読書感想文(60)島田紀夫監修『すぐわかる 画家別 印象派絵画の見かた』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

先日あべのハルカス美術館で開催中の「ポーラ美術館コレクション展」に行ってきました。
印象派を中心とした絵画を鑑賞し、その後ミュージアムショップでこの本を購入しました。

感想

それぞれの画家の特徴や経歴が簡潔にわかりやすく書かれていて良かったです。
印象派が起こった背景などもとてもわかりやすいので、入門用に良いのではないかと思います。
それにしても芸術家はやはり色々なことを考えているなぁと思いました。

それぞれの画家について一人ずつ書いていくと分量が多くなりすぎてしまうので、何人かピックアップしようと思います。

まず最も気になっていたのがポール・ゴーガンです。
なぜなら以前読んだサマセット・モーム『月と六ペンス』の登場人物・ストリックランドのモデルと言われているからです。
残念ながら小説と絡めて考えることはできなかったのですが、「裸婦習作」 の裸婦があまりナイスバディではないのが印象的でした。この作品は第六回印象派展に出品され、批評家ユイスマンスから「裸体を描いた現代作家のなかでも、これほど激しく真実を見つめた者はいない」と絶賛されたそうです。
そういえば東洲斎写楽も似たようなことを言われていたような気がします。
写実的に描かれた絵画はリアリティがありますが、真実を描くというのはまた別の話です。
ちなみにこの「裸婦習作」はプロのモデルではなく家政婦を裸にして描いたため、妻メットの怒りを大いに買ったそうです笑。

他に気になったのはエドガー・ドガです。
「エトワール」という踊り子の絵が代表作とされていました。
それを見た時に、このタッチの踊り子をロンドンナショナルギャラリー展で見たことがあるような気がしました。
すると、構図は全然違いますが、やはりドガの作品がありました。
ちょっとわかったのが嬉しかったです。
一方、ドガが描いたモチーフの一つとして浴槽シリーズがあるそうです。そういえばポーラ美術館コレクション展でも浴槽の絵があったぞ、と思いましたが、これは別の人の作品でした。残念。

そして印象派といえばクロード・モネです。
代表作として「サン・ラザール駅」という汽車の絵が紹介されていました。
これはすぐに、ポーラ美術館コレクション展で別の角度から描いた汽車の絵があったのを思い出しました。
煙の表現としてはポーラ美術館コレクションの方が面白いように感じました。

また、この本を通して読むと、印象派の中で題材や描く場所が被っているものが多くあることがよくわかりました。関心に共通するところが多くあったのでしょう。一方で内部分裂のようなものもあったようです。

印象派は普仏戦争後に復興して急速に発展していくパリという環境で絵を描いていたというのも面白いなと思いました。
激動の時代の芸術というのはやはり力があるものです。
ポーラ美術館コレクション展の第一部で近代化がテーマになっていた理由がわかりました。

少し話が逸れますが、読書を趣味にしているものとしては、作家のエミール・ゾラが気になりました。
エミール・ゾラは印象派を支持していたようで、それに関する作品も残しているようです。
文庫本で読めるようなので、そのうち読んでみようと思います。

おわりに

まだまだ付け焼き刃の域を超えませんが、また少し美術の知識を得られて良かったなと思います。
事典的な使い方もできそうなので、今度またこれらの画家の作品を観に行く時にはこの本で復習しようと思います。

というわけで、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

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