空間コンピュータはどのように普及するのか? | Apple Vision Proが代替するもの
こんにちは!空間コンピューティング技術で人々のまなざしを拡げるMESON CEOの小林です。
ついに日本でもAppleが空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を発売開始しましたね!
MESONでは、日本でもっとApple Vision Proが注目され、人々にそのインパクトを知ってもらえるように、Apple Vision Proに関する記事をMESONのメンバー全員で1ヶ月連続で投稿するチャレンジの第二弾を本日より開始します!
今日から1ヶ月間、MESONのメンバーが毎日Apple Vision Proに関する情報を発信していきますので、お楽しみに!
以下のURLから第一弾のチャレンジでMESONメンバーが書いてくれた記事一覧を見ることができますので、ご興味ある方はぜひ以下のURLもご覧ください!
本日はApple Vision Proに代表される空間コンピュータが今後どのように社会に浸透していくのか、自分なりの仮説をご紹介します。
スマホの次となる「空間コンピューティング」
まずそもそも「空間コンピューティング」というのがどういう位置づけなのか、というところからご紹介します。
空間コンピューティングは「パーソナルコンピューティング」、「モバイルコンピューティング」に並ぶコンピューティングの次なる進化と言われています。
私達はパーソナルコンピューティングの実現によって、所謂「パソコン」を扱えるようになり、誰でも自由にデジタル情報にアクセスできるようになりました。
そしてモバイルコンピューティングの実現により、人々が「スマホ」を持つようになり、誰もがどこにでもデジタル情報を持ち運び可能になったのです。いまはまさにほぼすべての人がスマホを持っているモバイルコンピューティングの時代です。
空間コンピューティングはそんなモバイルコンピューティングの次の時代に位置づけられるコンピューティングです。
空間コンピューティングにより、人々はディスプレイの制約から開放され、自分たちが生きる現実世界の中にデジタル情報を融合させ、生活することができるようになります。
人々はやがてスマートフォンを使わなくなり、Apple Vision Proのような空間コンピュータを通してデジタル情報にアクセスするようになると考えています。
しかし、Apple Vision Proを見て、「これをスマホの代わりに使うことなんてできるの?」と思われる方もいるかと思います。この記事ではそんな疑問を解消したいと思います。
現実世界にデジタル情報を融合させる2つの方法
Apple Vision Proのように現実世界にデジタル情報を融合させる方法には大きく「ビデオシースルー(Video See-through)」と「光学シースルー(Optical See-through)」という2つの方式が存在します。
ビデオシースルーの代表的なデバイスはApple Vision ProやMetaが提供しているMeta Quest3などがあります。
ビデオシースルーはデバイスの前面に付いているカメラで捉えた映像をデバイス内部のディスプレイに映しています。そしてその映像にデジタル情報を合成しています。
一方の光学シースルーの代表的なデバイスには中国企業のXREAL社が開発するXREAL Air 2 Ultraや、米国を拠点とするMagicLeap社のMagicLeap2などがあります。
光学シースルーのデバイスは所謂「メガネ型デバイス」であり、レンズを通して本当の現実世界の風景を見ることができます。レンズには透過型のディスプレイがついており、そのディスプレイにデジタル情報が投影されることで現実世界とデジタル情報の融合が実現します。
本記事ではビデオシースルーと光学シースルーの違いはざっくりご紹介しましたが、より詳しく知りたい方は以下の記事なども参照してみてください。
https://www.xr-lifedig.com/beginner/240509_01
記事内でも登場している以下の図はわかりやすく参考になります。
屋外での使用を推奨できないビデオシースルー
それではここでApple Vision Proが採用しているビデオシースルーについて、もう少し掘り下げてみましょう。
先ほど、ビデオシースルーの説明の中で、「デバイスの前面に付いているカメラで捉えた映像をデバイス内部のディスプレイに映している」とお伝えしました。すなわち、ビデオシースルーのデバイスを着けている間、私達が見ている現実世界は本当の風景ではなく、実はディスプレイに映し出されたカメラ映像なのです。
そのためデバイスの不具合やバッテリーの消耗によって、Apple Vision Proの電源が落ちてしまうと、私達の目の前はたちまち真っ暗になってしまいます。
屋内で椅子などに座りながら使っているときに、そのようなシチュエーションになるのはそんなに問題になりません。しかし屋外で歩きながらApple Vision Proを使っている最中に、そのようなシチュエーションになると様々なリスクがあり得ます。
