彼が残した夏の思い出
夏の思い出、それは海上花火大会。
朝から行きつけの美容室で髪を結ってもらい、昼からは着付けの先生が来て、彼が選んだ浴衣を着つけてもらう。
着付けが終わると駅へ向かい、コンビニでつまみとビールを買い出しし、電車で会場へ急ぐ。
夕方のきつい西日落ちの暑さの中で、ぬるい風をうちわで仰ぐと、
海の方向からテスト音が聞こえ始めた。
会場席に着いたら、色とりどりのカップルの浴衣の中で、スマホを自撮りに変えて、「今年も花火が見れたね」と肩を寄せて撮る。
海風で浴衣についた汗が乾いていく頃、爆音で夜空に花が咲く。
花火大会はいったい何回二人で行ったんだろうね?
あなたに出逢わなければ夏の思い出は強くならなかったよ。
何故なら浴衣をプレゼントされるこの歳まで、実は自分が浴衣が
似合う女だってわからなかったから。
彼は毎年帰り道、慣れない下駄を履きながら、人混みの中を大きな手で私を引っ張って帰った。
あの手の強さが今でも忘れられないでいる。
あなたがこの世を去って4年目の夏。
私は大分泣かなくなったよ。
今、どうしていますか?
最後まで読んでくださってありがとうございます。今は亡き彼へのメッセージ綴らせて頂きました。彼が突然亡くなった1,2年目は悲しくて花火を見るのが辛かったんですが、noteに皆さんに読んでもらうことによって、浄化して良い思い出になればと思いメッセージに替えてみました。
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