アイドルに救われる人だっている

アイドルについてどう思いだろうか。

両手を挙げて大好きだという人もいれば、アイドルという概念が理解できないという人もいるかもしれない。それは人それぞれの価値観・考えがあるので、どの意見にも頷けるものがある。

私はというと、おおむね肯定的である。あくまでも、”おおむね”である。今でも好きなアイドルがいたり、どっぷりアイドルに使っていた時期があった私だが、握手会券商法や乱立する地下アイドルグループの多さには辟易する。ドルヲタだって文句はある。

何ならもともとは、むしろ「アイドルを応援することは恥ずかしい」というスタンスでいた私。そんな私がアイドルを応援するようになったのだろうか。

きっかけは、高校1年の夏に見た日清食品のカップヌードルのCM。

サイリウムを持ったヲタクたちを刀を持つ侍になぞらえているこのCM。このCMに出演していたのが、でんぱ組.inc。

最初に見たときは面白いCMだなあとしか思っていなかったのが、このCMを見るたびにこの早口の曲は何なんだ、あの金髪ショートの子は誰なんだ、といつのまにかでんぱ組の虜になっていた。

そして私の中で少しプチブームくらいになっていたころ、たまたま宮崎のお祭りに来ることに。数曲だけ予習して見に行ったあの日から私のドルヲタ人生は始まったのだった。


ところで、私がでんぱ組を好きになった理由は3つある。まずは、曲がAKB・ももクロ全盛期の当時と逆行するような曲調で、「曲がいい」「エモい」アイドルだったことだ。ちなみに、その頃でんぱ組と同様に「エモい」アイドルと言われて、ライバル扱いされていたのがあのBiS。メンバーだったファーストサマーウイカが昨年頃からテレビに出だしてきた時は、あのファッサマ!?と驚いたものだ。

次に、金髪ショートという当時としては異彩を放っていた、最上もがという存在が気になってしょうがなかったことだ。「僕」という一人称でグラビアにも進出していた彼女は、当時の私を振り向かせるにはあまりに容易いものだったのだ。

そして、メンバーそれぞれのキャラ分けが明確化されていること。もはやプリキュアや戦隊ものを見ているようなものなのだ。(余談だが、のちにメンバーの成瀬瑛美はスタートゥインクルプリキュアの主演声優になることになる。)メンバー全員が何かしらのヲタクであり、ほぼ全員がいじめや引きこもりなど辛い過去を抱えていたというところも私の心をつかんで離さなかった。

こうして私もでんぱ組にハマって1年くらいしたころ、精神的に不安定になってしまい、学校に行くことがままならない状況になってしまう。その辛い過去を抱えていながらも、元気を与えてくれるという彼女らの明るさは、当時の私を優しく包んでくれた。救ってくれたのだ。いわば命の恩人のようなもの。

しかし、そのあんなに好きだったでんぱ組から現在は少し遠ざかっている。

最上もがが脱退したからだ。

推しメンが急にいなくなり、新メンバーが二人。

さらに、夢眠ねむの卒業。

もう私の好きだったでんぱ組はいないんだと思うと、気持ちが遠くなってしまう自分がいた。

でも、今のでんぱ組に当時の私みたいに救われる人もいるんだろうな、と思うと応援せずにはいられないのである。今は、少し離れて応援している。

今思うと二度とあんなにアイドルに入れ込むことはできないだろうし、今ならあんなに楽しめないだろうな、と思う。

私は今、特に日向坂46というアイドルグループを応援している。久しぶりにハマったアイドルグループだ。日向坂についてはまた別の回に改めて書こうと思う。

しかし、当時のでんぱ組を推していた熱には勝てないんだろうな、と思うと悲しくなる自分がいる。だけど、ずっとアイドルを応援していくことには変わりないんだろうな。


そして最後に少し話が変わるが、SNS上などでの最近の風潮として、他人の好きなものを嫌いだからといって過剰に叩くことが増えているような気がする。少しその投稿をする前に考えてほしい。あなたの嫌いなものでも、それに救われている人もいるということを忘れないでほしい。私の場合はそれがでんぱ組だったのだ。

気が触れやすい時期だとは思う、だけどそれとこれとは違うんじゃない?

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