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理系論文まとめ2回目 APL Photonics 2023/7/5 ~ 2023/6/16

科学・社会論文を雑多/大量に調査する為、定期的に、さっくり表面がわかる形で網羅的に配信します。今回もマニアックなAPL Photonicsです。

さらっと眺めると、事業・研究のヒントにつながるかも。
世界の先端ではこんな研究してるのか~と認識するだけでも、
ついつい狭くなる視野を広げてくれます。

プラズモニックナノサスペンションという非線形現象は面白いですね!
プラズモニクス最高!


一口コメント

Versatile and robust reconstruction of extreme-ultraviolet pulses down to the attosecond regime
アト秒領域までの極端紫外パルスの汎用的で頑健な再構成
化学反応の解明を目指して
困難な紫外線(XUV)スペクトル領域での超短パルスの時間的特性を正確に決定する計算する手法の確立

Nonlinear generation of hollow beams in tunable plasmonic nanosuspension
可変プラズモニック・ナノ懸濁液における中空ビームの非線形生成
光を自由に操作することを目指して
「プラズモニックナノサスペンションを利用して非線形ホロービームを生成し、その過程と特性を詳細に解明した研究」
Opto-mechanical fiber sensing with optical and acoustic cladding modes
今まで見れなかった光ファイバー外のセンシングを目指して
「光ファイバーのクラッドモードを活用し、これまで光が直接到達しなかった媒体の光学的および弾性特性を監視する新しいセンシング概念を紹介した研究」
Aperture-encoded snapshot hyperspectral imaging with a lensless camera
小型広帯域のハイパースペクトルカメラを目指して
「レンズレスのスナップショット型ハイパースペクトルカメラを開発し、広範囲のスペクトルで低コストでコンパクトなハイパースペクトルイメージングを可能にした」
Capturing ultra-broadband complex-fields of arbitrary duration using a real-time spectrogram
~THzオーダまでの広帯域の計測手法を目指して
「電気光学的な時間レンズと分散伝播に基づく線形光学的な時間イメージングの概念を導入し、広帯域の波形を長期間にわたりキャプチャし、超広帯域のスペクトログラム解析を可能にする新たな時間周波数解析方法を提案した」
Lensfree time-gated photoluminescent imaging
小型チップ顕微鏡を目指して
「時間ゲート型レンズフリー光ルミネッセンスイメージングシステムを開発し、ユーロピウムキレート蛍光体の長寿命を利用し、物理的フィルターなしで高解像度のルミネッセンスイメージングを達成した」
Kerr nonlinearity and group velocity dispersion of InGaAs/InP and GaAsSb/InP waveguides in the mid-infrared
環境モニタリング、医療診断、産業プロセスの監視、通信応用を目指して
「In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InPリッジ導波路のKerr非線形性と群速度分散を四波混合により測定し、これらの材料がチップ上の中赤外周波数コム生成と超連続光源の開発に有望であることを確認した」


要約

Versatile and robust reconstruction of extreme-ultraviolet pulses down to the attosecond regime

https://doi.org/10.1063/5.0145325


①事前情報:
超短パルスの時間的特性を正確に決定することは、時間分解実験の正確な解釈に重要です。これは特に、極端な紫外線(XUV)スペクトル領域で挑戦的です。

②行ったこと:
研究者は、ガス中での高次調和生成によって生成される超短XUVパルスの再構築のための新しいアプローチを提案し、シミュレートされたデータと実験データの両方に対して検証しました。

③検証方法:
新しいアプローチは、二色光電離過程の簡略化された描写を提供する新しい数学的記述を中心に据えています。この新しいアプローチは、現在使用されている再構築技術と比較して、XUVパルスの時間的特性を大幅に低い計算コストで正確に取得することができます。

④分かったこと:
この新しいアプローチは、他の現在使用されている再構築技術と比較して、柔軟性、信頼性、ノイズや取得アーティファクトに対する堅牢性の点で優れていることがわかりました。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究の独創的な点は、二色光電離過程の新しい数学的記述を提供することで、XUVパルスの時間的特性を大幅に低い計算コストで正確に取得する新しいアプローチを提案していることです。これにより、パルス特性の柔軟性、信頼性、ノイズや取得アーティファクトに対する堅牢性が向上しました。


