マガジンのカバー画像

一千一瞬物語 (140字小説・コント)

108
トークで(140字以内)で書いた、小説、コント等
運営しているクリエイター

2015年9月の記事一覧


僕はネイルアートがきらいだ。

僕の姉の爪は真っ赤に塗られ、鋭く尖ってビーズがちりばめられている。
僕の恋人の爪はキラキラした長く伸びたツケ爪だ。

どんなに彼女達がやさしそうに見せても、僕は警戒して観察するのだ。
……だって刺さると痛そうじゃないか。


満月の夜の帰り道。ふと空を見るとお月様が満面の笑みでこちらを見ている。
「お月様にはお顔があったんですね。今まで気づきませんでした」
「いつもは後ろを向いているからね」
…そうなのか。あれ?今、なぜ私とだけ話ができたんだ?
あわてて視線をあげるとお月様はもう後ろを向いていた。