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11. 消費して消費される

私は記号であり、データだ。分析対象で、予測可能な行動パターンでもある。消費するたびに、消費される。そんな感覚が、最近ずっと私を襲っている。一個人として認識されないという恐怖を感じるのだ。社会というシステムの中に生きている以上、この恐怖からは逃れられないのかもしれない。

電車で、スマホで、テレビで、一日中ずっと広告につきまとわれる。私は広告を選べない。広告がそこにあり、私は利用されているのである。そして欲望のままに消費をすれば、何かを買うたびに情報が打ち込まれ、レシートという名の紙切れに刻まれる。私は記号であり、データだ。

このシステムに関わる全ての人間には命が宿っていて、一人一人感情を持っている。誰に支持されていようが、どれだけ自分の仕事に誇りを持っていても、私をパターンの中に埋め込んで扱うのだ。だがしかし彼らもまた、私と同じ記号であり、データだ。

さぁどんな仕事を選ぼうか。



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