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印度林檎之介@小説
2016年4月8日 06:22
私の母は変顔が得意だった。娘である私を赤ん坊の頃から大笑いさせていた。まったく、私はいつでも必ず笑ってしまうのだ。小中高校の卒業式では変顔を連発され、卒業写真の顔が微妙にゆがんでいるくらいだ。そんな母ともついに、別れの時が来た。病院で泣きじゃくりながら年老いた母の手を握る。「とうとうお迎えがくるようだ。達者でくらしなさい。どうか幸せに……」母の声が途絶えた。