コロッケをつくる。
ある火曜日、赤福さんより連絡あり。
近くのペットショップのかわいい猫さんに関する報告であった。
告白すると、我々は最近、モーレツにコロッケを食べたかった。そのため、ついでにコロッケ屋さんに行こうぜということで、同日夜に見に行くことになった。
ちなみに、なぜも週のはじまりに近い火曜日からペットショップくんだりまで急いで行くかというと、前回、のんびりかまえていた私たちはお気に入りのエキゾチックショートヘアさんとの出会いの機会を逸しているからである。
火曜日は、本当はブリ照りを作ることになっていたのだが、そちらはそちらで赤福氏が作ってくれることになった。ありがたい。赤福氏のブリ照りはおいしいのだ。
+ ぶり・・ 2切れ
+ 小麦粉・ まぶす用
照り焼きのタレ
+ みりん・・大さじ2
+ 酒・・・・大さじ1
+ 砂糖・・ 大さじ1
+ 醤油・・ 大さじ1
1 骨取る
2 小麦粉をまぶす
3 ちょいサラダ油で焼く
4 タレを混ぜて一煮立ち
ちなみに我が家のブリ照りのレシピは「つくおき」リスペクトである。
本だと、小麦粉なのです。
しかしながら、おうちに着くと、シロさんは行っても良いという感じだが、ふわさんは乗り気ではないようであった。
夕方の外出はめんどいのであろう。こりゃもうしゃーないな、やめるか。と思ったが、すでにファーストコンタクトを果たしていた赤福氏が、実物と写真は違うよ、やっぱり一度見てみないとわからないこともあると思う、と言う。
すごくかわいかったんだ!と目が語る赤福氏の姿に
うん、たしかにそうかも。
ってなことを思った私もすぐ参戦し、説得側に回ることにした。少なくとも今のところ、猫はビット数で表現できないのだ。手触りも、あの毛並みも。(あとでわかったけど、あの背中の匂いも)
しかし、援護射撃のつもりで私が発した「ついでにコロッケを」は、赤福氏の「いや、今日はブリ照りもあるし、明日、手作りのやつにしよかと思って」バリアに即座に跳ね返された。
「あ、そっかそっか」と私。
まぁ、ふわさんは、ブリ照りのほうが好きだしな。というわけで、結局、「まぁちょっくら行ってみようぜ」ってな感じで、負担感をなるべく小さくしてインドア気分のふわさんを連れ出すことに成功した。実のところ、ペットショップは近いのだ。
自転車をシャーッとこぐと、すぐにお店に着いた。外から見たことはあったけど、中に入るのは初めてだ。入口のそばで私たちに気づいた店員さんは「あぁ、来てくださったんですね」と赤福氏をささっと案内し、「抱っこしてみますか?」と私たち家族4人分の席(抱っこスペース)まで作ってくださった。
そして、うわさの猫さん(実物)は、写真以上におそろしく美猫で、美しすぎるくらいであった。とても人なつっこくて、毛はやわらかい長毛の男の子だ。たぶん、人間だったら、姉の推薦でジャニーズ事務所に入り、歌とダンスをしこたま教えこまれ、ショービズ会の荒波にもまれる運命をたどることであろう。
ん、何の話だっけ。
あ、そうそう。猫さんの話だ。私たちはすっかり舞い上がり、「この子と暮らしたい」モードであった。しかも、前回の痛手がまだ新しいので、「この機会を逃すとまた縁を失うのではないか」という心配もあった。一緒に暮らすための値段は安くはない。でもそれは命を預かるのだから当然だと思う。それよりも……
私は遠回しにあのことを聞いてみることにした。
「あの、男の子と女の子って何か違うんでしょうか?」
「女の子はツンデレ傾向で、男の子は甘えん坊さんって感じですね」と店員さん。
それは、お店に行く前に、同じ質問をした赤福さん経由に聞いていたが、「そっかー、そうなんですねー」で応える。いや、聞くべきことはちゃんと聞こう。
「あの、スプレー行為というか、オスの子ってわりとナワバリのためのおしっこをしたりするって聞いたことがあって」
「やっぱりそれは個体差がありますね。去勢するとまた違ってくるみたいです」という。
ちなみに、
思春期前に去勢・不妊手術を行った場合も
オスの10%、メスが5%でスプレー行為が残るケースがあるらしい。(注1)
でもまぁ、そうよね。そんなのどうなるかなんてわからんよね。ということで、とりあえず、私たちは決断した。この猫と暮らす!
予約金を支払い、店を出る。
帰ってブリ照りを食べる。
で、猫のことを思う。
本当に決断してよかったんだろうか。
次の日はコロッケにした。平日から、コロッケを作る。料理のお手伝いが好きなふわさんは「ミックスナッツ」を鼻歌で歌いながら上機嫌でパン粉をつけていて、手作りコロッケ提案者のシロさんは『コジコジ』を読みふけっていた。
今回のテーマ曲はきっとこっちだ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?