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戦略コンサルタント流の会議術(後編)

戦略コンサルタントのアップルです。

戦略コンサルタントの会議術の後編です。後編では、会議資料作成のお作法についてお話します。ご紹介するちょっとしたお作法で会議資料を準備すればきっといい会議になるはずなので、ぜひご覧ください。

また、最後に、会議オーガナイズ力の源泉となる大事な力についても言及しました(これが結構本質的だとアップルは感じています)。

※前編の記事はこちらです。併せてご覧ください

前編では会議術には3つの押さえるべきポイントがあると述べました。

1.会議の目的や種別の設定
2.会議の時間と時間配分の設定
3.会議資料づくりのお作法

前編では1と2について解説しました。後編では3についてお話します。

3.会議資料づくりのお作法

会議の目的が明確に設定され、会議の時間(尺の長さ)と時間配分も的確なイメージに基いて決められたら、会議に持ち込むコンテンツの準備に入っていきます。

3つの会議のタイプに応じて持ち込むべきコンテンツは以下のように変わってきます。

・議論の会議 ⇒ 議論の材料としてのディスカッション資料
・報告と意思決定の会議 ⇒ 報告資料
・ブレストの会議 ⇒ ブレストの論点やアジェンダ

ブレストの会議は、1枚のアジェンダペーパーを持ち込むくらいなので、お作法というほどの話はありません。また報告資料も、「何を意思決定してほしいか」を明示するくらいです。最もお作法が必要なのはディスカッション資料ということになります。

したがって以降は「ディスカッション資料」の作り方のお作法に焦点を絞ってここではお話しようと思います。

結論から先に言いましょう。ディスカッション資料の入口と出口に以下の3つの要素を入れるのが効果的なお作法です。

①前回の議論の振り返り(入口)
②本日お話する内容(入口)
③ディスカッションしたいこと(出口)

とても簡単です。ディスカッション資料にこの3要素を入れるだけです。パワポで資料を作る場合は、①~③それぞれ1枚ずつ、計3枚のスライドを加えるだけのことです。しかし、このちょっとした味付けがディスカッション資料にパワーを与えます。それでは順に説明していきましょう。

 ①前回の議論の振り返り(入口)

議論というのは1回で終わることは稀です。複数回の会議にわたって議論が重ねられていくケースが多いでしょう。そうすると前回に何について議論して、何が議論されて、何が決まったのかということを「振り返る」のが大事になります。

会議が毎日のようにこまめに続く場合は問題ないですが、会議というのは前回から1~2週間、場合によっては1ヶ月以上間隔が空くこともよくあります。戦略コンサルティングプロジェクトにおけるクライアントとの会議も、平均すると2週間に1回くらいのペースです。

このように間隔が結構空くと、人間というのは前回の会議のことを忘れます。もちろん、完全に忘れるわけではありませんが、部分的に記憶が飛び、いわゆる「うろ覚え」の状態になります。

そのため、前回の議論の振り返りがとても大事になるわけです。

これを資料の冒頭に入れることで、「あー、先々週こんな議論をしたな。ふむふむ、思い出してきたぞ」と、うろ覚え状態になっている参加者の記憶を呼び覚ますことができます。これによって、前回の議論の続きとして、報告や議論にすっと入っていくことができます。

逆に、これを怠って本題に入ると、
「え、前回の議論うろ覚えだから、なんか話が頭に入ってこないな、、」
「えーっと、これ、何の話だっけ?」
「うーん、なんでいまこの議論してるんだっけ?」
というよからぬ反応が噴出するリスクがあります。

 ②本日お話する内容(入口)

ディスカッション資料の説明が30分くらい続くことも大いにあるでしょう。30分の説明を、説明の全体像もわからぬまま聞き続けるのは、聞き手はかなりしんどいものです。フラストレーションもたまります。

そのため、冒頭で「今日は全体としてこういうお話をします」ということを宣言することは意外と有効です。聞き手は「なるほど、今日はこの3つの話がこれから出てくるんだな」という心構えで聞くことができるからです。

 ③ディスカッションしたいこと(出口)

これは最後の出口の話です。資料の中身の説明だけで、尻切れトンボで終わってはいけないということです。

ディスカッション資料というのは、その資料の説明自体が目的ではなく、その先の議論が活発に行われるための呼び水になるのが目的です。ですので資料の説明の最後に「この説明を踏まえて何を議論したいのか」という論点が示されていることは必須です。

ただ、これが抜けている資料を、非常によく見かけます。ディスカッションペーパーという名目の資料なのにディスカッションポイントが示されていない。これは滑稽でしかありません。

この資料の先にどんな議論を誘発したいのか?。これをしっかりとイメージしつつディスカッションポイントの提示で資料を締めるようにしましょう。

まとめ

2回にわたって戦略コンサル流の会議術をご紹介しました。いずれも高等テクニックのたぐいのものではなく、とてもオーソドックスな内容だったと思います。

簡単に内容をまとめておきましょう。

戦略コンサルタントの仕事において会議は重要な主戦場。だからこそ会議の生産性を高めるためのお作法やテクニックが洗練されている

会議術のポイントは3つある
 ・1.会議の目的や種別の設定
 ・2.会議の時間と時間配分の設定
 ・3.会議資料づくりのお作法・型

それぞれのエッセンス・お作法は以下
・1.:議論、報告と意思決定、ブレストのどれなのかを明確にする
・2.:会議をイメージし、必要時間と説明・議論の時間配分を決める
・3.:振り返り、本日お話する内容、ディスカッションポイントを入れる

意識次第で、どれも直ちに実行できるものだと思います。「あー、これやってなかったな」という気付きがあれば実践してみることをお勧めします!

「会議オーガナイズ力」を高めるために必要なこと

以上、会議術のポイントやエッセンスをご紹介してきました。個別にみれば意識次第で誰もができる話なのですが、実は、これをどの程度実践できるかを大きく左右するスキルがあります。

それは「先読みしてイメージする力」です。

例えば、会議の時間設定や時間配分を決めるべき、というのは簡単ですが、的確に時間をコントロールするためには「会議の姿をリアルにシミュレーションする」ことが求められます。

・これくらいの情報をインプットするなら、スライドは何枚くらい必要だな

・だとすると、説明時間は●分くらいは必要だな

・その後の議論はどうだろうか?AさんやBさんは色々話したがるから、その他の人の意見も引き出すためには●分くらいは確保しておくべきだな

こんなようなことをあらかじめ頭の中でシミュレーションすることで、はじめて的確な時間のコントロールができるわけです。

会議の資料準備も同様です。何を会議のゴールや落としどころとするかを先んじてイメージし、そこからディスカッションポイントを設定し、ディスカッション資料の内容を組み立てる。このようにゴールイメージから逆算して考えることで、はじめて効果的な会議資料になります。

この先読み力というのは、ただちに身につくものではなく、意識して実践を繰り返す中で徐々に底上げされてくるものだと思います。先読み力があるかどうかで仕事の試合運びは格段に変わってくるので、意識的に高めていくことを特に若手の方にはお勧めします。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!




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