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通信大学院での芸術学

2024年4月から京都芸術大学の通信大学院で芸術学・西洋美術史を学んでいます。5ヶ月過ぎて、今感じていることを書いておきます。

【大学院進学背景】
① 学部入学
2021年4月に京都芸術大学通信の学部に3年編入で入学しました。
芸術学の学びは初めてのこともあり、カリキュラムを見て、あまり駆け足で進まず、芸術を楽しみながら進もうと思い、2年の卒業ではなく、3年かけることを決めていました。最初の2年でほぼ単位を取得して、最終学年はほぼ卒論だけとしました。卒論は「西欧中世写本」の分野でした。
卒論が出来上がった時に、達成感もあったのですが、同時にちょっとした後悔も浮かび上がりました。
まず一つは、私が研究した写本の資料に限界があったことでした。日本の研究はもちろん一つもなく、英語文献に取り組むことになりましたが、それでも入手できる資料はなかなか少なく、私の力不足もあり、議論が発展しきれなかったことが悔やまれました。
そして、もう一つは、「卒論を仕上げる」ことに注力して、研究そのものへの熱量に欠けていたかもしれないと思うところでした。「もしかしたら、まとまらないかも!」というような「熱い」研究をすることができたらよかったかもしれない、と思ったことでした。
大学院で芸術の研究を続けたいという思いは学部の時にあったのですが、この卒論での後悔が大学院進学を後押ししたと思います。
大学院でもっと熱く研究したいという気持ちが芽生えてきました。

②大学院入学の決心
大学院の入学にあたり、大学院の芸術研究科の先生にご相談しました。
通信の大学院ではどのような学びになるのか、と。
「大学院は自分で研究を進めるところです」と言われて、ハッとしました。どこかで、「何か学べるのではないか」と思っていた受身の自分がいました。「自分で研究する場」。そうなんだ、と決意を新たにしたところでもありました。
そして、通学タイプの大学院進学も考えましたが、家庭の事情により通信を選ぶこととなりました。
通信大学院への入学を決意し、「もっと熱く研究するためには」と考えて、研究テーマは、魅力を感じている全く新しい分野へ挑戦することにしました。大学院では、「20世紀フランス抽象絵画」分野の研究をすることを決めました。

【大学院最初の5ヶ月】
①授業について
大学院では、必要な単位を取得するためのオンデマンド授業、オンライン授業を受けて、レポート提出があります。これは通信学部と同じですが、レポート提出は同じ講義で2回に分けて提出となります。ただ、文字数が学部のレポート科目よりも短いので、さほど大変な思いはしないのですが、やはり、充実したレポートを出したい、と思うので時間はかかります。特に、自身の研究テーマと離れた科目ですとなかなか苦戦します。

そして、自身の研究については、月1回のオンラインによるゼミ形式の授業があります。半期に一度の自身の発表の場と報告書の提出があります。さらに任意で対面のゼミに参加することもできます。また、ポートフォリオ作成のサイトが用意されているので、研究進捗などを月に2回記載していきます。これらに対して、先生方のフィードバックがあります。研究を自分で進める中で、その方向性や進捗を先生や他の生徒の方と一緒に確認していけるのは大変ありがたく、研究を進めていくモチベーションの維持にとても有効であると感じています。

②研究について
現在、私はもっぱら研究の対象となる文献、書籍を探して、読む、まとめる、の繰り返しです。
とにかく、関連のありそうな文献、書籍を集めているので、すでに読むべきものが山積みになっています。私の研究では、フランス語文献も多く、日本語よりも読むのに時間がかかるのでなかなか大変です。そして、もちろん、フランス語でも日本語でも一回では理解できなかったり、新しい視点が出てきたりして、同じ本を幾度も読み返すことにもなります。
また、関連する作品を見に行ったりするのはもちろんのこと、近郊(東京)での美術展はほぼ全て行きます。全く違う分野の作品を見ることが息抜きになっていたりします。
そして、振り返ってみると、学部の時も「レポート職人」みたいな日々になっていましたが、今は、ずっと美術のことを考えている日々になっています。それは私にとっては、とても充実したいい時間であると思っています。

【本日のまとめ:大学院入学にあたって考えること】
通信の大学院入学を考えている場合に考えるべきことは、
① 研究時間の確保 ②学費・教材費等の確保 ③研究テーマ
だと思います。研究テーマの設定は、やはり大学院の修論となると、興味があるだけでは難しいような気もします。どこにどのくらいの研究がありそうだ、という先行研究などのあたりがわかることも重要に思います。

通信大学、大学院ともに自発的な学習を要求されるところが、一般の大学とは大きく違うことを実感しました。最初は手探りなことも多いのですが、手探りほど充実感、達成感を得られることはないと思っています。

5ヶ月経って、大学院生活は充実しています。美術館へ行くことも、本を読むことも、全てがつながって自身の芸術観を育ててくれていることを実感しています。


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