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『ウルトラマンブレーザー』放送開始・その雑感

 「街で暴れる怪獣vs特殊部隊+今までにないウルトラマン」。これが第一話の印象です。

 「隊長クラスの人物がウルトラマンに変身」という設定自体が異色なんですが、ならどんな雰囲気になるんだ? と抱いていた疑問及び期待に対して「こうです」としっかり提示してきました。最近やってるウルトラマンの流れは押さえてきけど、それ以外は全部異色。

 冒頭。作戦遂行直前の特殊部隊を描きながら、そこから一気に怪獣が暴れる最前線へ飛び込んでいく。テレビ中継では「既に怪獣が出現しているうえに今度は宇宙怪獣が」と来てます。これだけで、もう観てる側も否応なしにその世界観へ放り込まれた感じが。池袋のビル街を闊歩する怪獣は、特撮もそうですが特殊部隊からの目線でトコトン描いてました。本編・特撮のシンクロが良すぎて、これはホントにTV作品なのか? 掴みはOKです。

 主人公となる隊長も、まず任務を復唱させた上で「そして全員無事に帰還する」と締めるうえ、部下どころか他の戦闘部隊トップからも「そちらがそう言うなら」と応じてくれるあたりに人柄が出てるんですよね。凄く信頼されてるのがもう分かってしまう。

 そんな隊長が仲間を助けようとした際に、突如として「謎の力」を得て、導かれるままに変身する。従来の作品だとここで
「ウルトラマンと選ばれた人間が対峙し、共に戦うことを誓う」
場面が入ったりしますが、今回そういうのは一切無し。しかしそれゆえに、変身後「これは一体どういうことだ」と言わんばかりの仕草を見せつつ、目の前にいる宇宙怪獣へ果敢に立ち向かう姿は、ウルトラマンと隊長双方の「現時点での意識」が入り混じったようで、そこがまた良いですね。
 そしてウルトラマンそのものも、実は密かに語り継がれてきた伝説的な存在として認知されていたことが判明。唖然としつつもアレは本当にいたのか、とその激闘を見つめる最前線の隊員達。この登場人物が今後の戦いでどう絡んでくるのかも気になります。

 と、いろいろ書いてきましたが、一番驚いたのはウルトラマンの戦い方です。これまで様々なアクションを観てきましたが、まさか「威嚇する」だなんて。過去には筋肉質なウルトラマン(例えばパワード)もいましたが、いかついボディビルダーを思わせる姿で、怪獣に対し「圧をかけてくる」人は始めてじゃないでしょうか。いや、あの姿だからこそ出来る描写か。その辺を「野性味溢れる」と評した方もいましたが、生々しさというか人間らしさを感じる点でもこれは異色ですね。

 ラストも、人間の姿に戻った隊長が「謎の力」を生むアイテムであるメダルをただひたすら見つめ、何を語るわけでも無く締めるところもまた良し。この力を得て、彼は一体何を思うのか? 観てる側に想像を促しつつ、第一話ゆえに情報量は多いけど、様々なドラマや要素が入るのはまだこれから、という余韻を残しているようでもあります。

 今回はほぼ特殊部隊の中で展開され、夜の街でバトルときましたが、そこに不思議と重さやシリアス感は無く、むしろその異色さに引き込まれて楽しめましたね。ここからどう話が広がっていくのやら。事前情報からガヴァドンAの再登場や不気味な新怪獣などなど、気になる点は多々ありますし。
 最初に書きましたが、新たなウルトラマン像というより「今までにない(異色の)ウルトラマン」という言葉が似合う気がします。さて、これが最後まで観た時にはどうなっているやら。半年後の印象やいかに。

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