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日本の博物館の「入館料」はこのままでよいのか問題【日記2022/11/1】

日記を続ける際に、一つだけ付け加える項目を…。
・体調が悪い時には無理やり日記を続けることはしない

ここ3日寝込んでいたが、復活。自分ではどうしようもなく、これからも付き合っていかないといけない病気なので、休日だと思って、日記のことは忘れて休むことを優先したい。

「入館料」は博物館の大きな収入であるのか否か

学芸員資格取得のために、博物館経営の授業を受講している。今回の授業で出てきたのが、「入館料」について。博物館を経営する上で、一番のネックとなるところであろう。日本ではコロナ前よりも、現在、入館料は高騰傾向にあるようだ。やはり、入館者が減少していることが原因であろう。しかし、安直に入館料を上げればよいというわけではないらしい。

入館料は取らないといけないのか?

第二十三条
公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。

博物館法より

博物館法を見ると、博物館において入館料は原則無料である。しかし、やはりそれではやっていけないのが現状らしく、かなりの館で入館料が指定されている。やむを得ない事情というわけだ。

しかし博物館の経営は、来館者が落としていく利用料だけでなく、公的資金で賄われている。寧ろ、収入が5%未満の博物館が2割以上存在するのが現状であるから、驚きである。必要費用よりも収入が低いのが当たり前らしい。

だが、よくよく考えると、入館料を来館者が払うということは二十徴税にならないのか。すでに公的資金として賄っている税金を国民は支払っているのだから、バカ高い入館料をさらに支払うのは、何か釈然としない。特に、わざわざ入館料を支払うということは、すでにそこで博物館が来館者を差別化しているようにも捉えられる。生涯学習の一施設であるの博物館が、来館者を入館料によって差別化するのは、学ぶ権利を意識的に奪っているような感じにも取れた。

日本でも入館料無料が実現したならば

英国では、サッチャー政権からブレア政権に移行したことで、文化を国の資本に変える動きが生まれた。具体的に、英国にある博物館は入館料が無料になり、幅広い人々が利用することになり、より来館者が増えた結果が出ている。また無料になることでインバウンド収入が生まれ、経済効果も上がっているようだ。ここで注目したいのは、無料。行動経済学的には、100円や10円払うよりも、無料という言葉によって人々の様々な流れができるようだ。

近年話題に上がっている、「スイミング・プール」のある金沢21世紀美術館。ここでは無料ゾーンと有料ゾーンに分けることによって、来館者を増加することに成功したらしい。無料ゾーンでも現代アートを十分に満足できるため初来館者の増加が見込め、さらに深堀したい人は有料ゾーンを楽しむことで、リピーターを作ることができるのだろう。

無料招待券や無料デーなどの、ちょっとお得になる券の使い道もポイントのひとつである。ある美術館で無料招待券を配った際、美術館初心者が9割以上、リピーターが1割未満という結果だったらしい。つまり、誰をまたどんな層を呼び込みたいかによって、使い方を考えなければ、狙ったターゲットは集まらないというわけである。

博物館の入館料を増やすよりも、入館料を減らすもしくは無料にすることによって来館者数を増やした方が、国民一人当たりの公的資金は低くなりコストパフォーマンスは高くなるという結果も出ているらしい。つまり、日本でも英国のように文化をより国の資本として考えたら、博物館へのハードルがさがり、国の基盤となる向学心・学術基盤が底上げされ、更にお金がかからない博物館経営をできるのではないだろうか。まあ、そんな簡単に出来るものではない理想論なのだが…。

収入は入館料だけではない

全国の博物館の約8割にはミュージアムショップが併設、また2割にはカフェが併設されている。これらも、博物館の大きな収入源である。特に、これらは博物館が直轄するのではなく、委託を行い指定管理者を置く方がショップの売り上げが良いようだ。プロに任せることによって、きちんとマーケティングができる、当たり前のことなのかもしれないが、その区別をしっかりできるところほど、上手く回っているのかもしれない。

さらに、ショップでのオリジナルグッズの役割も大きい。その博物館独自のものを来館者は求めている。学芸員がオリジナルグッズのコンテンツを考え、企業がつくるといったコラボ商品も結構あるようである。

博物館のカフェについては、またまた英国の例が出てきた。向こうでは、無料で入れる場所にカフェやレストランが博物館にあるらしく、博物館の展示物を見なくても気軽に利用できる場所らしい。日本でも、ウポポイがその例を取り入れているのではないだろうか。個人的には、食を通して文化を知ることができるのは、一つ博物館を知る入り口として大きと考える。

STP分析

実践も兼ねて、STP分析を行った。これは、マーケティング論で知られるフィリップ・コトラーが提唱したフレームワークらしい。
 S:Segmentation(市場細分化)
 T:Targeting(狙う市場の決定)
 P:Positioning(自社の立ち位置の明確化)

の3つの英単語の頭文字をとって名付けられた分析法だ。ターゲットやニーズをより明確化でき、戦略的に商品やサービスを提供することが可能になる。成功例として、「環境」にポイントを当てた いろはす や、日常的な学習を取り上げた スタディサプリ が上がった。

授業で練習として行ったのは、来年できる狸小路の水族館のオリジナルグッズについて。私はお金を落としていく、少し給料の多い層をターゲットにしラグジュアリーなお土産を考えたが、隣に座っている学生は若い層をターゲットに映えをポイントにしたグッズを提案していた。全く違う視点で、気づきの多い活動だった。

これからの日本の博物館はどこに行くのか

日本の博物館がターゲットとしている層は、一昔前の限定的な層を来館者としたい時代と違い、より幅広い層を狙っている。入館料をすぐに無料にするのは難しいのかもしれないが、もう少し来館するハードルを下げる必要性があると感じた。また、入館料だけではない収入源についてもしっかり見ていく必要があることを知った。

これで〇〇円かと思う展示を何度か経験したが、私はケチなので元を取る勢いで、何時間も見て居座っている。しかし実際、そんなにゆっくり見ることができない人が多いのではないだろうか。そのような人をリピーターとするためにも、この値段だったらまた来ようと思える設定にする必要があるのではないか。(ちょっと、限定的なターゲットになるかもしれないが)


今日のひとこと

ウポポイと網走監獄の入館料は、正直もうちょっと下げて欲しい・・・

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