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新MacBook Pro のデザインを勢いと印象で語ろう

2021年10月19日のApple発表会で新MacBook Proが発表されたので、デザインの雑感などを書きたいと思います。

発表直後の勢いと印象で書いておりますので悪しからず。実機が手に入ったら書き直しなり加筆なりしようと思います。

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コンセプトについて

新MacBook Proのコンセプトは明白で、プロユーザーの利便性の強化です。

従来のMacBook Proは、ポートをUSB-Cポート(とイヤホンジャック)に絞ることでシンプルな見た目と「拡張性」を確保してきました。

しかしこれは、外部機器の接続を頻繁に行わないカジュアルユーザーには適していましたが、プロユーザーには不評でした。
たしかに、USB接続に対応する機器についてはUSB-Cモデルを買えば済みます。しかし、SDカードスロットやHDMIポートで接続するべきデバイスをあえてUSB-Cで接続するメリットには欠けていたと言えます。

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プロユーザーに向けた製品を作っているAppleもこの点を無視することはできず、ついに、一度廃止したポート類の復活へと舵を切ったわけです。
Touch Bar廃止も同じ流れでしょう。

新MacBook Proはこうしたコンセプトに合わせてデザインを見直したものと捉えることができます。

筐体のデザイン

新MacBook Proは、Appleが得意としてきた「薄く見せる」形状を避けて、実際の厚みをそのまま見せるような外観を選んだようです。従来のMacBook Proに比べるとやや野暮ったい印象があることは否めません。

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とはいえ、近年のApple製品は実際の厚みにおいて薄型化がかなり進んでいます。最もたる例はM1 iMacでしょう。
見た目だけ薄くみせる必要性は小さくなり、Appleの製品ラインナップは徐々に側面フラットで実際の厚みを隠さないデザインに移行しています。

「薄く見せる」形状の弱点として挙げられるのは、筐体の内部容量を減らしてしまい、設計も難しくなるという点です。
その点、単純な箱型形状であれば、筐体に部品を詰め込むのが簡単ですし、無駄なく使えます。

新MacBook Proでは,ディスプレイパネル側は明らかにその傾向が見られ、キーボード側についてもその傾向を感じさせます。
上にツイートを引用していますが、サイズが本当に揃っているかはわかりませんので参考程度のものですが、筐体の内部容量が増加していることが分かります。

ディスプレイについては、ミニLEDを搭載するための厚みとスペースを確保したのだろうと推測できます。

一方、筐体については、復活したポート類を収められるだけの高さを側面に確保しようとしたのではないかと思われます。

底面側のエッジが丸められている理由ははっきりとしません。
側面から見た時、ディスプレイ側との対称性に欠けるため、やや違和感があります。

この点についてはPowerBook G4(2001)との外観の類似性が指摘されています。
過去製品でも用いられていた点からすると、底面側エッジの丸みは新MacBook Proに固有のデザインというより、もっと一般的な問題を解決するデザインの可能性があります。
例えば、MacBook Proテーブルなどに置いた状態でも持ち上げやすい理由です。

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Apple / http://www.macmothership.com/gallery/gallery9.html

従来機は、底面が膨らんでいたので、持ち上げる際に指を差し入れるゆとりを確保していました。新MacBook Proでは底面がフラットになり、指を入れるスペースを別のかたちで確保する必要性があります。
それが今回の新デザインにつながっているのではないかと思われます。

余談ですが、今回のデザインでは、底面のいわゆる「ゴム足」までフラットなデザインになっています。
筐体の一部も少し飛び出た形状ですが、これは削り出しではなく、後付けのようです。

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このデザインの意図は実機が手に入ったらまた考えてみたいと思います。

ディスプレイのデザイン

そして、待望のフルスクリーン(ベゼルレス)デザインがMacBook Proにもやってきましたが、ノッチまでついてきたというオチでした。

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しかも、厳密にはフルスクリーンではなく、ボトムは従来機と大差ないベゼル幅となっています。
このボトム側のベゼルを削れない問題は、前に記事を書いたのですが、やっぱり解決しなかったようです。

ノッチについてはメニューバーを少し太くしてノッチと一体化させることで違和感を減らす方針のようです。メニューバーの高さよりもノッチの方が高さがあるのは避けたいところですから、違和感がまり減っていないとしてもこのデザインにせざるを得ないでしょう。

画面全体では、ノッチが食い込んでいると見るか、ノッチだけ残して画面が広がったと見るかという話ですね。ディスプレイの表示領域は拡大しているようですからノッチだけ残して画面が広がったと見るのが正しいようです。そう見えるかはまた別の話ですが。

フルスクリーンディスプレイの理想には程遠い気がしますが、プロ向けデバイスとして表示領域の拡大に乗り出した点は評価できるといったところでしょうか。


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