Nonlinear generation of hollow beams in tunable plasmonic nanosuspension

https://doi.org/10.1063/5.0153856


この論文は、プラズモニックナノサスペンション(金ナノ粒子または金ナノロッドを含む)におけるホロービーム(ドーナツ状の光ビーム)の非線形生成について述べています。

①事前情報:
金ナノ粒子または金ナノロッドを含むプラズモニックナノサスペンションは、光の非線形反応を示すことで知られています。これは、光の強度に応じてその物質の屈折率が変化するという性質を指します。これらのナノサスペンションは、光による光制御や光制限などのアプリケーションに有用であると考えられています。

②行ったこと:
著者たちは、プラズモニックナノサスペンション(金ナノ粒子または金ナノロッド)を用いて、ホロービーム(ドーナツ状の光ビーム)の非線形生成を実験的に実証しました。

③検証方法:
著者たちは、プローブビーム(一つの波長の光)が、別の波長のポンプビームによって変調・制御されることを示しました。これは、プラズモニック共鳴周波数でのポンプビーム照射に対する強い非線形反応を示す金ナノサスペンションのおかげです。また、著者たちは、ポンプパワーを変化させながら固定のプローブパワーでホロービーム生成のダイナミクスを調査する一連の実験を行いました。

④分かったこと:
著者たちは、異なるナノサスペンションで非線形ビーム形状が異なるパワースレッショルドを持つことを発見しました。また、プローブとポンプの波長を交換できること、しかしホロービームパターンはプローブビームでのみ現れることを示しました。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究は、プラズモニックナノサスペンションにおける非線形光-物質相互作用の理解を深めるものであり、光による光制御や光制限などのアプリケーションに有用であると考えられます。また、この研究は、金ナノ粒子または金ナノロッドを含むプラズモニックナノサスペンションを用いて、ホロービーム(ドーナツ状の光ビーム)の非線形生成を初めて実証したものであり、その意味でも重要です。


Opto-mechanical fiber sensing with optical and acoustic cladding modes

https://doi.org/10.1063/5.0147301



この論文は、光ファイバーセンサーの新たな進展について説明しています。特に、光ファイバーのクラッドモードを利用したセンシングに焦点を当てています。

①事前情報:
光ファイバーは優れたセンサープラットフォームですが、標準ファイバーのクラッドとコーティングの外側の媒体の検出と分析は長年の課題でした。このチュートリアルでは、クラッドモードを利用した光ファイバーセンサーの最近の進歩を詳細に紹介しています。

②行ったこと:
研究者たちは、光ファイバーのクラッドモードを利用した2つの新しいセンシング概念を紹介しました。一つ目は、ファイバーの光クラッドモードを使用した空間的に連続した分布解析です。二つ目は、光モードではなく音響モードを含むクラッドモードセンサー概念の拡張です。

③検証方法:
研究者たちは、光ファイバーセンサーの原理と分析を詳細に提供し、実験設定と結果の例を示しました。

④分かったこと:
これらの新しいセンサーは、光がコアモードで到達しない媒体の光学的および弾性特性を監視することを可能にし、長年の課題に対処します。現在のパフォーマンスは、解像度の点数、測定範囲、感度、特異性の観点からはまだ限定的ですが、測定プロトコルはさらなる進歩の可能性を秘めています。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究は、光ファイバーのクラッドモードを利用した新しいセンシング概念を紹介しており、これにより光がコアモードで到達しない媒体の光学的および弾性特性を監視することが可能になります。これは、長年の課題に対処するための重要なステップであり、光ファイバーセンシングの新たな可能性を開くものです。


Aperture-encoded snapshot hyperspectral imaging with a lensless camera

https://doi.org/10.1063/5.0150797



この論文は、レンズレスのスナップショット型ハイパースペクトルカメラについて述べています。このカメラは、コンパクトで低コストのハードウェア構成を使用して広範囲のスペクトルでハイパースペクトルイメージングを可能にします。

