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斬られて候21

是枝に再三断酒を忠告されたが、福富は払いのけた。体を壊していいと思っているし、周りにも宣言している。医者に糖尿病を告げられた時も、そりゃそうだろうよと笑って済ませた。

是枝は呆れ果て、でも下品な愛嬌に溢れる福富を放っておくわけにはいかず、せめてもの栄養剤を福富にあげている。

福富は是枝に貰った栄養剤はまめに飲んでいた。
錠剤の量があるので、効いているかいまいちわからない。効いていたところで何の錠剤が効果をもたらしているのかしらない。健康に目覚めたわけではなかった。是枝に対しての義理を果たしているにすぎない。是枝がいない酒席だろうが、人伝いに栄養剤を飲んでいたと是枝の耳に入ればよいと考えていた。

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