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「母だからは関係ない」フリーランスライター徳山チカの“自分”を生きる考え方

『私が一番大切にしたいのは私』

これは2人のお子さんの子育て中で、フリーランスライターとして活躍されている徳山チカさんのnoteのある記事の題名です。

果たしてここまで言い切れる人は、どれほどいるでしょうか。特に子育て中のママ・パパは仕事と子育て、そして自分の時間とのはざまで悩んでいるはず。

そこでチカさんにこのnoteを書くに至るまでのお話を聞き、仕事・子ども・自分にどのように向き合っているのか、お話を伺いました。

「母」としてどのように時間を使い、メンタルを保ち……を聞こうとしていたのですが、もっと深い大事なことに気づかされました。

(この記事は自主企画『Ur Ordinary』の第2弾です。)

徳山チカ
大学卒業後にウエディングプランナーをしたのち、住宅関係の会社に転職し営業職として働く。2023年の7月ころから本格的にフリーランスライターとして活動を開始。インタビューライティングを中心に記事を執筆している。また、2人の男児の育児に奮闘中のシングルマザー。
好きなものはラジオ・音楽・コーヒー・スパイスカレーで、それらを楽しむ様子もSNSで発信している。
note:https://note.com/tokutenna
X:@tokutenna

社会的ポジションは問題じゃない。「やりたいからやる」ただ、それだけ

ーー大学卒業後はウエディングプランナーをされ、その後は住宅関係の会社で営業職をされていたチカさん。そこからなぜ、まったく異業種のライターを志されたのですか?

チカさん:
私は小さいときから読んだり書いたりするのが好きでした。家族にもよく手紙を書いたり、悩んだときはノートや手帳に頭で考えていることを書き出したりなど、とにかく文章に触れることが好きだったんです。

あと、自分の書いたもので「元気をもらった」と言ってもらえた経験があったのも大きいですね。

その中でも1番心に残っているのは、就活時代のある出来事。あの時期は自己分析や他己分析をしないといけなかったので、友達の他己分析をして、自分なりに一生懸命文章にして、届けたんです。すると友達から「背中を押された」とか「自分のいいところに気づけた」などと言ってもらえて。それがとても嬉しくて。

「私が書くことでこんなに喜んでもらえるんだ!」と感じられた大切な経験になり、それが今につながっています。

ーーそうだったんですね。ライターを目指すとしても、会社員としての働き方もあったと思います。フリーランスを選択されたのはなぜですか?

チカさん:
最初はまったくフリーランスという働き方は頭にありませんでした。しかし、自分が出産をして育児をするようになったことや、コロナウイルスの影響で働き方について考えるようになりました。

どんなときも、どんな場所でも自分の好きなことで人の役に立てないかな……そう思ったときに、フリーランスとしてライターをするという考えに至りました。

ーー今、チカさんはおひとりで2人のお子さんの子育てをされています。個人的にはその状況で新しいことにチャレンジされたことにとても驚いています。不安はなかったのですか?

チカさん:
結論から言うと、不安はありませんでした。

そもそもシングルになる前から、すでにフリーランスライターになろうと思っていたんです。たとえ子どもがいようが、シングルだろうが、大家族だろうが「やりたいと思ったらやる!」というのが私の考えなので、自分の状況を我慢の材料にしたくありませんでした。

子どもを育てる責任はすごく感じていますし、自分なりにその責任は果たしていくつもりです。でも、私にとって仕事は生活のためだけでなく、自分のためにするものだと考えています。

もし、やりたい仕事を選んだけど明日の生活に困るような状況なら、子どもと自分が生きるためにほかの仕事を選べばいい。それでも書く仕事を続けたいなら、ちょっとずつでもライター業を続けようと柔軟に考えられたので、まずはやりたいことをやってみようと思って挑戦しました。

私のハッピーを保つために、「スキ」に向き合う時間に罪悪感は抱かない

ーーチカさんのSNSを拝見していると、子育てと仕事に奮闘されながら、ご自身の趣味も大いに楽しまれていると感じます。どうやって時間を捻出できているのですか?

チカさん:
時間は本当にありません!どうやって時間を作れるのか、私もしりたい(笑)。いくら便利な家電を使おうと時短調理を学ぼうと、時間は全然足りません。でも、それは子育てをしている・していないは関係ないと思うんですよね。

だから私は、好きなものへの向き合い方を変えることにしました。 

たとえば、夜にお風呂に入りながらラジオを聴くのを楽しんでいましたが、子どもたちを保育園に送り出したあとの朝風呂で楽しむというルーティーンに変えました。また、寝かしつけや夜泣きの時間にワイヤレスイヤホンをつけてサブスクで一気にドラマを観るようにしたり。

つまり、今できる方法で最大限に楽しむ工夫をするようになりました。そこに至るまでには、悲しくなったり泣いたり……いろんな感情が渦巻いていましたが、やっとうまくタイミングを見つけ作り出せるようになりました。今ではそれが自分の得意技になったと思っています。

