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離れる勇気

今でもそうですが、私は学生時代から全く社会や政治に疎い人間でした。

しかし、人間について調べるのは好きでした。社会での人間関係、集団行動での利点と問題点、その状況での人々の心理、真理を作り出す環境などの本を読むのが好きでした。

そこで私は子供の頃いじめられていた経緯を知りたくて、いじめっ子の傾向やいじめられっ子の心理の変化なども調べました。大方、システマティックに理解すると、過去に感じた恨みや傷ついた気持ちはそれなりに緩和され、自分で納得がいくようになりました。

その次に興味を持ったのは、社会での女性のポジションでした。ちょうど自分も大学を出て仕事を始めた時期で、しかも男尊女卑、上下関係の厳しい現場だったので、次第にフェミニストに傾倒するようになりました。

ちょうど当時、社会民主党の党首が土井たか子、という女性がいて、私は彼女の

男が戦争をするなら、女はもう子供を産みません!

というセリフに痺れた記憶があります。

彼女は自分の傘下に志を共にする福島瑞穂氏、辻村清美氏など女性を置き、
反核や改憲、特に憲法九条には極めて改正反対を唱えてきました。

私も大学卒業間際から反原発などの活動団体のわずかながらお手伝いをさせていただいたこともあります。自分がなんとなく日本を救う戦士になった気分でいました。

私は前述の3人の女性は、女性が故にきめ細かい政治をし、世界平和、女性が生きやすい社会を作ってくれる政治家だと疑いませんでした。

しかし、それをガラッと変える出来事が起きました。

北朝鮮拉致事件です。今では誰もがその存在を周知していましたが、ほんの20年ほど前はそんなもの存在しない、もう時間が経っているんだから家族ももう諦めればいいんだ、などと平気な顔をしていう人たちが多かったんです。

土井たか子氏はこの拉致はないものとして認識、公表、社会民主党はこの事件は全くの事実無根、北朝鮮が国がらみで優秀、将来有望な若者を各国から北朝鮮に送り込んでいたことを否定していました。

そのため、世間にあからさまになるのはずっと後でした。しかし、私は偶然、拉致事件の存在を信じお嬢さんを取り戻す運動をしていた横田めぐみさんのご両親からのビラを見かけ、拉致事件を知りました。

そして、戦争をするなら子供を産まない、と言った我が尊敬する土井たか子氏が、子供を攫われてしまったご家族を邪険にするはずがない、ということで疑問を持ったのです。

最近になって、土井氏は拉致事件の事実を承知の上で、横田ご夫妻の相談を門前で撥ねつけ、その足で北朝鮮に拉致が家族に知れてしまったことを伝えた、という告発を聞きました。

一度疑念を持つと、スルスルと社民党の行いに疑問を持つようになり、知らずのうちに私の中で、

あんなに聡明な女性たちも平然と嘘や誤魔化しをするんだな、

と感じ、わずかながらに嫌悪感を持つようになりました。

その北朝鮮拉致事件、社民党に門前払いされた横田ご夫妻は、自民党へ相談に行きます。偶然出会った、安倍晋三という人物が親身に話を聞き、これは国を揺るがす事件だと調査に乗り出しました。

それでも、当時は社会主義者たちの声が大きい世の中でした。今から30年ほど前当時だって、先の戦争は終わっていたのに討論番組や週末夜に放送される大人のトーク番組では、

ここ日本だったよね?あれ?

というぐらい日本の功罪について語られていました。とにかく語られるのは、日本は小さい、ということでした。そして、戦争ではパールハーバーから従軍慰安婦まで、相当の悪さをしでかした日本軍とそれを後押ししていた国民は罪を意識し、今後も影の人となり大人しく暮らせばいい、といった風情の会話をするのでした。

高度成長期のピークを終え、数学、化学、医療、工学の場では本当に日本人の活躍が目まぐるしく、日本製の商品の優秀さが海外で認められてきた時代に、日本の中では、日本人がメディアに出る識者やコメンテーターのネガティブワードに

やっぱり私たちは日本人。島国の小さい人間の集団なんだわ、どうせ。。。

という刷り込みをされていたように思います。今思えば、当時メディアに顔を出していた彼らの名前は、通名も多かったけれど韓国、中国名の人が多かった。

私は、子供の頃から在日韓国人が多く住む地域におり、彼らへの差別も共存の様も見てきました。在日韓国、朝鮮の人たちへの日本人の物言いは確かに褒めたものではありませんでした。その昔はさらにひどかったのかもしれません。

私は高校時代から在日韓国人の同級生や一緒に音大を目指すためにレッスンに通った友達がいました。彼らは本当に明るく、前向きで強かったのを思い出します。気質が控えめな日本人の子たちとは違いました。

全ての人たちがそうでないように、一概には語れませんが、民族的な差別、2世以降は生まれ住んでいるのが日本なんだから日本人だと思っているのに、その認知が低い日本国籍の隣人たちに怒りを感じないはずはありません。

しかし、社民党党首、日本初の女性衆議院議長までこなした人が犯罪を隠匿したり、国民に嘘をついたことはあってはならないことです。

私は10年ほどの尊敬や支持意識を完全に振り切って、前述の女性議員たちを調べました。
調べるほどに私の信条には合わない人々だということがわかり、支持をやめました。

かたや、安倍晋三、という人物を知ったのも拉致事件が元でした。彼はもちろん女性ではありませんでしたが、人として尊敬に値する人物だということは、触れるにつれ理解できました。

票をくれる人だけに笑顔を振りまく政治家ではなく、逆に 票の心配をする必要のない身分だからこそ誰もが嫌がる問題に打ち込む政治家でした。

あれほどまでにウーマンリブ、フェミニストを自称していた自分が、一気にその看板に意味がない、人間として良い行いをしてゆこう、と思ったのはまさしく

執着に別れを告げたことで新しい出会いが生まれ功を奏した、

と言っても過言ではありません。

こどもの頃は誰にも優しくし仲良く、と教わりますが

大人になると足並みを揃えても個々の望みに到達できない複雑な社会で暮らさねばならず、そのためには信用のおける仲間が必要で、それ以上のものは時にして振り切ることも重要だと感じます。

今週はなんだかあっという間に週末まで来てしまいました。
みなさんも暑さに負けずお過ごしください。
お盆休みももうすぐですね。

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