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ピアノが恋人となった日

週に2回は、ピアノに向かう。30分程度だ。今は大洋エチュードを弾いている。

中学生のときにショパンの幻想即興曲を弾いた。

音楽室に僕と友達Y君が一緒に入ると、僕の好きなSさんとその子の友達がやはり音楽室でグランドピアノを弾いていた。「ある愛の歌」だった。

僕と僕の友達Y君が音楽室に入ってくると、その子達は逃げるようにして、ピアノを弾くのを止めて、音楽室から出て行った。

僕の友達が僕にピアノを弾いてほしいというので、僕は幻想即興曲を弾いた。そのY君とは小学校からの友で一緒にピアノの連弾などをして遊んでいた仲だ。

Y君はスポーツが万能で学校の成績が良かった。

ある日、中学でのバスケットクラブの練習が終わると、先生がいないことを確認してから、バレー部のT君が、体育館の舞台近くの隅にある、アップライト型のピアノでショパンの幻想即興曲を弾き始めた。

そのピアノの周りをバスケットクラブの部員たちが囲んですごい、すごいとみんなで関心して聞いていた。

T君は僕の友達よりもさらに、スポーツが得意で、頭も良かった。

この時はまだ、僕はショパンの幻想即興曲は弾けなかった。

この日を境にピアノが僕の恋人となった。

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