが、これを理解できるようになることも指針の一つとして、これからも勉強していきたいと思います。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


この記事が参加している募集

#読書感想文

191,569件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?