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【ラジオ】アレコード備忘録・2022/03/23放送分

 「最終回」……とうとうこの日が来てしまった。こんなに早く来るとは思いませんでしたが、いつも通りに語っていきます。ゲストの湯浅学氏が最後に放った、渾身のアレコードを聴いてみましょう!

・「泣き笑い人生/石田正一」

 伊集院さん曰く「完全オリジナル曲です……こういうおことわりをすることは、どういう意味かお分かりですよね?」
 てことは『ピンキーマウス・マーチ』の流れだな、と思ってたらイントロから既に似ていた。Aメロ、Bメロ、サビそして間奏もほぼどこかで聴いたようなメロディだった。えー、似ているのは気のせいです。既視感を覚えたら「そうか、これがデジャ・ヴュか」と思えばいいのです。
 ただ「リリース年が不明」なのはどうしても違和感がありますし、おまけに曲のデータを調べると、石田正一さんのディスコグラフィーではこの「泣き笑い人生」だけ作詞・作曲が不明なのはなぜ? 『ピンキーマウス・マーチ』は「作・編曲:三沢郷」としっかり出てるのとは対照的。曲として、もっと自信持って堂々としてなさい。

・「運命(さだめ)/藤井明美」

 歌手の藤井明美さんは麻丘めぐみのお姉さん、との情報。てっきり、昔のB級映画によくある「俳優や著名人の兄妹」を主演に据えて一本作るようなパターン(注:宣伝しやすいから)かと思いきや、全く違いました
 何と藤井明美さんは、あの遠藤実先生の内弟子として先に単身上京しており、そのお姉さんを支えるために母親と一緒に来たのが麻丘さんだったとか。しかも麻丘さんは当初雑誌モデルの仕事をしており、歌手デビューの話が来ても当初は「姉があれだけ苦労してるのだから」と考えて断り続けていたそうで。最終的に、なかなかヒット作に恵まれないお姉さんが契約打ち切りになるのを危惧して「自分が会社の言うことを聴けばいいのでは」と決断して歌手デビュー。すると、妹(麻丘めぐみ)さんの方があれよあれよと言う間にレコ大で最優秀新人賞を獲り、翌年には紅白にも出場してしまった。いやはや、「運命」とは分からないものです。
 曲解説として「もだえ/マリア四郎」の正当な後継者、と。しかも作詞がそのマリア四郎さん(※宮崎幹夫名義)。クセのある歌い方と一音の中に込めるワードの多さは、確かにそうだと言える。それと同時に、なぜお姉さんが売れなかったかも何となくだが察してしまう。妹さんは千家和也と筒美京平だったわけですから、ねぇ……

・「蝶々/なるせ・みよこ」

 最後まで紹介されなかった理由は「エロいから」。至極単純だったが、ではどの程度エロいのか? 今までのオンエア分でも十二分に「フェロモンを感じる」曲はありましたが、それでもなお「エロい」と言うからには余程のことでは。しかもクラブ専属の歌手というのも(エロスの)ポイントが高い。じゃあ、曲はどうなの?
 ……何といいますか「大人の童謡」ですね。あの「ちょうちょう」のメロディをベースにしつつ、語りを交えながらいろいろな動物が上になったり下になったりする歌でした。雰囲気は実にのどかだけど、漂ってくるフェロモンは間違いなくエロス。これをエロスと呼ばずして何なのか。
 で、オンエアではカットされてましたが、一番の春パート、二番の夏パートに続いて三番では「もみじ」でしっかりと秋を描いており、四番では「雪やこんこ」をバックにして
「大きな影と小さな影が 一つになったり二つになったり 大人っていいな いいな」
 もうそのまんまじゃねーか! 想像するなという方が無理です。実に素晴らしい大人の童謡でした。

・「男女物語/原きみ子」

 最後はこちらでした。湯浅学さんが「終わるならこれを」と語り、他のアレコードコレクターの方々も「大トリに相応しい」と推薦するほどの一曲。「今までかけなかったのは『不安になるから』」。さてどれほどか?

 ……えーと、なんですかコレ? 

 当初公開した記事では曲の感想をつらつらと書いてましたが、むしろ多くは語るまい、です。Bパートに入った途端、一気に増してくる不安さと煽り方がトンでもない! そしてようやく来たCパートでは、最後に音が変な方向に行く。え、そっち?! 

 一度聞いたら頭にこびりついて離れない、実に不可思議な曲でもあります。調べたら作詞・作曲は歌ってる御本人。凄い、凄すぎる……こうも不安で不穏な曲を作れるそのセンス、一体どこから湧いて出たんだろうか。
 大トリを務めるというか「今流さなかったらその機会を失う」のに相応しい衝撃の曲でした。アレコード、恐るべし!!



 ……今までのオンエアでどれだけ「アレ」な曲と出会えたでしょうか。
 その曲と出会えたおかげで、出来たこともあります。
 出会えたからこそ、ほんの少しだけ楽しみが増えた自分がいます。
 これも自分と曲との「縁」です。そのきっかけを作ってくれたこのコーナーには、本当に感謝しかありません。
 伊集院光さん、そしてあレコードコレクターの方々に対し、この場を借りて感謝の意を述べたいと思います。

 本当にありがとうございました。

 どこかでまたアレな曲と出会える機会があるはずです。そんなことを期待しつつ、この備忘録を終わりたいと思います。


 ……終わった。
 これで全てが終わったのでしょうか。しかしこの備忘録がこれで終わってしまうのも勿体無いですし、やりたいことがちょっと浮かびました。最後は華々しく締めましょう。

~ 予告:勝手にあやしく輝く!俺のアレコード大賞2022 ~

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