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印度林檎之介@小説
2016年3月24日 07:39
まだ、江戸に幕府ができる前、関東平野が開かれる前の話である。街道を急ぐ旅装の僧侶がいた。年は若い、青年といったところか。傘をかぶり、手にした錫杖は鋼鉄製のようだ。後の時代では、関東山地と呼ばれている一帯にある、山を目指していた。目指す山のふもとには一軒の茶屋がある。ここは、老夫婦が二人だけで切り盛りしている。「これはこれは天海様。お久しぶりでございます」店の親父は愛想よく挨拶す