①事前情報:
ハイパースペクトルイメージング(HSI)は、シーンの空間的およびスペクトル情報を電磁スペクトル全体で捉える技術です。しかし、HSIシステムは空間、スペクトル、時間領域の解像度とシステムの複雑さの間に基本的なトレードオフが存在します。

②行ったこと:
研究者たちは、レンズレスカメラの多重化能力を利用して、レンズを薄いマスクで置き換えた新しいタイプの計算イメージングデバイスを開発しました。このデバイスは、リニア可変フィルタと位相マスクを使用して、スペクトル情報をモノクロのイメージセンサにエンコードします。

③検証方法:
研究者たちは、参照カラーチャートを使用してスペクトル校正を行い、プロトタイプデバイスのスペクトルと空間の解像度、およびそのイメージング視野を検証しました。

④分かったこと:
このデバイスは、単一の測定からハイパースペクトルイメージスタックを回復することが可能で、410nmから800nmまでのハイパースペクトルイメージを取得することができました。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究の独創的な点は、レンズレスカメラの多重化能力を利用して、広範囲のスペクトルでハイパースペクトルイメージングを可能にする新しいタイプの計算イメージングデバイスを開発したことです。これにより、複雑で高価なハードウェアを必要とする従来のHSIシステムとは異なり、コンパクトで低コストのハードウェア構成を使用してHSIを実現することが可能となりました。


Capturing ultra-broadband complex-fields of arbitrary duration using a real-time spectrogram

https://doi.org/10.1063/5.0145961


この論文は、時間周波数解析を用いて波形を直感的に表現する方法について述べています。特に、広帯域の波形を長期間にわたってキャプチャすることは科学技術の多くの重要な分野で必要とされていますが、これが非常に困難であると指摘しています。そこで、著者たちは、電気光学的な時間レンズと分散伝播に基づく線形光学的な時間イメージングの概念を導入し、2Dのスペクトログラムを時間領域の1Dの波形としてマッピングする方法を提案しています。この技術により、取得のギャップなしに超広帯域のスペクトログラム解析が可能になり、最大信号持続時間に対する固有の制限がなくなります。また、この方法により、光波形が数THzにわたって広がる場合でも、一回のショットで全フィールドの特性を決定することが可能になります。さらに、高速の複雑に変調された光通信信号の正確な振幅と位相の回復を通じて、この方法をさらに示しています。
以下に、要求されたポイントについてまとめます。

①事前情報:
時間周波数解析は、波形の周波数成分が時間とともにどのように進化するかを描くための直感的な表現方法です。しかし、現在の方法では、任意の持続時間の比較的遅い(<GHz帯域)波形または短い持続時間の高速(>THz帯域)波形のスペクトログラムをキャプチャするのに適しています。長期間にわたって広帯域の波を時間周波数表現でキャプチャすることは、科学技術の多くの重要な分野で必要とされていますが、これが非常に困難であると指摘されています。

②行ったこと:
著者たちは、電気光学的な時間レンズと分散伝播に基づく線形光学的な時間イメージングの概念を導入しました。これにより、2Dのスペクトログラムを時間領域の1Dの波形としてマッピングすることができます。
③検証方法: この技術の有効性を確認するために、著者たちは、単一の光検出器を使用して、最大16 × 10^9のフーリエ変換を秒間で行い、完全に自己参照的な方法でスペクトログラムをキャプチャしました。さらに、光波形が数THzにわたって広がる場合でも、一回のショットで全フィールドの特性を決定することが可能になります。

④分かったこと:
この技術により、取得のギャップなしに超広帯域のスペクトログラム解析が可能になり、最大信号持続時間に対する固有の制限がなくなります。また、この方法により、光波形が数THzにわたって広がる場合でも、一回のショットで全フィールドの特性を決定することが可能になります。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究の最も注目すべき点は、広帯域の波形を長期間にわたってキャプチャするための新たな方法を提案し、その有効性を実証したことです。特に、電気光学的な時間レンズと分散伝播に基づく線形光学的な時間イメージングの概念を導入し、2Dのスペクトログラムを時間領域の1Dの波形としてマッピングすることができるという点は、非常に革新的です。さらに、この方法により、光波形が数THzにわたって広がる場合でも、一回のショットで全フィールドの特性を決定することが可能になり、取得のギャップなしに超広帯域のスペクトログラム解析が可能になるという点も、この研究の重要性を強調しています。