例えば階段を降りているときや横断歩道を渡っているときにApple Vision Proが突然落ちてしまい、眼の前が真っ暗になると人々は身の危険を感じてしまうことでしょう。
Appleが現時点で光学シースルーを採用しない理由
「それなら最初から各社光学シースルーのデバイスを提供すればよいのでは?」と思うかもしれませんが、光学シースルーにもいくつか課題があります。
その代表的な課題は「視野角」です。光学シースルーでは、下の画像のようにデジタル情報を表示する領域が狭くなってしまうため、窓を覗き込んでデジタル情報を眺めているように見えるのです。
これは私の予想ですが、おそらくAppleもデジタル情報が見切れてしまう体験はコンシューマー向けのデバイスとして提供することができないと判断し、ビデオシースルーを採用したのだと思います。
デジタル情報を映し出す解像度を下げずに視野角を拡げる技術が今後光学シースルーのデバイスが一般普及するためには必要になるのです。
Apple Vision Proが代替するもの
前章で説明したように、Apple Vision Proはいまのスマホのように屋外に持ち運んで使用することは推奨されていません。すなわち、AppleもApple Vision Proでスマホをいきなり代替することは考えていません。
ではAppleはApple Vision Proは何を代替するのか?
私はApple Vision Proはまずパソコンの代替として普及するのではないかと考えています。
私達はパソコンを歩きながら屋外で積極的には使いません。どうしても急な仕事が入ったときや場所を変えて仕事をしたいときに、電車の中やカフェで使うことはありますが、それも座りながら使っています。
そしてApple Vision Proの特徴の一つに「複数のディスプレイを同時に表示して作業できること」があります。これはまさに私達がパソコンとモニターをつなげて作業していることに近い状態をつくることができます。
今後、人々がApple Vision Proをパソコンの代わりとして活用し、文章作成やデザイン、プログラミングなどの仕事を効率的に進めていくようになる。そんな新しい働き方が生まれてくるのではないかと考えています。
2つのフェーズで段階的にデバイスを代替する空間コンピュータ
では、空間コンピュータはどのようにスマホすら代替するようになるのでしょうか?
それはもう少し先の未来で空間コンピュータが光学シースルーのデバイスに進化したときです。そしてそれは2028年前後頃になると予測しています。
実際にいま空間コンピューティングに取り組むAppleやMetaも、現時点ではビデオシースルーのデバイスを提供していますが、最終的には光学シースルーのデバイスを目指していることを様々な情報から伺うことができます。
https://www.patentlyapple.com/face-object-recognition/
先程もお伝えしたように、光学シースルーのデバイスはレンズを通して現実世界の風景を直接見ることができるので、デバイスの電源が落ちても視界を遮られることはありません。
最終的には光学シースルーのデバイスを一人1台装着するようになり、空間コンピュータがスマホすら代替するようになる時代が来ると考えています。
以上、Apple Vision Proに代表される「空間コンピュータ」が今後どのように社会に浸透していくのか、自分なりの仮説をご紹介しました!
自分のnoteでは今後も空間コンピューティング技術やApple Vision Proに関する情報を発信していきます。ご興味ある方はぜひnoteのフォローをお願いします!
Apple Vision Proについてより深く知りたい方へ
7月3日(水)にMESON主催のセミナー「Ready for Vision Pro」を開催します。本セミナーではMESONが独自に調査し、作成したスライドを活用しながら座学でApple Vision Proに関する知識を得ることができます。
Apple Vision Proを使った新規事業を検討したい、もしくはアプリ開発に取り組みたい担当者の方はぜひ本セミナーにもご参加ください!
Apple Vision Proアプリ開発のご相談はMESONへ
MESONでは企業様とのApple Vision Pro向けアプリ開発も積極的に行っています。
❏ Niantic様とのPeridotコラボ
❏ 東京ガス様との3Dモデルビューワーアプリ開発
上記の取り組み以外にもいくつかの企業様とはApple Vision Pro向けアプリの開発を進めており、今後開発したアプリを発表予定です。
ぜひApple Vision Proを活用したアプリ開発に取り組んでみたいという方は以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
MESONについてもっと知りたい方はぜひ以下の公式ホームページを御覧ください!
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