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『午前十時の映画祭』で「特撮の神」が激突!

 今年もやってきました。『午前十時の映画祭13』開催です。
 一昨年は『モスラ・4K修復版』、昨年は『空の大怪獣ラドン・4K修復版』と特撮怪獣作品を差し込んできました。もし次もその系統が来るなら何だ? とアレコレ予想(『ガス人間第一号』とか)するも、つい先日発表されたラインナップを見ると……

『地球防衛軍・4K』!
 そして『アルゴ探検隊の大冒険』!

 これは予想外。しかもこの二作品があると気付いた瞬間に
「つまり円谷特撮とハリーハウゼンをどっちも観られるのか」
 と思ってたら、まるで見透かしたようにそのくくりで上映期間を揃えてました。おまけに「円谷英二vsハリーハウゼン」だなんて『キングコング対ゴジラ』みたいなもんですよ。粋なことをしやがる、と感心した次第です。

・『地球防衛軍』について

 円谷英二監督の仕事としては本格的なカラー・シネスコサイズでのSF巨編。前半で巨大ロボットを怪獣映画のごとく描いたかと思えば、そこから宇宙人・ミステリアン出現ときて、近代兵器vs超化学兵器、さらには人類の超科学vs宇宙人の超科学ガチ対決とスケールがどんどん大きくなっていく。気が付けばメカニックが出てくるわ、そこから信じられないほどの光線乱舞が描かれるわで、メカデザインの小松崎茂氏が描いた超科学絵図をそのまま映画化したような作品だ。
 配役を見ると、佐原・白川のラドン組と平田・河内の初代ゴジラ組とがそのままスライド。そこに志村喬も加わり、さらに平田が純粋に科学の力を信じる天体物理学者という設定だ。その純粋さ故に生まれる悲劇も描かれるが、脚色に同作品の原作者・香山滋が参加している点からして、かなり初代ゴジラをなぞらえたようにみえる。全体的にみると初ゴジほどの悲劇性は無いものの、一大科学バトルと並行させる話としては王道といえよう。
 とまあ、事前情報を色々書いたがきちんとした鑑賞は久し振り。夏休みには大画面で本作を堪能するとしよう。

・『アルゴ探検隊の大冒険』について

 これもハリーハウゼンの特撮が伝説と化してる。というか戦士3人とガイコツ剣士7体とのチャンバラをモデルアニメーションで描いてる時点で
「ちょっと待て、このカットだけでどれだけ手間暇かけたんだ?」
と驚かずにはいられない。この場面だけだけでも3ヶ月(半年という話もある)かかったそうだが、それも納得の出来栄えだ。
 物語はギリシャ神話のアルゴ船探検隊(アルゴナウタイ)がベース。ざっくり書くと、王家の血を引く青年・イアソンが、謀反により奪われた母国を取り戻すべく、神の献上物である「黄金の羊毛」を手に入れるため数多の勇者たちから選抜隊を結成し、冒険の旅に出るというもの。ちなみに全天体88星座のうち、りゅうこつ座・とも座・ほ座の3つは当初ひとまとめにして「アルゴ座」と呼ばれており、その元ネタとなる神話がコレだそうな。なお3つに分けられたのは「星座としてデカすぎた」からだとか。
 ストーリーは神話準拠だそうだが、カストルとポルックス(双子座のもとになった兄弟)、おまけに怪力ヘラクレスという割と有名な登場人物がいるにもかかわらず、そこまで活躍の場が少ないのは惜しい。元の話がそうだとはいえ、そこはもっと嘘を付いても良かったか。
 とはいえ、ハリーハウゼンを大スクリーンで観るのも初だ。銀幕でじっくりとダイナメーションを拝むこととしよう。

 今年は映画館に行く要件が増えたなぁ。

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