トップダウンとは?
トップダウン、ボトムアップとは?
ご存知の方も多いとは思いますが、企業経営には意志決定の型として「トップダウン」と「ボトムアップ」の2種類があります。
トップダウンとは、企業におけるトップが意思決定を行い、現場社員に指示し経営することです。
つまり、社長や会長が決めたことを「鶴の一声」で従業員に命令しそれに従わせるタイプの経営です。
一方、ボトムアップとは、現場社員からの提案を基に、意思決定していく経営のことです。
つまり、現場のアイディアや意見を経営陣が吸い上げ、運営するタイプの経営です。
トップダウンのメリットとデメリット!
トップダウン型、ボトムアップ型にはそれぞれメリットとデメリットが存在します。
それぞれみてみましょう。
まずはトップダウンのメリット面です。
【トップダウンのメリット】
①スピード経営が可能
なんといってもトップダウンのメリットは意思決定が早いことではないでしょうか。
大企業に比べてベンチャー企業や中小企業はスピードが命です。
より速く新商品、サービスを投入し、一気に「スキマ」産業や市場を席巻することが可能となります。
②組織としての一体感
トップと現場社員の信頼関係があれば、組織全体に一体感が生まれやすくなります。
「連帯感」「意志疎通」に優れた組織経営が可能となり、トップのために全力で支える組織体制を生み出すことが可能となります。
③先見性のある経営者の場合、爆発的な成長の可能性がある
先見性のある経営者がトップダウンで運営することで一気に成長市場を捉え、急成長することがあります。
成功するベンチャー企業がその一例かもしれません。
次にトップダウン型のデメリット面です。
【トップダウンのデメリット】
①指示待ち人間が多くなる
トップの意志を最優先することで自分で考えられない、指示待ち人間が増える可能性が高まります。
現場での臨機応変な判断をすることが許されない体質を作るリスクもあります。
②クレームやトラブルなどの課題が共有されにくい
現場のクレームなどの些細な課題がトップまで知らされることが少なくなる可能性があります。
現場で改善すべき点なども共有されることが少なく、顧客の不満を増殖させるリスクなどもあります。
③経営トップの判断が間違っていた場合、会社存続に関わる大きなダメージを負ってしまう
トップダウンによる経営の場合、トップの判断次第で会社存続に関わる損失を招くことがあります。
一気にリソースを投入した結果、業績が伴わない場合、倒産のリスクを抱えてしまいます。
以上、トップダウンのメリットとデメリットです。
良い面もあれば、悪い面もあるのではないでしょうか。
ボトムアップのメリットとデメリット!
次にボトムアップ型をみてみましょう。
ボトムアップ型もメリットとデメリットが存在します。
まずはメリット面です。
【ボトムアップのメリット】
①現場の意見を汲み取りやすい
顧客の生の声や新しいニーズ、現場の問題点や課題などが共有されやすく、現場でよりスピーディに対応することができやすくなります。
特に営業現場では市場の動きや売上に直結する新しいアイディアなどが即時に共有され、意志決定に反映されていきます。
②自ら考え、行動できる社員が育ちやすい
現場に裁量権を与えることで、社員や現場管理者自らが考え、行動できるようになりやすくなります。
一人一人が、どうすればより良くなるのか考えることで、社員個人の能力アップにもつながりやすくなります。
③社員のモチベーションを維持しやすい
自ら考え、行動することで仕事に対する責任や誇りを持ちやすくなります。
仕事に対するオーナーシップも醸成されやすくなり、社員個人のモチベーションが上がりやすい傾向にあります。
次にボトムアップのデメリット面です。
【ボトムアップのデメリット】
①意志決定に時間がかかる
全ての現場の意見を取りまとめ、相反する内容の調整も増加、意志決定に時間がかかってしまうと言われています。
会議が増えたり、実行するまでに日数がかかるということもデメリットかもしれません。
②部門最適に陥いる可能性がある
現場に大きな裁量権を与えることでそれぞれの部門の意見対立が増加し、組織としての一体性が薄れることがあります。
会社全体のメリットより、それぞれの部門毎のメリットを強調する傾向がでてきます。
③自ら考え、発信できる人材が不可欠
ボトムアップを機能するうえで、現場で自ら考え、自ら発信できる人材が必要です。
また、チーム一人一人の声を聴き、取りまとめる中間管理職の能力も問われることが多くなります。
以上、ボトムアップのメリットとデメリットです。
一概にトップダウンとボトムアップどちらがいいかとは言い切れません。
トップダウンとボトムアップ、どちらが「企業成長力」があるのか?
