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旦那の夢とともにオランダへ移住した私の「人生を楽しむ秘訣」

自主企画『Ur ordinary』の1回目。

記念すべき初回は、旦那さまの「JAZZ奏者になりたい」という夢をかなえるため、一緒にオランダへ移住をしたmihoさんにお話を伺いました。

日本で美容師をしていたmihoさんですが、ご自身も「タイマッサージを学びたい」と思い立ち、タイで1ヶ月修行をした経験があります。帰国後には美容師とタイマッサージ店、パン屋でのアルバイトという三足のわらじを履いていた時期もあるなど、とてもパワフルな方です。

しかし、ご自身が夢に挑戦したのは20代中盤。なぜ結婚後、30歳を迎えたタイミングで旦那さまの夢を後押しできたのでしょうか。

今回はmihoさんに移住を決断するまでのお話と、人生を楽しむために大切にしている考え方を伺いました。

miho
京都府出身。専門学校卒業後、美容師に。旦那さまとはお客様として出会い、2018年に結婚。2022年にオランダに移住。

「面白そう」を優先する私は、みんなの「普通」の枠にはまらないらしい

ーー現在、オランダの大学でJAZZを学ばれている旦那さまですが、以前は何をされていたのですか?

miho:
私と出会ったときは市役所で公務員として働いてました。でも、その前には別の仕事をしていたようです。

1社目で働いていたときは日付が変わるまで働く生活で、趣味の音楽に割ける時間が持てなかったと聞きました。そこで、プライベートの時間を確保したいと思い公務員へ転職したそうです。

でも、公務員になっても時間的なハードさは変わらずで……。それがあるとき他部署へ異動になって、やっと音楽に向き合える時間が増えてきました。すると旦那は音楽に対する気持ちが強くなっていったようです。そして最終的に、私に海外への留学の相談をしてきました。

ーー奥さまの立場として「公務員を辞めてほしくない」と思いませんでしたか?

miho:
旦那は仕事に対しては一生懸命でしたが、私はなんとなく「いつか辞めるんじゃないか」と思っていました。だから、もし辞めるならいつ辞めても一緒だと。

でも実はすでに家を買っていて、リフォームも進んでいたんです。世間的には、結婚して家を買って、子どもを産むという流れがありますよね。自分もそうなっていくのだろうと想像していたのですが……。

みんなの「普通」は私の「普通」じゃないんだなと思いました(笑)。

ーー衝撃的すぎる……。最終的に旦那さまの夢を応援しようと思えたのはなぜですか?

miho:
「それも面白いかな」と思えたからです。お金のことなど細かいことを考え出すときりがありませんでしたが「いけるんじゃない?」と。

そして「やる!」と決めてからはどんどん進んでいきました。

留学先にオランダが浮上したのは、旦那がすでにいい学校があると調べていたからです。あと物価なども考慮しました。ほかにも調べていくうちに、オランダには起業家ビザという、個人事業主がオランダで労働できるビザがあるということがわかって。美容師をしていた私にとってそれは好条件でした。

そして、移住前に下見を兼ねてオランダへ行きました。ちょうど冬だったので、ヨーロッパらしいクリスマスの雰囲気に完全に心が奪われて。移住したい気持ちがどんどん高まり、結局そのときに訪れたマーストリヒトという街に移住すると決めました。

ーーオランダでの生活を開始され1年半がたちましたが、いかがですか。

miho:
私は現地で美容師として仕事をしていますがバリバリ働いてはいないので、ストレスフリーの状態で過ごせています。

あと、オランダでは干渉しあわない感じがあり心地がいいですね。自分の英語力の問題もあるかもしれませんが(笑)。

日本では普通じゃないことをしようとすると、応援してくれる人もいますが、「こうじゃないといろいろと苦労するし大変だよ?」と言われることも多いと感じていました。心配してくれているのはわかっていたのですが……。その点、オランダの方が人といい距離感が保てている気がします。

とはいえ、日本が恋しくなるときもありますよ。マナーの部分で日本人はきちんとしていると感じることがしばしばあって。自分もそれを求めていることに気づいて「私は日本人だな」と痛感します。

先のことはわからない。だからこそ柔軟に。

ーーところで、mihoさんも旦那さまも英語は堪能だったのですか?

miho:
旦那は基本的なことは英語で話せると思います。私は中学英語のレベルかな……。友達が1人もいないし英語も話せないけど、「全然いけるでしょ!」と思いました(笑)。

そういえば1回だけオランダ人のご婦人がやっているマンツーマンレッスンを受けたんです。でも何を言っているのか全く理解できず、フリーズしてしまって。帰り道、少しだけ泣きました。レッスン中の記憶が何もないぐらいのショックな経験でしたね。とはいえ、家に着いたら回復していました(笑)。

