見出し画像

諏訪市「黄金マッハカレー」Policy is beautiful あるいは可愛らしいまでの過剰さ

店名 黄金マッハカレー
場所 長野県諏訪市四賀飯島7725
電話 0266-52-2220
ジャンル カレー屋
URL https://ougon.jimdofree.com
バリアフリー △ 入口に段差あり
駐車場 あり ただし台数が少ないので乗り合わせで来るか、いっぱいの場合はしばらくお待ち下さい。

基本的に私は

「どうでもよい」と考えるタイプなのだ。すなわち「◯◯にこだわって〜〜する」という思考にもっともほど遠い位置にいる。映画は好きだがスクリーンで観るのが最良とは思うが、だからといってDVDでも配信でも、VHSビデオでも文句は言わない。先だってアナログレコードの響きに感動はしたものの、別に音楽はCDでもサブスクでも可。あぁそういえばYouTubeも便利だよね。強いて言えば読書は紙の書籍がよい。電子は本屋に行く手間もないし、収納にも困らないからよいとつくづく思うが読みづらくて。…とはいうものの、「読みづらい」とは自らの老眼のためであるからあまり理由にはならない。

画像1

私ほど

ポリシーとかイデオロギーなどというなどという概念を持たない者はいないかもしれない。要するになんでもよいのだ。映画は観る事が出来ればよい、音楽は聴くことが出来ればよい。本も読むことが出来ればよいのだ。そしてこんなブログを書き続けている身で言うのもナニなのだが、食べるものだってなんでもよいのだ。

こうみえても

日々美味しいものを追求しているつもりだ。しかし、それはあくまでも相対的なものでしかない。その日の懐具合だったり、体調だったり、都合だったりする関係でチョイスも変わる、その場その都度で「美味さ=価値観」はころころ変化していく。したがって、高級ホテルの数千、数万円するランチも、そこいらにある500円定食も牛丼もマクドナルドも相対的な関係に過ぎず、価値はどれも変わらない。まぁクリエイター向きな性格ではないのは間違いない。

画像2

そんないい加減な

私だからこそ、強いこだわりを見せられる時に違和感を持つ。いや、「おれはこれが好きなんだ、これしか認めないのだ」という主張だけならよい。よそ様の拘泥ほと接していて面白いものはないからだ。
ただ、それを強要されるのが嫌なだけだ。これがよいからお前もやれ、自民党は最高だから党員になれ、共産党員になって赤旗配れ、S学会でI田師を信奉せよ。などとずいぶん言われ勧められてきたがうるせぇっつーの。お前らにいくら言われてもやらないし、やる時は黙って進めるから黙ってろよ。

極めて

いい加減かつ乱暴な私ではあるが、この度出会った「過剰なまでのポリシー」に面喰らい、思わぬ感動まで得た話をしたい。

画像3

諏訪は

家内が幼少期から高等学校卒業までを過ごした地で、人類や知人が現在でもいる関係から年に一度は訪れる場所だ。この時はたまたま仕事で他業した帰りに、以前手掛けた現場の確認をするためにより道したのだ。
現場の方はさほどの事はないが、少し市役所で調べねばならない事がありそちらへ向かう。増築増築で複雑化した市庁舎に迷いながらいくつかの部署を回り、作業完了した時点で13:30を過ぎている。これはいかん栄養が不足してしまう死んでしまう。という事で向かったのがこちらだ。


「黄金マッハカレー」

画像4


諏訪に大変なこだわり、あるいは過剰なポリシーを持つカレーショップがあると知ったのはついふた月ほど前の事だった。素材や調理法、味わいなどに拘泥するという店はよく知っているが、店内での過ごし方、食べ方に至るまで指定されるという。正直なところ、面倒くさいのは好まないのだが、その突き抜け方が見事というウワサを聴いて訪れる気になったのだ。

