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1996年 「アランジペーパー」「ぬいぐるみてん」「ひらべったいともだちてん」

アランジアロンゾ設立5年目!古い雑居ビルに会社とお店を引越し、あの手この手でお客さんをよびこみます。

すてきなアランジ ペーパー

新本店は、大阪、東心斎橋にありました。食べ物屋さんが多いところでした。アランジのお店と事務所の入っていたビルも、1階がかっこいいショットバー、2階がおいしい創作家庭料理の居酒屋さんでした。そして、3階がアランジ ショップ、4階が事務所。まさかこんなところに雑貨屋さんがあるとは誰も思わないようなビルでした。それではお客さんが入ってきてくれません。お客さんが入ってきてくれないとお店とはいえません。ちらしをつくってお客さんを呼び込む事にしました。

せっかく印刷代を出してちらしをつくるのなら、楽しくて、それを読んだ人が、絶対お店に来て、商品が欲しくなるようなものにしなくては意味がありません。

そうです、私達はなにわの商人です。

その時のアランジ オフィスの最先端技術、ワープロとコピ-機とはさみとのりを駆使してアランジ ペーパーをつくりました。

伝えたい情報や、見てほしい新商品、楽しんでもらえるといいなの写真やまんが、いっぱいありすぎて、つくった原稿を50%に縮小して印刷していました。

アランジ ペーパーを読むと、そのころどんなことがあったかよくわかるので忘れっぽい私達も重宝しています。

ペーパー初期

居酒屋の呼び込みにまじって道行く人に配っていました。いきなりこんなの渡されても「?」だったと思います。


アランジへの道、アランジ ロード

ショップの一画に小さなカフェをつくりました。スタッフはショップのお店番をしながら、卸し先への商品の出荷作業をして、その上カフェにお客さんのいる時には、接客をして、飲み物をつくらなくてはいけません。お客さんがくると、頼むからみんな同じ物をオーダーしてくれ、と心の中で願いました。口に出してお願いしてしまった事もあります。

荷物の集荷の時間が近付くと、1分1秒を惜しんで、スタッフは納品マシーンとなります。鬼の形相です。そんな横でゆっくりお茶が飲めるわけはありません。

カフェはスタッフ休憩所になりました。

そんな中、お店はアランジ ペーパーの効果もあってかちょっとずつ、口コミでお客さんが来てくれるようになりました。古いビルの暗い階段を3階まで登るのは初めてのお客さんにとって勇気のいったことだと思います。特に1人だとものすごく入りにくい店だったことでしょう。だから、勇気を出してお店に入ってきてくれたお客さんにはとても感謝しています。勇気がある人々です。

心斎橋の駅から東にまっすぐ7分程歩いたところにあるアランジ ショップ。「いつかこの道をアランジの店で買い物した時に入れてもらえる、水色のバリバリ袋を持った人でいっぱいにしてみせる、ここをアランジロードに変えてみせる」。と誓いあいました。


店の前の道

駅から飲み屋街の方面にアランジロードをてくてく。お店も歩いている人も少なくなってきて、ほんとにこっちでいいのかな?と不安になってきたころ、突如現れるファンンシーな看板。


名称未設定 1

昼間はシャッターの閉まっている1階のショットバー横の薄暗い階段を、勇気を出して3階まで上がって、さらに勇気を出して重いガラスの扉を開くと、そこにはアランジアロンゾのゆるい異世界が。


NSビル集合

お店に来てもらえるように「ぬいぐるみ展」も開催しました。青いリボンをつけているこは『ドナドナ』です。売られていくこは『ドナドナ』とよばれています。スタッフが突然歌い出したのでセンチな気分になりました。


NSビルカフェ

オープン当初のカフェコーナー。カフェは女子の憧れ。カフェカーテンも女子の憧れ。でもカフェカーテンの後ろには飲み屋の電飾。

無題 - 2021年2月19日 13.29.59


ひらべったいともだちてん

ひらべったい

ビッグステップはこの年の3月まで。アランジのお店の横に開いたスペースで「好きに使っていいよ」といわれて、新店舗の宣伝もかねて何か展示をすることに。けっこう広いスペースだったのでちまちま作っていてはらちがあかないので、コンパネ(建築資材の大きな平たい木の合板)を切り抜いてひらべったいともだちを作りました。大きな壁面もポスターなど展示物を考えるより手っ取り早く模造紙に直接書いちゃいました。


