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ナウシカにならなくともよいのです

 イライラしたりパニックになったりすると、机や壁に頭を打ち付けたり自分の腕を思い切り噛んでしまう子どもがいます。いわゆる『自傷』と言われるものです。これは全力で止めたい。

 でもなかなか難しかったりします。なぜなら自傷を止めようとすると、その勢いが止めに入った人(この場合親や先生が多いと思います)に向かってくるからです。手加減なく頭突きをしてきたり、あたり構わず噛み付いたりします。体の大きな子だと突き飛ばされたりすることもあります。

 この時、されるがままになってしまう保護者の方がいます。血が滲むくらい噛まれてもグッと堪えてしまったり、します。なぜか。私はナウシカの影響じゃないかなぁと思うのです。

 『風の谷のナウシカ』は大好きなアニメです。嫌いな人に会ったことはないし、そもそも、観たことがないという人にもお目にかかったことがないくらい。
 その中でナウシカがキツネリスに出会うシーンがあります。いわゆる「テト」との出会いです。初対面の時、テトは警戒心からナウシカの指に噛みつきます。しかしナウシカは顔色も変えず
「ほら、怖くないよ」
とテトに優しく話しかけるのです。テトは警戒心を解き、その後ずっとナウシカと行動を共にする…という有名な場面です。

 我が子の自傷を止めようとして自分にその攻撃が向かってきた時に、まるごと子どもを受け止めたくて、また「大丈夫だよ、怖くないよ」
と伝えたくて、ナウシカがテトにしたときのように接してしまう親御さんがいるのは、ナウシカの影響じゃないかしら?

しかーし、これは実は大問題。子どもは他人を『攻撃してもよいもの』と思ってしまいます。

 例えば、自分を噛もうとしたら止められて、別の『噛んでもよいもの』つまり『攻撃してもよいもの』を与えられた、と認識するわけですね。結果、イライラした時、パニックになった時、他人を噛むこと(攻撃すること)で気持ちを落ち着かせようとしてしまいます。可愛い我が子はテトとは違うのです。自分も他人も傷つけない、これがとても大事です。

 自分を大切にする、これは子どもにも保護者の方にももっともっと学んで欲しい事の1つ。

 それがとっても難しかった事例があります。
そんな話もまた今度。


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