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スウェーデンの夏休みに垣間見える人材教育

Life and Studies in Scandinavia という授業がPathway Programに含まれていて、北欧諸国における社会生活や教育について学ぶのだが、そのなかで興味深い話があった。

北欧における働き方といえば、日本でも様々なメディアで取り上げられていて、ワークライフバランスが整っていて、男性の育児休業も法律で定められており男女平等社会であることは広く知られていると思う。Summar Holiday(夏季休暇)は2カ月から3カ月というのも有名な話。

2カ月から3カ月もの長期休暇をどうやって担保しているのか

授業を通して、「日本では絶対無理」と思っていたのだけど、実はきちんと長期休暇を確保するための方策が取られている(会社が休みになるわけではないから当たり前といえば当たり前)ことを知った。
1月頃に、会社・上司は従業員・部下に夏季休暇の予定を提出させ、業務に支障が出ないかを確認し、個々人と調整した上で休暇を承認すると、すぐに求人広告(夏休みのバイト募集みたいなものですね)を出す。
この期間は、スウェーデンではsemester(学期)の終わりから新学期(9月始まり)への移行期間にあたり、学生も長期休暇になる。そのため、多くの学生が、求人広告をみて、自分の興味のある職種や将来就職したい会社などのオファーに募集する。なんて理にかなった、とても合理的なシステム。

夏季休暇期間を利用したインターンシップ

これ、ただ需要と供給を満たして従業員の夏季休暇を担保しているのではなく、学生の長期休暇を利用したインターンシップ制度なのだなと思った。
学士過程であれば3年~、修士課程であれば1年~3年あるため、約3カ月の長期休暇を利用して希望している職域や会社で働くと、9カ月から1年半くらいの実務経験が積める。学生が卒業する頃にはある程度の知識を蓄えておけ、尚且つ、採用する会社側も全くの新人教育を施さなければいけないというわけではなくなる。
しかも、学生は毎年働く職種等を変更すれば自分にどの分野が合っているのかなど就職時までに検討することができるし、会社側は「思ってたのと違ったので辞めます」みたいな就職後すぐの離職(ほかは分かりませんが、我が社はけっこうありました。1週間で辞めちゃうとか…)を防ぐことも可能なのだろうなと感じた。

日本で「働き方改革」と言っているけれど、教育も含めた社会システムの在り方を含めて検討すると、働き手は十分な休暇を確保でき、会社は業務を滞りなく続けることができ、学生は自分の将来を実体験から考えられて、三者が満足できるのかもしれない(「働き方」「教育」などと分けて考えるのではなくて、社会全体を俯瞰して捉えるといいのかも)

トップの写真は、授業のなかで示されたスライドなのだけど、国際社会における日本の将来を考えると、ちょっと哀しくなりました。個人として日本にいるぶんには恐らく問題なく生きていけるのだけれど、これからの世界の在り方を考えると、前回の記事にも書いた通り、言葉の側面からだけでなく、コミュニケーションスキルや国際標準を踏まえた多様なものの考え方を身に付けるために、もっと世界を知る必要があると実感しています。

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