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常識的に考えることの大切さ

戦略コンサルタントのアップルです。

戦略ファームの中でプロジェクトメンバーたちと議論している中で、「あー、こいつ机上の空論に流れとるな」と感じることが多々あります。

机上の空論とは、要するに、リアリティがないということです。何かいろいろ調べたり分析をしているのだけど、迫力がなく、言っていることの価値が実感できない。そんな感じです。コンサルティングファームの中でよく見かけるあるあるです。

こうしたときに大事になるのが「常識的に考えること」です。今回のエントリーでは、常識的に考えることとはどういうことか、なぜそれが大事なのかについて簡単にお話したいと思います。

事業プランの検討を例に

例えば、あるコンサルティングプロジェクトにおいて、クライアントがやるべき事業プランを検討しているとしましょう。メンバーは様々な調査分析を経た上で導き出した事業プランの仮説を、社内ミーティングでアップルに説明しています。

こうしたシーンで、「うーん、なんとなく言いたいことはわかる。けどそのビジネス、本当に成り立つのか?大丈夫か?」といった感想を持つことがよくあります。

なぜアップルが「本当に成り立つのか?」と疑問に感じるかといえば、その事業プランの中核となる”売り物”にそもそも魅力を感じないとか、その売り物に対して誰が何を理由にお金を払うのかという”マネタイズ”がピンとこないからです。

「いや、それ、想定顧客が本当にほしいものなのかね?」
「百歩譲って想定顧客がほしそうなものだとして、本当にそれにお金を払うかね?」

こうした疑問符が付くということです。

こうしたシーンで、アップルが議論を深めるために意識していること(というか半ば無意識にやっていること)が2つあります。それは顧客になりきることと、営業になりきることです。

顧客になりきる

その事業プランで想定されている顧客になりきって考えてみるというのがこれです。顧客の気持ちに憑依するわけです。その上で、当該事業プランのベースとなっている商品、サービス、ソリューションに対し、「あ、これマジでほしいな」と思えるかどうかをシミュレーションします。

筋がよい場合は、「あ、確かにこれは金を払ってでもほしいな」と思えますし、悪い場合は、「いや、金出してまでほしいとは思えんわ」となります。

営業になりきる

その商品・サービス・ソリューションを売らないといけない営業マンになったつもりで、売れそうかどうかを考えてみるというのがこれです。「こういう売り文句で提案したら、押し込めそうだな」。こう思えるかどうかをシミュレーションします。

結局、明確で強い顧客価値があれば、売り文句はただちに思い浮かぶので、顧客になりきったとき価値をひしひしと感じるかどうかと表裏一体です。


この2つの「なりきり」を経て行けそうだと思えるものは、ビジネスとしてたぶんうまくいきます。逆に、このなりきりをしたときに、何かもやもやしたり、引っかかる部分がある場合は、そのビジネスはいくら精緻な分析に裏付けられていたとしても、あるいはきれいなビジネスモデルの絵が描けていたとしても、きっとうまくはいかないでしょう。

したがって上記の「なりきりレビュー」は、かなり肝だし、有効だと感じています。

この「なりきる」という行為は、言い方を変えれば「常識的に考える」ということです。戦略コンサルタントと言えど、最後は常識に立ち戻って考えることが上滑りしないリアリティある提言に落とし込む上で極めて重要と言えます。

様々なシーンで「なりきること」や「常識で考えること」は重要

上記では事業プランの検討を例になりきることの大切さをお話ししましたが、ほかの様々なケースでもなりきることは大事です。

・クライアントの課題を考える際、クライアントの立場になりきる
・打ち手の有効性を考える際、その打ち手の相手が自分だったらどうか、なりきって考えてみる
・クライアント組織の組織や人材の課題を考える際、自社(自分たちのファームや、前職で所属していた組織)と照らしてリアルに考えてみる
などなど

初心者の戦略コンサルタントは特に、つい頭でっかちになりがちです。机上の調査や分析を通じてそれっぽい絵を描いて満足してしまいがちです。もちろん、頭でっかちに考えたりすることも大事ですが、クライアントに対して真に有効なプランや提言をするためには、「常識に照らし、地に足をつけて考えてみる」ことが重要であることは認識しておいた方がよいでしょう。自分自身でそういう思考を要所要所で働かせられるかどうかが大切です。

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