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I love you. 訳 : 杏子 ~素敵な日本語で言葉遊び


『おいでよ。わたしがあなたの秘密基地になるから。』


杏子流に"I love you"を訳すとこうなる。



"100文字程度で、キャッチコピーでもよし、詩でもよし、小説でもよし、とにかくできるだけ短く、「I love you」という言葉を、素敵な日本語に訳してください。"

という、夏目漱石の『月が綺麗ですね』を時折パートナーに送るくらいには
I love you を日本語で言うと?に心躍るわたしがこの企画に参加しないわけにはいかない。
百瀬七海さん、エモい企画をありがとうございます!

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わたしは恋が好きだし、男が好きです。

こちらの企画に参加するにあたって、
この紛うことなき事実を隠しているとやりにくいんですよね。

なので最初に言っておきます。恋愛体質だし、たらします。って。

あっ、ちょっと、石つぶてはやめてください!笑


好ましい男の子がたとえば弱ってるとか、そういう時。
わたしは強くなる。俄然戦える気がしてくる。

あなたを守りたい。あたしにできること全部やりたい。

で、実際やります。行動力あります。

その結果が、シングルファザーとの超遠距離恋愛の末の結婚になるのです。



わたしの主人イツキは、シングルファザーとして日々戦っていました。
元の奥さんは外に彼氏を作り、こどもも要らないから施設にでも預ければ、
と出ていきました。

そのふたりの子の親権をとったイツキは、実家にも頼らずに
当時住んでいた団地でひとりで子育て、仕事、家事をこなす
過酷な日々を送っていました。

心には傷。でもそんなことより目の前のこと。こどもを愛そう。

この子たちが、「あの子たちはお母さんがいないから」と引け目を
感じることのないように、と
ママさん顔負けのキャラ弁だって、苦手な早起きをして作るような。
そんなパパだった。

過労で倒れたこともあった。
Twitterに「俺はこのままジジィになって独り死ぬのかなぁw」と
弱音を吐くこともあった。

でもこどもたちのため。生涯かけてこの子たちを愛して守る。
そのためなら俺は死んでもいい。

イツキの愛はそういうものだった。


そんなイツキを見ていた。わたしは関東、イツキは九州。
物理的に助けることはできる距離じゃなかった。

けど、ある日の何気ないTwitterのやりとりがきっかけとなって
わたしはイツキと付き合うことをけっこう簡単に決めた。

それだって、「わたしでよければ力になりたい」が原動力だった。

先の記事『メンタルサーファー』でも書いたけど。

イツキと結婚を前提に付き合う、ということは
イツキのと前の奥さんの子ふたりの母親になる覚悟をすることだ。



当時わたしは28歳。周りの結婚ラッシュ第2波が来てたり
お母さんになった同級生が増えてきたなとか、そんなお年頃。

結婚はしたいなぁと思っていた。
けど、わたしには持病もあるし、難しいかなとも思っていた。
いつまでも両親に頼れないから、いざとなったら生活保護かな。
障害年金かな。それで独身で、過ごすのも悪くないかな。

諦めみたいな色の、変な前向きさが痛々しい時期だった。

そのわたしが、結婚もこどもも、叶うのかな?と希望を持った。
けっこうダメだと思う。だって別にイツキのこと、
そういう対象として全く見てなかったから。

なのにさ。イツキに意味深な冗談飛ばし合った後「今夜あけといて」
って言われたその日、わたしはすっかりイツキに恋してたんだ。

チョロい。チョロすぎる。大丈夫かお前。いや大丈夫じゃないだろ。

思ってたのとは違うけど、双極性障害もこの身体の弱さも遺伝しない。
そういうこどもと、守るものは命かけて守る愛があるパパ。
その3人と家族として生きる人生、アリだよね。そう思った。

そしてイツキが珍しくTwitterでこぼした弱音を忘れられなかったから。


1年弱の遠恋を経て、わたしは宮崎に移住し、4人暮らしが始まる。
探り探りのはじまり、文化の違い、環境の変化、いろいろ戸惑った。

イツキはわたしの身体が弱いことも、メンタルが弱いことも承知の上で
迎え入れてくれていたから、わたしに無理させなかった。

でもその分、イツキはわたしを頼らなかった部分がある。
一緒にいるのに、ここまで来たのに、結局イツキは背負っていた。
いろいろなことを。

イツキにしか背負えないものはもちろんある。
わたしはまだみんなのしゃべる宮崎弁の一部がわからないことが
あるくらいだったし。

でもわたしは言った。大変そうに見えたイツキに。

「イツキさぁ、もうちょっとわたしにも、その荷物背負わせてよ?」


このへんにグっと来たらしい。後日談でイツキから聞いた話。
そしてプロポーズされ結婚し、いろいろあって、今がある。

イツキはお人好しで人望があるから会長とかなんか役職を任されるし
しっかりと務めるから、飲みの機会もそこそこある。
イツキはお酒は好きだけど接待は苦手だ。
ここは飲み方が激しい地方だ。お酌されたら断れない空気がある。

泥酔して帰ってくることも多い。
そしてわたしの助けを借りながらベッドに倒れ込んだイツキは、
「俺がんばれたかなぁ…」とわたしに尋ねたりする。

「頑張ってきたよ」って返す。翌朝言っても本人覚えてないんだけどね。

日によっては、泣くことがある。
座ったわたしの太腿にしがみつくように泣きじゃくるイツキの
頭を撫でて、「大変やったっちゃね」と労る。

そんなとき、わたしはたまらなくイツキが愛おしくなったりする。

イツキはそんな素振り、外じゃぜーーったい、見せない。

「杏子ちゃんの前でだけは、俺はありのままになれる」と言う。

「こんなこと言うとアレやけど、前の奴にも見せたこと無い」


「こんな風になれるのは、杏子ちゃんの前だけやわ」


いつからだろう。この台詞、落とした男…いや、すみません、
恋愛関係になったパートナーが漏れなく言うんだけど。笑
何なの?むしろわたしがそれで落とされてるの?

でも、それでもいいか。

わたしは、大切な人の、秘密基地になりたいんだ。

所謂、外。『社会』の中で男性は男性ゆえに背負ってるものがある。
女性だって「女だから」の呪縛が死ぬほどあるけどね。それはまた
後日、機会があったら書きます。

そういうところでたくさんのものを背負って戦ってる男性が
もし傷ついたり弱ったりしていたら、ちょっと休んだら?って
言いたくなるんだ。
泣くなんて恥ずかしいって言えば、泣くほど頑張ってるんだよって言う。
甘やかしたくなる。笑

なので、わたしの、I love you に対する最高のアンサーは、

「こんな風になれるのは、杏子の前だけだよ」ってことで間違いなさそう。


なんかこんな薄汚いところを晒す予定はなかったのになぁ…。
結局わたしはそんな自分が好きだな、と思っちゃうから書くんだろうな。

I love me になれるレベルには、程遠いんだけどね。
わたしは自分を甘やかせない癖が抜けてない。

その分は、youに満たしてもらおうかな♡


倍にして返すくらいの文章を書くよ!!!!!