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失敗させたら失敗!?

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 療育の世界に飛び込んだ時、それまでの保育の世界と全然違うように思いました。目を合わせたら怖がられ、歌を歌えば耳を塞がれ、抱っこも拒否、、、。
#みんながみんなじゃないけどね
 障害のある子ども達と付き合っていくには、根本から勉強し直さなくちゃ、と考えていました。

 今は保育も療育も子ども達との付き合い方に大きな差はないと思っています。もちろんコツやルールはあります。でもそれさえあまり意味はないのかも。結局目の前の子どもの性格や得意不得意をよーく観察して、その子にあった付き合い方を模索しながら仲良くなるのが最善。それは保育だろうが療育だろうが、もっと言えば大人同士のお付き合いにも当てはまる。


 ただ、1つだけ保育と療育に大きな違いがあります。それは「失敗させない」こと。
 保育園時代は、あえて少し難しそうなことも手を出さずに見守る事を良しとしていました。失敗しても、間違えても、そこから学ぶことは多い、と思っていたからです。子育て本にも書いてありますよね。
「親は手を出しすぎるな」

「可愛い子には旅をさせよ」
なんて言葉もあります。いろんな苦労や失敗、間違いをおかして、それらを乗り越えることがその子の知恵になり、糧になり、生きるチカラになるのだ、という教え。


 でもこの言葉、自閉症スペクトラムの子どもには当てはまらないと考えたほうが良さそうです。間違いや失敗を修正するのではなく、間違いを間違いのまま「自分のやり方」として習得してしまういわゆる誤学習をしてしまうこともあるので。

 例えば「赤」を教える場合。どうしても「青」と言ってしまう子がいるとします。
「これは何色?」
「青」
「ううん、これは赤だね」
「赤」
「そうだね、赤」



これを繰り返すとどうなるか。
「これは何色?」
「青、、赤」
「ん?何色?」
「青、赤」
、、、「赤」ではなく、
「青(ずっと本人が言っていた言葉)、赤(あとから修正された言葉)」
つまり「青、赤」
と覚えてしまうのです。これを「誤学習」といいます。

じゃぁどうするか。
「これ何色?」
「あ、、」(子どもが答えるより先に、もしくはかぶせてもいいから)
「赤だね、そう!赤だよ」
と先に正解を言ってしまうのです。
先手を打って間違えさせない、のです。もちろん一回では覚えてくれません。でも間違ったことを覚える機会もなくしてしまわなければ。誤学習してしまったものを正しく修正するのはかなり労力がいります。「ルール変更が苦手」な特性はこんなところにも出てきます。


 もう一つ厄介なこと。失敗したことが心の傷になってしまう場合もあります。失敗を繰り返すくらいならもうやらない、と決めてしまって成功体験まで行き着かないこともある。誰がなんと言おうと頑なに拒んでしまう。
 そんな時は途中まで全部やってしまって最後のひと手間だけをやらせてそこで成功体験を積ませる、という方法をとったりします。10ピースのパズルを9ピースまで作って、最後の1ピースだけはめさせてゴールさせる、みたいなやり方ですね。
#そして思いっきり褒める

 保育と療育の違い、伝わりましたでしょうか?
子どもは意外と人を見抜くもの。いろんなやり方、コツはありますが、まず第一は子どもと真摯に向き合うこと、なのかなぁと思う今日このごろです。
 たまに
「この子は私たちには見えない何かが見えてるのかしら?」
#腹黒さ、とか
とドキドキすることも。
 そんな話もまた今度。

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