原因自分説って考え方、どうなの?

戦略コンサルタントのアップルです。

原因自分説という言葉、みなさんもどこかで聞いたことがあるんじゃないかと思います。アップルの周りのお偉い人でもこの手のことをおっしゃる方は何人かいますもしくはいました。

結論を先にいうと、アップルはこの原因自分説という言葉は胡散臭いし大嫌いです。これを自分の信条とするだけならまだしも、他人に押し付けたり、あたかもこれが正しい考え方であるかのような言い方をすべきではないと考えています。

なぜ、嫌いなのか?
なぜ、胡散臭いのか?

3つの理由を説明しましょう。

1.そもそも事実ではない

原因自分説というのは、すべての結果の原因を自分に帰すという考え方です。何かがうまくいっても、その原因はすべて自分。逆にうまくいかなくても、その原因はすべて自分。この前提で物事の結果を咀嚼・反省しようというスタンスです。

ただ、世の中、どんな事象であれそんなことはあり得ません。

どんな事象でも、その原因は、
・自分
・他者
・環境
の3つが絡み合っています。

原因の重みの分布は、ケースバイケースでしょう。今回の件については自分に原因が80%くらいあった(8割方自分が原因)ということは時にありえます。ただ、その場合も100%ではないです。必ず一定の割合は他者や環境に起因しています。

このように、科学的な目でみたとき、原因自分説というのはまず事実ではないです。事実じゃないことを事実のように前提すると、原因分析の客観性がなくなり、歪められるので、非常によくないとアップルは考えます。

2.強者が弱者をコントロールするための方便

この「原因自分説」という言葉、どちらかというと年長者や役職上位者が口にする傾向がある気がします。

年長者の中には、原因自分説の考え方を矜持として成長されてきた人も中にはいるでしょう。「自分がこの考え方で成長できたから、君たちもすべての原因は自分にあるというくらいの心構えの方が成長が加速されていいよ」というニュアンスは確かにあります。

ただ、こういう「健全なお勧め」は、全体の中の一部な気がしています。

これはややうがった見方かもしれませんが、原因自分説を唱える人の多くには、「原因自分説を洗脳した方が、部下などをコントロールしやすい」という意図が見え隠れします。

部下が原因自分説を信奉すれば、仮に何かの失敗の原因が上司や会社にあったとしてもそこを突っ込まれずに済む。結果上層部としては安泰である。こういう意図です。

このようになんとなく強者が弱者をコントロールするための表向きの偽善感が漂うのが、アップルがこの言葉が嫌いなもう一つの理由です。

3.打ち手がゆがむ

1.のところにも少し書きました。

原因自分説はそもそも事実じゃないので、この考え方に立脚して原因を分析すると、その分析はゆがみます。ゆがんだ分析に基づく打ち手もゆがむことになります。

どういうことか、仮想ケースで考えてみましょう。

【仮想ケース】
あなたは営業の仕事をしています。まだ経験が浅いので、上司の同行のもと営業に行くことが多いです。

あるとき、上司から「A社から提案依頼が来たから、一緒に営業しよう」「提案書は君が作ってくれ。当日のプレゼンも君にお願いしたい」という話がきました。

あなたは、「うーん、ちょっと筋が悪い感じがするな、、」と思いつつも、断るわけにもいかず、頑張って提案書を作り、上司とともに提案に行きました。

結果は失注。何が悪かったんだろ?とあなたは反省を始めます。

こういうとき、原因自分論で考えると、次のように思考が働きます。

「提案書のここをこうしておいた方が良かったかな、、、」
「提案書を作るスキルが私は足りないんじゃないか、、、」
「プレゼンももっと練習しておけばよかった、、、」
「そもそも、私は営業の仕事が向いていないんじゃないか、、、」

自分だけに目が向き、自分に対してあら探しをはじめ、人によっては自信の喪失につながってしまうでしょう。

一方、原因自分論に縛られていなければ、次のように思考が働くはずです。

「そもそも、今回の案件は、スジワルだと最初から感じてたんだよな、、」
「上司はスジワル案件に気付かない傾向が多い。その辺のセンスは正直あまりない。案件を受けるかどうかのタイミングで、自分の意見をちゃんと伝えた方が良いな」
「私自身で筋の良さそうな案件を探してくる努力もしていかないとな、、」
「無論、私自身の提案・プレゼン力もまだまだ。もっと研鑽を積まないと」

このように、原因を他者(上司)と自分の両方にまたがるものと捉えることで、分析が立体的になり、打ち手も現実的なものが導かれます。

原因他人自分説が正しい

ということで、アップルは、原因自分説でもなく、原因他人説でもなく、原因他人自分説が正しいと考えます(それってもはや説って言えないんじゃねえの?、という感じは否めませんが笑)。

何事が起きた時も、結果の原因は自分要因、他者要因、環境要因が複合していると考え、冷静に客観的に分析をし、打ち手を考えたいものです。

いかにも戦略コンサルっぽいまとめ方で申し訳ございません笑。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!



この記事が参加している募集

#スキしてみて

528,758件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?