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"Good evening"の概念について、ちょっと真剣に考えてみた。

先日、チェコ人の生徒さんとのオンラインレッスンの終わり際のこと。

私「今日は終わりにしましょう。ありがとうございました。」
生徒さん「はい。ありがとうございました。」
私「じゃあ、また来週ですね。」
生徒さん「はい、そうですね。こんばんは。」(ブチッ)
私「・・・ん?」

17時終わりの授業だったので、おそらく生徒さんは「Have a good evening!」の意味で使われたのかと思いますが、これは間違った日本語ですよね。この時は修正する間もなく去ってしまったので、そのまま授業を終えてしまいました。

言われてみれば、「Good evening」を欧州の人はよく使います。直訳すると確かに「こんばんは」なのですが、「Good evening」は、別れ際にもよく使うので、ちょっと不自然です。

生徒さんの意図したこととしては、「良い夕方をお過ごしください。」とか「素敵なアフターファイブを。」のニュアンスだと思います。これが私の考える「Good evening」の意訳です。でも、日本ではあえてこんな挨拶はしないですよね。その理由を考えてみました。

日本では夕方を楽しむという概念が薄い?

日本に住んでいた時は、バリバリOLをしており、仕事も20時に終われば良い方でした。コロナ前は22時に会社を出ることも普通だったので、アフターファイブを楽しむという概念は新卒の数ヶ月ですっかり消え去っていました。

学生時代は、夕方は部活に勤しむ時間。夕陽を見ながら今日も頑張ったなぁと、校庭をトンボがけしたり、体育館に差し込む光を背負いながらボールをしまったりで、下校時にはすでに暗くなり、そのまま塾に行き、帰宅時にはすっかり夜になっている、というのがほとんどでした。

そう、私にとって「夕方」なんてものは、仕事や勉強をしている間に気づいたら消えて無くなっているものという存在なのです。

去年まで会社員をしていた(家族大好き)父も、夕方に家に帰れるなんてことはありませんでした。仕事して、たまに同僚と飲んで、21時ごろに帰ってくるというのが当たり前でした。

主婦/主夫の方であっても、夕方は夕飯を作ったり、子供の送り迎えに行ったり、スーパーに買い物に行ったりと、1日の中でも忙しい時間帯だと思います。

仕事、家事、勉強と、日本での生活はただただ慌ただしいので、多くの方に共感してもらえるのではないでしょうか。

欧州の夕方の過ごし方

そもそも残業の概念が弱い欧州では、17時に仕事が終わり、18時前に帰宅するのが一般的です。だから、彼らには「夕方」が存在するんですよね。会社の人と飲みに行くこともほぼないので、家に帰ったら家族やパートナーとの時間を楽しむんだそうです。オランダ人の生徒さん(30代後半・男性)は、仕事は10時から17時まで、週休3日で日曜日はとにかく休む。平日は1歳になる娘と妻と夕飯を食べ、ゆっくり時間を過ごして22時には寝る、とのことでした。

これを聞いたとき、欧州ではそもそも「良いevening」にするための工夫が個々人の中で施されているな、と思いました。例えば前述した、会社の人とはあまり飲みに行かないというのもそうですし、ドイツでは、Kaltes Essen(冷たい食事)と言って、パンにチーズやジャムを載せるなど、夕飯は火を使わないもので済ますというのが常識だそうです。

「夕方」にもっと注目してみようと思った。

仕事は17時に終わり、付き合いの飲み会もない。夕飯は、魂詰めて作らなくていい。そんな環境だったら、寝るまでの7時間の存在は確かに大きなものです。

日本人の私としては、温かい食事を家族で囲んでこそいい1日の締めくくりになると思えてならないのですが、たまには「冷たい食事」にして家事の負担を削減し、家族でゆっくり過ごすという考えを見習ってもいいのでは、と思いました。

授業終わりの「こんばんは」が、日本ではあまり重視されていない「evening」という存在にスポットライトを当ててみるきっかけになりましたが、日本語教師の皆さまは、もし同じような状況で「Good evening」と言われたら、生徒さんにどのように伝えますか?ご意見いただけると嬉しいです🙇

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ではでは。

📷カバー写真
チェコ・プラハのヴァーツラフ広場にて🇨🇿

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