四十二杯目「茶色い鞄」
茶色い鞄をもらった。
おとうさんに。
ブランドも特別な装飾もない、なんて事のない鞄だ。
四角い、ピカソの画集みたいな。
大事なものは皆入り、大事でないものは入らないくらいの。
茶色い、ラクダの唇みたいな。
朝の光を称えながら、夜の闇にも浮かぶ色。
持ち手の皮が厚くなっていて、手にすっかり馴染んだ。
ぐんぐん進んでいけそうだった。
それ以外は、なんて事のない鞄だ。
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(四月一)
君は友の、澄み切った空気であり、孤独であり、パンであり、薬であるか。みずからを縛る鎖を解くことができなくても、友を解き放つことができる者は少なくない