そこから「英語を勉強しなきゃ」とは思うのですが、なかなか……。英語が出てこないときは「伝われ!」と思いながら、日本語で話していることもありますよ(笑)。

ーー豪快すぎます(笑)。みほさんの強さは「なんとかなる」精神と切り替えの早さですね。すてきです!
ところで、旦那さまはいつ学校を卒業する予定ですか?

miho:
2026年です。でも今の学校に最後まで行くかはわかりません。旦那から「他のところで学び直したいかも」と言われていて。

ーーえっ!?お金のことも含め、いろいろと大丈夫なんですか?

miho:
そうですね。お金のことは今の状況でも死にはしないから大丈夫かなと(笑)。

でも今の私の収入だけでは不十分なので、2人の貯金を切り崩して工面しています。移住前がちょうどコロナ期間だったので、2人とも趣味にお金を回さずにひたすら貯金をしていました。そのほかにも、オランダに来る前にいろいろな準備をしてきました。

勢いで進んだ部分はありましたが、実は堅実なところもあるんです。

日本では考えられないぐらいの節約生活をしていますが、心の余裕は今の方があると感じています。私は刺激を求めるタイプなので、海外で過ごす方が満足できているのかもしれません。

だからもし、旦那がほかの国で勉強したいと言っても「いいよ」と答えると思います。でも、次に行ったところが思っていた生活と違っていたら、私は日本に帰ればいいとも考えていて。

ーーそうなんですか!?旦那さまはそれでも大丈夫なのですか?

miho:大丈夫だと思いますよ。旦那と私は夫婦というより、親友という感じだと思っています。ずっと一緒に付いていかないとダメとは考えていないんですよね。

“挑戦したくなってしまう状況”を自分で作る。失敗しても戻ればいいだけ。

タイマッサージを現地で学ばれていたmihoさん

ーーここまでお話を伺い、mihoさんの柔軟で自由な発想がすてきだと感じています。なぜmihoさんはそこまで自分の想いに素直に生きられるのですか?

miho:
私はあまり周りの意見を気にしないからですかね。気にしていたら何もできない。もし、私の考えに対して反対意見を言われても「あなたはそう考えるんだね」と分けて捉えるようにしています。

ーーとはいえ、人の意見に影響を受けやすく、身動きが取れなくなってしまう方もいると思います。そんな人はどうしたらいいでしょうか?

miho:
そうですね。たとえば私がほかにしていることは、やりたいと思ったことを調べ倒すこと。同時に、うまくいくことをとにかくイメージするようにもしています。たくさん知識を入れて、成功する姿を想像することで気持ちをどんどん高め、思わずやりたくなるような状況を作りますね。

あと、周りの意見が出てくるとは思いますが、やりたいと思ったことを口に出すことはとても大事

実は私が日本で美容師をしていたとき、あるお客さまが私たちが移住する近くの街に知り合いがいると紹介してくださったんです。そんな偶然があったら、より気持ちが高まりますよね。

結局、私たちがオランダへ渡ったあと、その知り合いの方の出張美容師としてお仕事が始まりました。するとその方が私のことを広めてくださり、ちょっとずつお客様が増えていって。

どこにチャンスが転がっているかわからない。だから想いをかなえるために口に出すことは本当に大事です。

ーー行動することで、ご自身でチャンスをつかまれたのですね。すごいです!
では最後に、挑戦することになかなか踏み出せない方に一言お願いします。

miho:
「チャレンジすることに年齢は関係ない!」と言いたいですが、やはり私も20代の方が恐れはありませんでした。

でも30代だってまだまだいける失敗しても全然やり直せる。

私は自分の夢を叶えるために海外に移住したわけではありませんが、「一緒に決めたんだから、最後まで旦那を支えなければ!」と背負っていません。旦那にもいろいろな選択肢を持って楽しく夢を追いかけてほしいと思っています。

自分の決めた道で何かを成し遂げないとと固くならないこと。失敗しても進む方向を変えればいいし、戻ってもいいんです。

みんなの「普通」でなくても大丈夫。苦労も多いかもしれませんが、あなたの「普通」を楽しんでみてください。

○ ○ ○

ここには書ききれなかった面白エピソードがたくさんあり、mihoさんのポジティブさに多くの元気と笑いをいただきました。「なんとかなる」をよく口にされていたmihoさんですが、きちんと考えて準備をしてから挑戦をされていたことも印象的でした。

私たちは何かを始めると結果を残すことに必死になり、目標が達成できないと全てが無意味だったと感じてしまいがちです。しかし、もっと心を軽くして、一歩を踏み出してもいいのかもしれません。

しなやかさと柔軟さが人生を楽しむ秘訣だと、mihoさんから教えてもらえたインタビューでした。

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