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担当した本の独自書評①『LinkedIn活用大全』-「仕事で使えるSNS」の全貌-

■LinkedInとは?

仕事で使えるSNS「LinkedIn」のことを熱く語った本が出ました。

LinkedInは、2011年にアメリカから日本に導入されたSNSです。
当時は「転職専用のSNS」という触れ込みでしたが、UIがイマイチだったこと、ところどころに英語表記があり日本人の目線に立っていなかったことなどで、Facebookにユーザーが流れていった、という経緯があります。

そんな中、コロナ禍で人と会う機会が限られた際、「転職のSNS」ではなく、もっと幅広く「仕事のことを語る、ビジネス専用SNS」として、海外ではユーザー数が8億人と爆発的に増加し、日本でも再び脚光を浴びはじめているのです。

いま、SNS、HR業界の変革機運が高まる中、長年HRに携わってきた著者・松本淳さんの熱い想いとともに、この本が生まれました。

■本の構成

本書は以下のような構成になっています。

①各種設定と自分の情報作成
②ユーザー間コミュニケーションの方法
③キャリアアップに活用する(自分)
④人材採用に活用する(経営者、企業担当者)
⑤営業・マーケティングに活用する

この中で、大きく分けると、以下の2人の視点で語られます。

・キャリアアップを目指す「自分」
・有能な人をミスマッチなく採用したい「企業」

この2人について、ここから少し紹介していきます。

■思いもよらぬキャリアアップが実現する!

前半は、「自分」が発信をすることで、これまで考えもしなかったポジションを能動的に獲得していくことができる、その理由と方法がわかります。
それをもたらすのが、LinkedIn上で自分で作成する「プロフィール」です。

本の序盤で、プロフィール作成の重要性が語られます。
この本を読んでLinkedInを始める方に、ぜひ熟読してほしいポイントです。

実名なので、自分をどこまで開示すればいいものか、迷ったり、ためらったりする人が多い中、松本さんは「これはいらないだろうな」と迷うところでも必ずプロフィールに入れましょう、と言います。
将来の姿やビジョンを書くことが良いとも。
その理由は、詳細なプロフィール情報が、LinkedInのアルゴリズムにより「つながるべき相手」に届くという点です。

p160
SNSに自分のプロフィールを公開することに二の足を踏んでいる人もいるかもしれません。しかし思い切って公開してみた結果、「得られるチャンスの量が明らかに変わった」という声を多く聞きます。自分の経験や能力が、会社やその周辺の一部の人たちにしか知られていないのはもったいない状況だと思います。会社周辺のコミュニティだけに属している状態は、新しいチャンスに出会う可能性という意味ではリスクが高いといえるでしょう。
『LinkedIn活用大全』より

このように、「自分の棚卸しをする」ことの重要性が語られます。
肩肘張らず、まずは思いつく限り、自分のこれまでやってきたこと、これからやっていきたいことをプロフィールに盛り込むことが成功への近道ということがわかります。

p19
キャリアアップにおいて大切なのは「転職の成功」だけではなく、「長期的にキャリアを考える」という意識です。自分の経験をLinkedIn 上でアップデートしておくことにより、外から良い話が舞い込んでくるチャンスを増やすこともできます。
『LinkedIn活用大全』より

本書の後半にある活用者の事例では、以下のような形でプロフィールを武器に成功した人たちの取り組み方が紹介されます。

・プロフィールには入力可能な箇所に情報をすべて書いた
・自分がいずれ就きたいポジションにいる人のLinkedInプロフィールを確認して、このポジションのためにはどんなスキルを身に付けておくべきかの分析をした
・外資系企業を志望。リクルーターが英語圏の人かもしれないのでプロフィールは英語で書いた
・採用担当者はキーワードで検索をするので、検索時に引っかかるように自分の経験を抜け漏れなく記載するようにした

こうした事例の数々の他、具体的にどう発信をして、どう注目してもらえるか、そのポイントが詳細に解説されています。

■「採用」に悩む企業にも救いとなる

後半では、採用に悩む中小企業の経営者、担当者の救いとなるLinkedInの活用方法が書かれています。
企業が転職サービスを利用する際に問題となるのが、「コスト」と「採用のミスマッチ」です。
従来の主な転職者の採用方法として、エージェントからの紹介があります。
しかし、エージェントに支払う莫大なコスト、書類先行や面接に費やす時間を経て採用となっても、すぐに離職するなど、定着率の低さが問題となってきました。

しかし、LinkedInを活用することでその悩みから解放されます。
あらかじめ相互にLinkedInでの情報を把握し、やり取りを重ねることで、定着率が高くなり、雇われる側も企業のことを知っているため、すぐに活躍できるという好循環がもたらされるのです。
そのために担当者に必要なのが、「会社アカウント」と「個人で採用を発信すること」の重要性です。
このように、SNS上で有能な人材を獲得する手法を「ソーシャルリクルーティング」といい、海外では主流となっているそうです。
これが、LinkedInの広がりとともに、日本の転職市場でも当たり前のように広まっていくそうです。

■著者の松本さんとは?

この本を熱く執筆したのが、これまで一貫してHR(採用)の分野でご活躍されてきた、松本淳さんです。
2000年代初頭に、当時革新的なビジネスモデルだったHRテックの会社を20代で起業し、5年で急成長させ、なんとリクルートに会社を売却。
その後もシリアルアントレプレナー(連続起業家)としてご活躍中です。

私が松本さんと接していてすごいなと感じたのが、「発信力」「行動力」「お人柄」です。
製作中は、どんな時でも素早く、やわらかく、レスポンスをくださる姿勢に圧倒され続けました。
そして、どんなときでも周りの人たちを温かく見守り、包み込むようなおおらかさがあります。
人徳者と呼ぶにふさわしい立ち居振る舞いにも魅了されました。

また今回、販促面でも多大なアドバイスをいただき、勉強になりました。
松本さんの発信の仕方は、旧態然として出版業界に身を置く私にとっては刺激的で、少しでもマネをして、松本さんの姿勢に近づきたいと、今も強く思っています。

■動かなくては損!

この松本さんが熱く執筆した内容を一言で要約すると、「とにかく動かくなくては損」だということです。
それは、本書でも繰り返し語られていますが、これからLinkedInの日本市場での将来性の高さがあるからです。

今、Facebookではほぼ、若者ユーザーが離れてInstagramに移行しています。
ただ、Instagramで仕事のことを投稿するのは気が引ける、Facebookでは尚のこと...と考える人は多くいます。
そんな中、コロナ禍で人と会う機会が限られた際、「ビジネス専用SNS」としてのLinkedInが再び脚光を浴びました。

前述したように、すでに海外では主流ですが、日本の企業も当たり前のようにLinkedInでの採用をする「ソーシャルリクルーティング」の時代が来ると言われます。
ユーザー数がさらに増加していく中、今のうちにLinkedIn上でアカウントを育ていくことで、リクルーターからも「有能なアカウント」という認識を持たれる可能性が高くなるのです。

LinkedIn上で思う存分に自分の仕事をアピールして、仕事のネットワークを広げ、積極的にキャリアアップを図ることが可能になった中、この本が生まれました。
今まで自分のアタマの中化では考えもしなかった「新しい可能性」が、LinkedInを使うことで実感できる、その驚きと喜びを感じることができる1冊です。

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