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コンクールを振り返って

フランスレストラン文化振興協会(略称、APGF)note編集部員です。
APGF公式note、今回は、“第15回2013年のメートル・キュイジニエ・ド・フランス・ジャン・シリンジャー杯” 優勝、“2014年プロスペール・モンタニエ国際コンクール” 第3位、の東京ベイ潮見プリンスホテルRestaurant&Bar TIDE TABLE Shiomi 平松 惇 料理長からの示唆に富むメッセージです。
是非、平松 惇 料理長の貴重なメッセージをお楽しみください。


コンクール参加のきっかけ、そして結果

平松シェフ

私がこのコンクールに参加したきっかけは職場の先輩方でした。

ホテル勤務をしている中で同じ館内にコンクールに向かって夜遅くまで試作を繰り返している姿をよく見ていました。

漠然といつか自分も挑戦してみたいなと思っていました。

そんな中でこちらのコンクールの案内を頂き挑戦を決めました。

私の職場からは出場希望者が多く、まずは社内予選が行われ2名の選考に残り挑戦権を得ました。
社内予選ですが、やはり選んでいただけたのはとても嬉しく、全力を尽くそうと決めました。

当時の私はまだ20代。
ホテルでしか勤務したことのない私はフレンチレストランに配属したばかりのころで経験も知識も未熟。

しかしコンクールをきっかけにいろいろな本を読み、先輩に教わりながら初めての料理を試作したり、とても良い経験を積むことが出来ました

地方予選(東京)では3位の通過。

有名店のシェフも参加している中で予選が通ったのは自分でも驚きでした。

決勝では自分の中ではやり切った気持ちがありましたが、まさか全国のシェフの中から一位になるとは信じられませんでした(私の年は300名近くのエントリーがありました)。

表彰式の時に壇上から観客席を見ていて優勝の名前が呼ばれたとき、当時務めていたレストランの料理長がとても驚いた顔をしていたのが今でも忘れられません。

当時、練習を後押ししてくれた会社や先輩、手伝ってくれたチームのスタッフには感謝しかありません


“ジャン・シリンジャー杯” で優勝をして

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優勝をきっかけに本当に人生が変わりました。

翌年のフランス大会にも出場させていただき3位に入賞することが出来ました。

その後マルセイユの3星のレストランで住み込みでの研修をさせて頂き、コンクールの挑戦者に向けた講習会の講師をやらせていただきました。

また、フランス人シェフのフェアや講習会の助手をさせて頂き調理人としてだけでなく人間的にもとても成長することが出来ました。

何よりもコンクールで一緒に戦った仲間ができ、素晴らしいシェフたちとも交流を持たせていただく機会が増え素晴らしい財産を得ることができました。

そして周りから見られる目も変わりました

社内でも表彰していただきいろいろな方が声をかけて下さいました。
しかし、有頂天にならない、謙虚に地道に精進することを忘れないように自分を戒めました。

コンクールだけでなく日々の業務の積み重ねが重要です。


コンクールに挑戦すること、そして重要なこと

平松シェフ 料理

コンクールに挑戦することは自分との戦いになりますが得るものはとても大きいと思います。

結果もそうですが挑戦し考える過程がとても重要です。

またコンクールの時だけに良いものを作ろうとするのではなく普段の仕事を見直すことがとても重要です。

衛生面、安全面、作業工程も大きな審査の対象ですので普段の仕事ができていないとコンクールでは絶対に勝てません。

自分の仕事を見直す良い機会にもなると思います。

具体的なアドバイスを求められることがありますが、

私が考える重要だと思う点を挙げさせていただきます。

・衛生的で基本に忠実な調理動作
・無駄のない料理の構成 時間が短いためシンプルで無理のないドレッセ 写真通りに作れる安定した料理
・メイン、ソース、ガルニチュールにストーリー性があり古典的な要素を取り入れている
・少しの驚き、香りのある料理
・料理を作りこみタイムスケジュールを体得する
・料理、皿の温度
・飾りにこだわり過ぎずシンプルで明確な料理


挑戦してステップアップしませんか?

コンクール会場で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

平松シェフ 料理 (2)

アヴァンセの会
東京ベイ潮見プリンスホテル
平松 惇

撮影・写真提供  岩尾克治(APGF理事)


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