それではトップダウンとボトムアップのどちらが「企業成長力」があるのでしょうか。
「企業成長力」という視点では「トップダウン」のスピード、爆発的成長力は目を見張るものがあります。
何よりも早い意志決定で一気に市場を席巻してしまいます。
何千人、何万人を抱える大手企業にはできない意志決定スピードです。
ベンチャー企業、特にアーリーベンチャーステージのベンチャー企業ではトップダウンの意思決定が強みであると言えそうです。
しかし、ベンチャー企業といえども、トップダウンにそぐわないケースがあります。
それが以下「トップダウンにそぐわないケース」です。
【トップダウンにそぐわないケース】
①専門性の高い業界やサービス
一般的には単一商品、単一サービスのような業界はトップダウンが良いと言われています。
マニュアル化した仕組みを整え、一気に全国制覇するといった店舗展開もトップダウン型の企業が多いのが特徴です。
一方、専門性が高く、現場で複雑な判断や調整が多い業界はボトムアップが良いとされています。
経営トップが全ての専門性を理解して最善の意思決定をすることが難しいためです。
②事業が多く、幅広い場合
事業が多い場合、または企業規模が大きくなり、複数の事業や部署が同時に動いている場合、トップダウンは難しくなります。
経営トップが全ての事業と部署を把握して意志決定するには限界があるためです。
事業が多く、幅広い場合はボトムアップが好ましいと言えるかもしれません。
トップダウンが必要なときとは?
トップダウンとボトムアップ。
それぞれメリットとデメリットが存在します。
事業領域や事業専門性なども含めて、一概にはどちらが正しいか、とは言い切れません。
ただ、トップダウンが必要な時があります。
それが緊急時です。
会社の倒産の命運が託されるとき。
多くの人命がかかるとき。
今は新型コロナウィルスで世界中が苦境に陥っている、非常事態。
このような緊急時には、強力なリーダーシップが必要ではないでしょうか。
最後に
名言を贈ります。
勇気ある決断と熱烈な行動力で、勝負はほぼ決まる。大切なのはそれを信じ無心になって諦めず努力する情熱だ。後は運を天に任せて開き直る潔さ。答えは近い未来に必ずはっきりする。
近藤太香巳/ネクシィーズ社長
経営者とは3歩先を読み、2歩先を語り、1歩先を照らすものである。
藤沢武夫(元HONDA副社長)
「勝ち組」「負け組」はいいけれど、「待ち組」は問題。
小泉純一郎
環境によって自分の未来が変わるのではなく、意志によって自分の未来が変わる 。
福島正伸
もし、いま「田中角栄」がいたら、新しい構想を打ち出して国民に見せていただろう。守りに入ってばかりでチャレンジしない政治家たちの中からは、新たな「田中角栄」は出てこない、と僕は思う。
田原総一郎
成功した企業は、きまって誰かがかつて勇気ある決断をした。
ドラッカー/経営学者
慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。
慎重は下僚の美徳じゃ。
大胆は大将の美徳じゃ。
司馬遼太郎『竜馬がゆく』より
「判断」と「決断」は違うということだ。ひと言でいえば、判断とは「頭でする」もの。対して決断は「腹でする」ものである。
野村克也
好むと好まざるとに関わらず、たたなければならない時がある。
田中角栄
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