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【詩】夏夜の衝動

戯けた季節に逆らって
木々は深く眠りに落ちて
陽はまた夜を待ちわびて
湿気さえ狂い踊ってる

蝶が舞えるのが恋しくて
季(とき)が終わるのが愛しくて
雷雨のような憧れを
隠して今日も笑っている

そうして明日を恐れては
誰かを傷つけ生きている
地べたに寝そべり気付くのは
安堵を亡くした事実だけ

閉ざした小部屋の片隅で
夢見れぬ島の片隅で
満たされぬ星の片隅で
侘しい宇宙の片隅で

何を祈ればいいのだろう
蝶も見通せぬこの闇は
掴めぬ月夜を歩くようで
眠れぬ羊が流すのは

痛々しいだけの憎しみと
もがき苦しんだ哀しみと
何も残らない悔しさの
見えることの無い終着点

夏夜の衝動抑えきれずに
ああと叫んでは寂しげに
木霊も残らぬ虚しさが
今日も足音を立てている

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