「子どもと一緒に私の趣味を楽しむこともあります」とチカさん

ーーチカさんも葛藤されたんですね。でもやはり、パートナーや子どもができると、趣味に時間を費やすことにうしろめたさを感じてしまう人が多いと思うんですよね……。

チカさん:
それはとてもわかります。でも0か100じゃないんですよ。私は「全部を我慢すべき」と考えなくていいと思っていて。

「お母さんだから子どもを1番に考えなければ」という固定概念は、誰もが持っていると思うんです。でも私は、学生や社会人、年齢などみんなそれぞれの立場で「〇〇なんだから〜であるべき」みたいなものを感じ、苦しんでいると思うんですよね。

そして、生きていたら心地よかった何かを変える必要がある時期が絶対にある。だから人は何かしらのストレスが常にあると。

そこで私は一度、環境や自分の立場が変わっても、自分に何をしてあげたら前向きさをキープできるか考えたんです。すると「自分の好きなものに触れ合う時間を持つこと」が私にとって一番大事であると気づいたんです。

我慢を強いられる状況になりストレスを感じるときは、どうしたら自分がご機嫌よく過ごせるかを知り、自分の生活に取り入れていくことは悪いことではない。自分をハッピーにしてあげるためには必要なことだと考えられるようになりました。

ちなみに、私は子どもの前でも自分の趣味を楽しんでいるので、その影響で子どもたちは毎日ミュージックビデオを見ながら、ライブを開催しています(笑)。

ーーなんとかわいらしい(笑)!「自分を大事にすることを大事にする」は、自分のまわりのハッピーにもつながるかもしれませんね。

チカさん:
そうかもしれません。でも、気持ちの切り替えがなかなかできず、うまくいかないこともあります。そんなときはnoteに書いて発信することで、気持ちを整理しています。

自分の悩みを吐き出しただけなのにコメントをいただけたら、誰かの心をちょっと軽くできたんだなと嬉しくなるんです。やっぱり書くことが好きだし、書くことに助けられていると感じますね。

目標はしっかり!でも毎日のゴールは「今」に合わせて柔軟に

ーーチカさんは今後、どのようなキャリアを歩んでいきたいですか?

チカさん:
私は誰かの背中を押すことも、さすることもできる人間になりたくて。それを仕事でも実現したいと思っています。
 
今は取材ライターとして執筆を行っていますが、今後は記事をどう人に届けるのかまでを考えられる、編集目線を持ったライターになりたいんです。

そして、チームでも仕事をしていきたい。記事はまず読んでもらうことが大変なのに、そのうえ、人の心を動かすのは簡単ではありません。だからこそ、チームの力を結集する必要があると思うんです。なので、ライティング力、編集力、メディア運営の方法などを身につけていきたいんですよね。

ーー将来の展望が具体的ですね。子育てをしながら、どのようにステップアップをしていこうと考えていますか?

チカさん:
もともとは、完璧主義でストイックなところがあって、バリバリ働きたいタイプなんですよ。 

でも今は子どもにまだまだ手がかかる時期なので、子育てがもう少し落ち着いて仕事に時間と体力を割けるまでは、ライティング力や編集力を磨いたり、人脈を作ったりする時期だと思っています。

自分の置かれた状況に合わせてゴールの位置を柔軟に変える。これがとても大切なことだと思っているんです。

ゴールは低く設定しても、そこに対しては自分の完璧主義を発揮してバリバリ頑張る。性格もうまく生かせるように工夫をしながら、バランスを保てるようにしています。難しいですけどね。

ーー本当は「子育てと仕事に奮闘されている方に一言!」というフレーズで締めたかったのですが(笑)。チカさんのお話を聞いていると、自分がとても狭い視野で物事を見ていることに気づきました。

ということで、もう少し対象を広げて。今の自分の立場から我慢をしてしまったり、一歩踏み出せない人に一言お願いします!

チカさん:
学生・社会人、既婚・子持ち・独身、男・女など、私たちは社会的な立場にあった振る舞いをしなければと考えがちです。そしていろいろと制限を感じてしまう。

でも、どのような立場にいても、好きなように楽しんでいいと思うんです。制限されたなかで楽しむには悩みはつきものですが、同じように悩んでいる人はたくさんいるんですよね。私もそうです。そう感じるだけでも、少し心が軽くなるのではないでしょうか。

あまり制限をかけず、今の状況に合わせて自分のやりたいことが実現できるように環境を整える。そしてゴールを柔軟に設定しながら、「自分を大事にできるのは自分」の視点を持って毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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今回お話を伺うなかで、チカさんは自分自身を中心に置き、「母」「ライター」は要素の1つと捉えているのではないかと感じました。

この「要素」は自分の意図に反して増えたり減ったりすることも。だからこそ捉われすぎず、真ん中の「自分の声」に耳を傾けることが大事なのかもしれません。

そんな新たな視点に気づかせてもらえたインタビューでした。

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