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日英直訳が通用しないケース(High context & Low context)

ハイコンテクストとローコンテクスト

先日、グローバル企業に勤める
お友達のN氏からある相談を受けた。

「私の英語ってそんなに発音悪いのかな?」
「いっぱい練習しているのに
全然通じてない気がして自信を無くしてるんだけど
どうしたらいいのかな。」と。

彼はグローバル企業に勤めているので
英会話教室にも通い、英語も一生懸命勉強している。
オンラインの会議などでも特に問題はなかった。

「何が、どう通じてないって思ったの?
どんなことがあったの?」
と聞いてみた。

すると、こんなストーリーだった。

アメリカに拠点を置くクライアント A氏が
交渉のため、先日日本に出張に来た。

実際に直接会うまでもメールのやりとりや
オンライン会議は重ねてきた関係ではあるので
「初対面」と言う感じではない。

更に、今までの会議の中で
それほど英語力による不都合は生じてなかった(と感じていた)。

しかし、今回彼はそのクライアントのリクエストに対して
会社としての意向をはっきりと伝える任務があった。

会議が始まり、色々な案件をこなした後
さあ、いよいよ最終的な回答をする場面になった。


N: "Uhm.... I think it is a little bit difficult for us to accept your company's request."

A: "uh huh, okay?"

N: "...??  So, I am saying…
it is a little bit difficult to proceed with what you requested."

A: "yeah? Okay?" 

N: "....."

何だか全く通じてないように感じたN氏は
自分の英語力や発音に問題があると考え
冒頭の相談に至ったのです。

でも実は、
彼の英語力の問題ではなく

HIgh contex文化とLow context文化の差異

に問題があったのです。

日本では(日本語は)
1を言って10を伝えることが
当たり前のHigh context のコミュニケーションスタイル。

つまり、言葉の後ろにある背景や雰囲気、
文化、話者の表情など
様々なものが入り組んでメッセージとして伝えられる。

一方アメリカ(英語)は、
1を言ったら1を伝えたこと、
10を言えば10を伝えたことになり
言葉そのものがメッセージであり
それ以上でもそれ以下でもないといった
Low contextのスタイルがコミュニケーションのベースとなっている。

そこで今回の問題に
そのHigh contextとLow contextのスタイルを
当てはめて考えてみると、

日本語(日本)では、

「ちょっと難しいですね。」

という表現は、たくさんの意味が含まれており
結局のところNOというメッセージとして捉えることを
期待されていることが多いです。

N氏は「難しい」と言う表現(言葉)を使い
表情や声のトーンなど(context)を加え
相手にその文脈や行間を読んでもらい
「不可能である」と言うメッセージに置き換え
理解してもらうというHigh contextならではの
期待がありました。

更に、それをそのまま英語に直訳してしまったために問題が生じたのです。

「ちょっと難しいですね」=" A little bit difficult"

と言うと、

Low context文化の相手に、

「ちょっとだけ難しいのか!
じゃあ、ちょっと頑張ればできるのか!やった!」

と、なんならポジティブな印象を与えてしまったのです。

私たちの学校での英語学習では
和訳や英訳の練習をたくさんしたため
「訳す」と言うクセがついてしまっている事実は否めません。

今回はその直訳してしまう癖と
異文化コミュニケーションという二つの壁に
ぶつかってしまったN氏。

HIgh contextとLow context の説明をすると
なんだ!そう言うことだったのか!と
笑い話に変えることができました。

色々考えていくと
英語のコミュニケーションって難しい!
と感じてしまいますが、
奥が深くて面白い!と思えることができたら
英語の学習も、英会話へのチャレンジも
どんどん楽しくなるだろうな、と思います。

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