幻の東京のお店「qui! qui!」

クイクイ

まだ東京に直営店ができる前、青山通りにアランジグッズをメインに扱ってくれてるお店がありました。小さいけれど、アランジグッズがぎっしりの知る人ぞ知る謎なお店でした。夕方仕事帰りの人がよく通る道で、サラリーマンがおそるおそる中を覗いたりしていました。


このころの商品たち

スタンプとはんこ

木製の素朴なスタンプはロングセラーに。特に、保育、教育関係者に使いやすーいとほめてもらえました。

150ピースシール、150枚もあると、ものすごく変なのもまざっています。そんなのに限って知らないうちに袖口などにひっついていたりします。


お昼寝枕

お昼ねまくら。今でも時々作っている人気商品もこの頃から。お昼ねにちょうどいいお昼ねまくら。


さいとうバッグ

キャラクターのついていない商品もつくり続けていました。本店とアランジペーパーの通販だけでの販売。気が向いた時にさいとうが作っていました。なので「さいとうさんバッグ」と呼ばれていました。四角いのはCDケース。


クッキーチョコ

チョコチップクッキーは、もし割れていたらそれはパンダが割ったのでしょうとわけのわからないことをいって売っていました。


かしこいマックさん

何度も電器屋さんに行っては敗北して手ぶらで帰ってきました。何を買ったらいいのか全然わかりません。マックさんに詳しい人に相談してみました。「マックさんに何をしてもらいたいの?」「イラストに色をつけるのを手伝ってほしいんだけど」。それならこれとこれと、メモリはこれぐらいで。素晴らしい! アランジに、かしこい機械、マックさんがやってきました。

半日程、マックさんの使い方を教わって、さっそく、アランジ ペーパーをマックさんと一緒につくってみました。マウスで書いた文字は信じられないきたなさです。でも大丈夫です。よむらは普段から文字がきたないので誰も今さら気にしませんでした。

慣れていくにしたがって、マウスで書く文字のきたなさも、ペンで書くきたなさと同じくらいに上達しました。イラストをスキャナでとりこんで作業すると、色つけや、レイアウトが、すごくスピードアップしました。かしこいなー。かしこいね。1年もすると、もうマックさんなしでの仕事は考えられないようになっていました。


ごちそう

東京に出張に行くと、たいていまずくて高いものを食べてしまいました。ひどい街だと思いました。歩き疲れてへとへとで、あー、甘い物が食べたいと思って入った喫茶店、コーヒー1杯1000円もするんじゃ、ケーキまで頼めません。悔しい。おなかがすいて、入ったレストラン、「おいしくない」。顔を見合わせて、店を見る目のなかった自分達に憤りを感じました。

仕事をしていくにつれて、東京での知り合いも多くなってきました。私達はあまり、というよりも全然、社交的ではなく、オープンマインドなタイプではないので、好きな人とだけ仕事がしたいなぁ、と常々思っていました。常々思っていると、本当にそうなってきます。しめたものです。おもしろくて、よい人と知り合いになる機会に恵まれて、東京での食生活も変わってきました。

おいしいお店に連れていってもらえるのです。今まで食べた事のないようなごちそうを前に(ただ単に高価なものという意味ではないですよ)おいしいね、おいしいね、と食べ続ける私達でした。

『アランジ アロンゾの愉快な仲間達』。知り合いになった人々を、そう、勝手にこっそりよんでいました。知らないうちに愉快な仲間にされてしまった方々には申し訳ないのですが。

この仕事をしてなかったら知り合いになれなかった愉快な仲間達。食べられなかったごちそう。何も食べ物につられて言ってるわけではありませんが、仕事を続けていく事で得られる、ものすごく楽しい『おまけ』を実感しだした頃でした。


どんどんお仕事が広がっていく1997年へ続く

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