店の脇には3〜4台程度の狭い駐車場。隅の方へようやく駐車し傍らをみると壁に貼り紙1枚


「当店の駐車場は狭いのでなるべく乗り合わせで来てください。当店は回転が早いのでしばらく待ってもらえば必ず空きます」

おおおお!これかこの事か!なかなか面白いではないか。

表に回ると
「からあげカレー専門店」
「デカ盛り屋」
「黄金マッハカレー」
とデカデカ大書されている。これは大通り沿いにあるための措置だとは思うが、その反対側にはまた別のキャプションが掲示されている。

「カップル注意!」


なんじゃこりゃ?よくよく読んでみると


『初デートだと彼女が怒る場合があります。
ガッツリ喰えるがゆっくりできません。
ケンカになっても、一切責任を負えません。』

わはは、初デートでデカ盛りカレー屋さんに来るヤツなんているのか。もっとも私は2度目で吉野家に行ったが。

「ごめんなさい」

という掲示もある。


『●小学生からご入店いただけます。
●2人で1食、3人で1食はお断りしております。
●甘口カレーはありません。
●取り皿、ナイフ、フォークはありません。
●食べ終わりましたらお早めにお会計をお願いします』

おいおいおいおい、細かいなぁ。

「コロナウイルス拡散防止のご協力ありがとうございます!」


という掲示には東京・神奈川・埼玉など感染拡大地域名が挙げられていて、入店の際は免許証をみせろと書かれている。


「長野県の上田市も対象(特別警報中)」


とも書かれている。コロナ感染リスクは日本全国どこにいても同じだし、現在は感染者でいえば北信の方が多いと思うのだが。やや鼻白む思いがしたが、事情は店内で判明する。

店内は

木製の羽目板を随所で使った山小屋風インテリア。通された1階はカウンター席のみで、2階にはテーブル席が設けられているようだ。

画像5

飛沫対策ようの衝立で仕切られたカウンター席は、広くも狭くもない程よいサイズだが、あちらこちらにキャプションがべたべた貼られている。真正面には

「初めてご来店の方へ」


という小さくパウチされたキャプションがある。からあげの食べ方とこちら自慢の調味料である『とうがらし油』の使い方についての注意書きだが、これは親切なのかしつこいだけなのか。右手の壁には

「●取り皿、ナイフ、フォークはありません。
●食べ終わりましたらお早めにお会計をお願いします。」

また出て来た。いいじゃないか、ナイフ、フォークはともかく、取り皿くらい出してやれば。とはいえそれがかなりの手間なのであろう。黙っておれの作るカレーだけ喰って帰れという事か。それにしても“お”が多いよなぁ。この場合

『食べ終わりましたら早々の会計をお願い申し上げます』


だと思うが、まぁいいや。キャプションはまだまだあるぞ。クリアフォルダに差し込まれているキャプションは調理法のこだわりが書かれている。

画像6

「●カレー こだわり」


東京の有名カレー店などに行かずとも諏訪で手軽に本物が味わえる!というあおりとともにたっぷりの野菜と果物を使った超濃厚カレーが熱く語られる。『本格カレーは長時間煮込むから具材なんて溶けて無くなるのだ』という決めゼリフがかっこいい。

「●からあげ こだわり」


日本刀のような切れ味の包丁で皮をつぶさずに切り、諏訪の地酒と秘伝のタレに漬け込み一気に揚げる。ご家庭サイズの4〜5倍の大きさのからあげだ!と記されているが、それは誇張でもなんでもなく、食べるのに苦労した。

「●窒素充填スパイス こだわり」


『中身のスパイスより窒素充填アルミ袋にお金をかけた』というしぶいキャプションもあったが、これは使わずしまい。しまったァァァァァァァァァ!!!でも必要ないほど充分な味わいだったからではあるのだが。


