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退職の挨拶にその人の価値観が見え隠れするという話

戦略コンサルタントのアップルです。

コンサルティング業界は人の出入りが激しい業界です。常に新しい人が入ってくると同時に、一定のペースで卒業していく人がいます。アップルもこれまでにたくさんの人たちの退職の挨拶を聞いてきました。

そんな中で、退職の挨拶というのはとてもその人の人間性や価値観が出ると感じています。今回の記事ではその点について書いてみたいと思います。

退職の挨拶は一つのスピーチの場

人生においては要所でスピーチの機会があります。最も代表的なのは冠婚葬祭でしょう。

・結婚式
男性メインではありますが、結婚式では新郎のスピーチが必ずあります。

・葬式
喪主の挨拶はある種のスピーチと言えるでしょう。

・祭事
お祭りやイベントでのスピーチです。もっとも身近なところでは、飲み会の乾杯の挨拶、締めの挨拶もスピーチと言えるでしょう。

加えて、転職が当たり前となった現代では、「退職の挨拶」や「入社の挨拶」もスピーチの一つの代表的な場になってきていると思います。定年まで勤めあげる時代は、退職の挨拶は3~40年に1回でしたが、現代では個人差はあるものの平均すると5~10年に1回のペースで退職の挨拶をする機会があるでしょう。

冠婚葬祭におけるスピーチと退職のスピーチとで異なる点は、その人の価値観の出やすさだと思います。冠婚葬祭のスピーチにはある程度「お作法」があります。結婚式における主賓のスピーチなんかはまさにそうで、3つの袋のようなお決まりもあれば、絶対口にしてはならない禁句もあります。いろいろと型や制約がある中で、ある程度標準化されており、逆に言えばスピーチする人の個性や価値観はそこまで出ません。一方で、退職のスピーチには、その人の個性や価値観、仕事観が色濃く反映されます。そこが退職のスピーチの面白いところだと感じています。

ちょっと残念だと感じた、とある上司の退職挨拶

ここで一つエピソードを紹介します。

アップルが今のファームでとてもお世話になった上司がいました。仕事は素晴らしくでき、また人間性の面でも隙がないように見える立派な方でした。その方が次のチャレンジに向けて退職するとき、社員に向かって退職の挨拶をされました。もちろん、お世話になった上司として、アップルもその挨拶に耳を傾けていました。

その上司の挨拶は手短でした。手短な挨拶の中でも印象に残ったのは、「上司へのお礼」しか話さなかった点です。その方はパートナーだったので、ファーム全体に対して、あるいは部下や後輩に対してのメッセージが主であろうと勝手ながらアップルは想像していました。その予想が、いいか悪いかはさておき、裏切られたのです。

繰り返しになりますが、その退職の挨拶がよい・悪いという話ではありません。ただ、率直な感想として、「この人はこれまで、本質的には上を向いて仕事をしてきたんだな」ということを察したのです。それは、アップルの価値観とは異なるので、ちょっと残念だなと思いました。

退職の挨拶の3パターン

ここで抽象化してみましょう。上記の元上司のパターンも含め、退職の挨拶には大きく3つのパターンがあると思います。

①上を向いた挨拶

先のアップルの元上司と同様、お世話になった、仕えた上司に対するお礼の言葉がキーメッセージの挨拶です。「●●さんには▲▲でお世話になりました」と一人ひとりの名前やエピソードを出しお礼の言葉を述べていきます。

②下を向いた挨拶

①の逆のパターンです。上司ではなく、自分を支えてくれた部下や後輩に対してのお礼の言葉がキーメッセージの挨拶です。定義により、管理職以上の人がこのパターンをとります。チームワークが大事だと思っている人、チームワークが好きな人がこのパターンをとりがちだと思います。

③環境を向いた挨拶

自分を育て、成長させてくれるのは環境であるという思想の持ち主が選ぶ挨拶です。会社というのは一つの環境です。そして、環境が人を育てるという側面は必ずあります。この会社という環境で働けたことに、またその環境の中で得難い経験をさせてもらえたことに感謝したいという想いが強い人は、その点にフォーカスした退職の挨拶をします。

まとめると、次図の通りです。

退職挨拶

アップルはどのパターン?

最後にアップルはどのパターンなのかをお話しします。アップルは、「下」を向いているが7割、「環境」を向いているが3割くらいのハイブリッド型だと思います。裏を返せば、上のことはほとんど向いていないです。育て親に対して礼儀のない奴ですね笑。これもよいか悪いかはさておき、私の価値観・仕事観を色濃く反映していると思います。

みなさんはどのパターンでしょうか?


今回はここまでです。
最後までご覧頂きありがとうございました!

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