読書感想文(289)みうらじゅん『マイ仏教』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はまた仏教の本ですが、こちらはエッセイです。
幼い頃仏像にハマった著者が、自分なりに仏教を生活に取り入れる方法を書いています。

感想

面白かったです。
読み始めてすぐ、「マイブームの赴くままにいろいろなことをしている人生」とあり、いいなと思いました。

著者はウルトラマンの怪獣に似ているというところから仏像に興味を持ったそうです。
人の興味はどこから生まれるのか、わからないものです。

印象に残っているのは、ウルトラマンは弥勒菩薩という話です。
ウルトラマンは地球から三百万光年離れた所からやってくるということと、弥勒菩薩は五十六億七千万年後に現れるということが結びついたそうです。
光年を時間の単位だと思っているところが、子どもらしい勘違いですが、発想はとても面白いと思いました。

あとは母校が浄土宗系の学校で皆法然上人を愛しており、クラス委員を投票で決めるとクラスメイトよりも法然上人に票が集まったそうです。どういうことやねん!と思わずツッコんでしまいます。

また、本書では仏像が中心となっていますが、そういえばこれまで読んだ仏教の本に仏像の話はほとんどなかったなぁと思いました。
仏像が釈迦の教えに反するのはわかるのですが、ではどこから仏像は始まったのでしょうか?
そういえば、バーミヤン大仏が爆破されたという話はどこかで読んだ気がします。
日本は奈良時代に鎮護国家の為に仏教を導入し、奈良の大仏が作られました。
けれどもこれまで学んできたことはお経が中心で、仏像とどのように関わるのか全く知りません。
そういえば『更級日記』では自ら仏像を彫っていました。どこでもそういうノリだったのでしょうか?

地獄についても、これまで読んだ本ではあまり言及がありませんでした。
日本における地獄の設定は源信の『往生要集』によってなされたそうですが、インドには5世紀頃の『正法念処経』に書かれているそうです。
そもそも六道に地獄も含まれていたので、その辺りの話でしょうか?
この本ではいくつか地獄が紹介されていましたが、羊やロバと性交した者が堕ちる地獄や嘘をついて他人の事業を失敗させた者が堕ちる地獄、象に酒を飲ませて暴れさせた者が堕ちる地獄など、様々で面白そうです。
また、著者は「それぞれの地獄は約7万キロ離れているので、亡くなった家族や友達に死んでから会えるとは限らない」というようなことを書いています。
友達が何か悪いことをしていた時、それを止めるのではなく、一緒に悪いことをするのが友達だ、という言説の根拠はこんな所にありました。同じ地獄に行けば、短くとも1兆年以上一緒にいられるのです。その間は獄卒に殴られたり切られたり鉄の塊に押しつぶされたりと散々な目に合いますが、友情があればきっと乗り越えられるはずです。

最後に、仏教とは関係ありませんが、中三の頃にギターを買ってもらい、毎日4曲作ることをノルマにして、卒業までに400曲以上創った、という著者のエピソードがありました。
シンプルに、すごいなぁと思いました。
自分もそんなふうに熱中して、没頭して、生きるぞ!と思いました。

おわりに

とても読みやすいので、すぐに読み終わりました。
今回は仏教について、仏像や地獄に興味を持てたのが良かったです。
仏教としてはお経の方がまだ興味がありますが、仏像について知れば博物館などで楽しみが増えますし、地獄について知れば持ちネタが増えるような気がします。
こんな感じで興味を拡散させつつ、沢山学んでいきたいです。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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