右手の衝立はコロナ対策について

「新型コロナ 鉄のおきて」
・トイレは基本的に使えません。
・連続したセキは外で落ち着かせてください。
・少しでも具合の悪い方は入店できません。

現在ではほぼ『マナー』と化している内容だ。免許証提示もよいが、ここに体温測定も入るとパーフェクトかも。といって意味があるかどうかは定かではないが。

画像7


「マスタード」「水ピッチャー」は複数の方が触れるので、新型コロナ対策で有料とさせていただきます。1階の飲水機は無料で使えます。

まぁ、そういう事だよなあ。でも『水、セルフサービス』と書いておけばよいとも思うが。ちょっと面倒になって来たが、次の項目でイメージが一変してしまう。


本来ならば東京などの大都市圏からのお客さんを大歓迎しています。コロナ禍で売上が激減しているので入場制限を行うことは自らの首を絞める行為だと自覚しています。はっきり言って喉から手が出るほど大都市圏のお客さんにはカレーを食べてほしい。売上を上げたい。しかし、コロナウイルス拡散防止の為、泣く泣く入店をお断りしています。大都市圏の方を差別しているわけではありません。むしろお出かけを自粛していただき本当に感謝しています。コロナ終息後に必ずお礼をいたしますので楽しみにお待ちください。


神経質ではない、真面目すぎるのだ

みんないろいろ言ってきたり、世の中にも様々あるが頼むからおれの作った珠玉のカレーを黙って食べてくれ、という事なのであろう。となればこの過剰なまでのポリシーは『面倒くささ』あるいは『鬱陶しさ』を飛び越えて『可愛らしさ』にアセンションする。よしわかった。ではあんたの自慢のカレーを黙って堪能してやろうではないか。

こちらのメニューはほぼ一択
からあげ+焼きチーズをトッピングしたカレー

画像8


という構成だ。違いはからあげの枚数とご飯の量となる。『お得』『※一番売れているサイズ』というからあげ2枚並盛サイズの13がお勧めらしいが、ここはもう少し過剰にいきたい。


「13 並盛」1250円

画像9


※からあげでお腹いっぱい。
という惹句に惹かれての注文だ。縦横で5歳児の、厚みは私の手のひらくらいという巨大なからあげが3枚どん!どん!どん!と積載されている。並盛220gといえご飯が見えないが、このからあげを見て少し安心した。大盛330g、特盛550gなんてとてもじゃないが食べられない。


まずはからあげから

画像10

画像11

というか、これから始めないと食べ進められない。注意書き通り表面はカリッカリ、中は水分量が多く熱い!熱い!危うくやけどしそうになったが、想像以上に軽い。油分が少なく感じられる。どこかに高温調理が云々されていたような気がするのだが、あまりにも情報量が多いので覚えていない。

バーナーで焼き目をつけられたチーズにびっしりと覆われたカレーは見た目と違ってあっさり風味だ。少し濃度の高いカレースープといってもよいかもしれない。野菜と果物の味わいと香りが充満している。

画像12

画像13


『甘口はない』


という割に辛味は少ない。スパイシーではあるが。ただし辛味増量のためとする『とうがらし油』を加えるとまた味わいが深くなる。しかし、からあげ用という『とうがらし酢』の方が変わり具合が素晴らしい、これはよい。


一気呵成に


というのはいつもの事だが、からあげとカレーの美味さに引き込まれてがっついてしまった、というのが正解であろう。美味い美味い美味い美味い。なぜこの店が長野にないのだ。

帰る間際

次回使えるというサービス券をいただく。
『チーズをダブル増量!チーズ天国招待券』
チーズでなければ裏トッピングが出来るという。
・卵 100%タルタル
・洋食屋トマトソース味
・豚そぼろ
・カレーチャーハン
・七味マヨネーズ味
・秘伝にんにく醤油味
・駒ヶ根ソース味
・飯田のネギたれ味
これは日替わりで用意されるものなので、その場に来ないと何があるかわからないし、選択は出来ないとの事だ。うーむ、魅力的なお誘いだが、10月末までが期限だとも記載されている。これは困った。来月末までなんとかお邪魔できないか、裏面の黄金マッハ新聞8月号を読みながら思案している。

黄金マッハ新聞①


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?