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思想・哲学・宗教・人物(My favorite notes)

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思想・哲学・宗教など心や意識をテーマにしたお気に入り記事をまとめています。スキさせて頂いただけでは物足りない、感銘を受けた記事、とても為になった記事、何度も読み返したいような記事…
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2023年2月の記事一覧

意識について 3(瞑想、インド思想、神秘主義、心理療法の観点から)

「意識について」の第3編です。 今回は、瞑想や、インド・仏教思想、神秘主義、ラディカルな心理療法の観点からの考察です。 瞑想的な状態で体験される特殊な変性意識を考えて、意識のマトリクスやメタ意識の意味について考えます。 かなり長めの投稿です。 瞑想における変性意識状態 脳科学で注目されている意識論に、「注意スキーマ理論」というのがあります。 これは、主体としての自己の内部モデル(の表象)と認知対象を関係づける注意スキーマが存在するとする理論であり、自我意識、自己認識が

意識について 2(夢理論のNEXTUPモデルなどの観点から)

この「意識について」の中編では、最近の夢理論「NEXTUPモデル」も取り上げながら、夢と夢のない眠り、レム睡眠とノンレム睡眠について、そして、それらと対応する思考の種類について考えます。 *3つの投稿では、以下の意味で次の言葉を使います。 覚醒:寝ておらず、起きていて自分の体験に自覚のある状態 睡眠:夢のある眠りと、夢のない眠りの両方の状態 夢見:睡眠中に夢を見ている状態(意識がある) 熟睡:深い睡眠状態ではなく、夢を見ない眠りの状態(意識がない) 想起:記憶を思い出すこ

意識について 1(脳科学の統合情報理論などの観点から)

「意識」や「クオリア(意識の対象・内容となる質感を持つもの)」という不思議な存在については、若い頃から良く考えてきたテーマでした。 少なくとも人間にとっては、「意識」と「クオリア」を持っているということは、生きるということそのものだと思います。 「意識」について、前・中・後編、追加の4つの投稿で考えます。 この前編では、脳科学、特に統合情報理論を参照しながら、意識とその意味について考えます。 そして、中編では、夢理論のNEXTUPモデルを参照しながら、睡眠と意識につい

「四つの執着をなくす」という心の訓練 意訳

「全てを自分の思い通りに」と自他の成功と失敗に強く執着して時を過ごす方は、弱さから煩悩に負け怒りや冷酷さ、強欲さ、神仏や仕事の役職や権威などを傘に着た支配や排除という悪感情や、自他の名誉や恥、利益や損失、称賛や非難、楽や苦を娯楽とするので、身体はともかく心は地獄・餓鬼・畜生に住む不幸な方です 「自分の思い通りにしたいと執着する心」から自由になり、この人生を自他を傷つけず大事にする事に費やそうと努める方は「幸福な方、幸福な生を目指す方」です 「幸福な生を目指す方」は、経済的

本当の「知行合一」とは 【王陽明『伝習録』に学ぶ】

陽明学と聞くと、まず思い出すのが「知行合一」という言葉でしょう。 ビジネスマン向けの解説本などでも取り上げられることが多いため、ひょっとしたら、この言葉自体は聞いたことがあるかもしれません。 しかし、それだけに非常に誤解されている言葉でもあります。 「知行合一」の「知」のことを、  ・知っていること  ・知性  ・知識 という捉え方をしているとしたら、それらは全て間違っています。 ビジネス本などで「知っていることを行動におこせ」という解説がされることもありますが、これは本来の

仏法の道を歩む(全訳)

アチャン・チャー  私たちは、長老方をはじめ、非常に多くの情報源からブッダの教えについて学びます。ですが、ダンマの説きかたは、人によって様々な個性や特徴があります。ですから、修行者によっては日常生活でどのように実践していけばいいのかわからない、といったケースもあるかもしれません。また、指導者によっては、パーリ語や難しい仏教用語を用いて説法をする人もいます。経典の逐語的な解説などは、特に難しく感じられることでしょう。ですから、ダンマの教えを聞く際には、曖昧すぎず、難解すぎるも