Lensfree time-gated photoluminescent imaging

https://doi.org/10.1063/5.0148217

この研究では、レンズフリーの時間ゲート型光ルミネッセンスイメージングシステムが開発され、その解像度は8.77µmに達しました。このシステムは、ユーロピウムキレート蛍光体を使用し、その長寿命(642µs)を利用してカメラ露光を励起後約50µsでトリガーします。励起光は時間的にフィルタリングされるため、物理的なフィルターは不要で、サンプルとセンサー間の距離を短縮し、解像度を高めることが可能です。

①事前情報:
光ルミネッセンスは、特定の目標に対する高い特異性を持つ光ルミネッセンスプローブを使用して、目標領域の高コントラストイメージングを可能にします。しかし、レンズフリーの光ルミネッセンスイメージングの高解像度を達成することは、放射の非干渉性がホログラフィック再構成や位相回復技術の使用を妨げるため、挑戦でした。

②行ったこと:
本研究では、時間ゲート型レンズフリー光ルミネッセンスイメージングシステムを開発しました。このシステムは、ユーロピウムキレート蛍光体を使用し、その長寿命(642µs)を利用してカメラ露光を励起後約50µsでトリガーします。

③検証方法:
ユーロピウムキレートナノ粒子を解像度ターゲットに沈着させ、時間ゲート型レンズフリーイメージングを実施しました。また、励起光源としてスパークランプを使用し、カメラ露光の開始とスパークランプパルスの間の遅延を最適化しました。

④分かったこと:
時間ゲート型レンズフリー光ルミネッセンスイメージングシステムは、解像度8.77µmを達成することができました。これは、物理的なフィルターが不要で、サンプルとセンサー間の距離を短縮し、解像度を高めることが可能であるためです。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究では、時間ゲート型レンズフリー光ルミネッセンスイメージングシステムを開発し、高解像度を達成することができました。これは、物理的なフィルターが不要で、サンプルとセンサー間の距離を短縮し、解像度を高めることが可能であるためです。また、このシステムは、他の長寿命ルミネッセンスプローブ、例えばランタニウムキレートやランタニウムドープナノ結晶、多孔質シリコンナノ粒子などにも適応可能であると考えられます。


Kerr nonlinearity and group velocity dispersion of InGaAs/InP and GaAsSb/InP waveguides in the mid-infrared

https://doi.org/10.1063/5.0151013

この論文は、In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InPリッジ導波路におけるKerr非線形性と群速度分散の測定について報告しています。これらの測定は、中赤外領域での四波混合を用いて行われ、Kerr非線形性の測定値は、低損失と低群速度分散を持つ誘電体導波路を構築するための他の材料システムで報告されたものよりもはるかに高いことが示されています。これらの結果は、In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InP材料が、チップ上の中赤外周波数コム生成と超連続光源の開発に有望なプラットフォームであることを確立しています。
以下に、要求された情報をリスト形式で提供します。

①事前情報:
In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InPリッジ導波路のKerr非線形性と群速度分散についての詳細な研究がまだ行われていなかった。

②行ったこと:
中赤外領域での四波混合を用いて、In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InPリッジ導波路におけるKerr非線形性と群速度分散を測定した。

③検証方法:
四波混合を用いて、Kerr非線形性と群速度分散を測定した。これは、二つの密接なレーザー周波数ω1とω2(ω1 > ω2)を用いて行われた。

④分かったこと:
Kerr非線形性の測定値は、低損失と低群速度分散を持つ誘電体導波路を構築するための他の材料システムで報告されたものよりもはるかに高いことが示された。
In0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InP材料が、チップ上の中赤外周波数コム生成と超連続光源の開発に有望なプラットフォームであることが確立された。

⑤この研究の面白く独創的なところ:
これまで詳細に研究されていなかったIn0.53Ga0.47As/InPおよびGaAs0.51Sb0.49/InPリッジ導波路のKerr非線形性と群速度分散について、新たな洞察を提供したこと。
これらの材料が中赤外周波数コム生成と超連続光源の開発に有望なプラットフォームであることを示したこと。


最後に
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