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新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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オンラインで足りないものがあるという気持ちも拭いされない|7/12〜7/16

佐藤李青(東京アートポイント計画)
コロナ禍の日々の記録。平日の仕事を中心に。土日祝は休みます(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の緊急事態宣言解除の日から再開。しばらく続けたい。

2021年7月12日(月) 市ヶ谷

昨日は暑かった。朝起きたときから軽い頭痛があるのは、ワクチンの副反応が続いているのか、寝ているうちに軽い熱中症になったのか。ニュースは今日も突然の雨に気をつけよと伝えている。市ヶ谷に出社し、終業時間までパソコンに向かう。今年度の新規事業「多摩の未来の地勢図」のプログラムについて、NPO法人アートフル・アクション宮下美穂さんから広報文が届く。思考の軌跡が残されたような文面を自分なりに咀嚼し、手をいれる。
宮下さんと電話で少し話をする。「多摩の未来の地勢図」の事業のひとつに多摩の学校の先生たちのネットワークづくりがある。図工などの授業で使う素材の使い方を学び、共有する場づくりを行うことで、個々の現場をつくるだけでなく、先生たちの教育環境のベースアップを試みている。8月の実験授業では「竹」を扱う予定だったが、緊急事態宣言の期間に重なることで実施を再検討する必要が出てきた。自然素材には仕込みが必要で、季節も大事な要素になる。簡単に延期すればいいというわけではない。まずはやれる方法を模索している。そう話す宮下さんの声は、少し重かった。走り出そうとすれば、止まらなければならなくなる。その繰り返しの疲労感のようなものが漂ってくる。
帰宅してから何気なくネットニュースを見ていて、今日から緊急事態宣言下であることに気がつく。「慣れ」という言葉も見出しになっている。数日前に経済再生担当相が「問題店舗」(新型コロナウイルス対策としての酒類停止に応じない店舗)には、金融機関から働きかけをするという発言があった(翌日に撤回)。日常会話に登場するくらい浸透している話題だが、内閣官房、財務省、経済産業省、金融庁の関与も明らかになった。東京都の新規感染者数は502人。先週より160人増。「月曜にしては多いですね」と話すくらい曜日での数字の規模感も日常になった。

2021年7月13日(火) 自宅

終日在宅。はっきりしない天気。だけど、暑い。午前中は係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)。来年度の予算要求の突発的な作業が出てきている。その対応もあるため事務的な確認を中心に、いつもより短い時間で終わらせる。オリンピック・パラリンピック期間中は都内に交通規制がかかるため、郵送物が遅れる可能性があるので気をつけましょう。そんな連絡事項もあった。
英国では19日からコロナ規制を「ほぼ全廃」。マスク着用義務と「屋内交流」の人数制限を撤廃。首相は記者会見で「パンデミック(世界的大流行)は終わっていない」と指摘し、個人判断での警戒を呼びかけ。今年初めは1日あたり1000人を超えた死者数が、現在は10人以下になり、ワクチンによる「免疫の壁」構築を期待とのこと。日本にも、同じような議論をするときがやってくるのだろうか?
雪崩をうったようにオリンピックは各地で無観客になっていったけれど宮城県は観客ありの方針を貫く。それに対して、仙台市長が組織委員会に無観客を要請するとの報道。東京都の新規感染者数は830人。先週より237人増。

2021年7月14日(水) 秋葉原

午前中は休みをとって、小学校のPTA活動。ベルマークを仕分けまくる。事前の作業で同じ企業、同じ点数ごとにセロテープでまとめられたベルマークをチェックする。明治1点のベルマークが続くなかに、森永の2点が混ざっている。こういうのはアウト。数えた枚数と点数を企業ごとに分けられた封筒に記入し、別の人がダブルチェックをしたうえで合計数を書き入れる。こういう単純作業はきらいじゃない。「これって届いたものを企業の人が、また数えるんですかね……」。そんな声も漏れ聞こえてくる。各家庭でパッケージに印刷された小さなベルマークを切り取るところからはじまり、ここに至るまで相当の手間がかかっている。その一連の作業がベルマークという社会活動なのだろう。「もっと効率的にやる方法があるだろう」「人件費に換算してみれば、寄付するほうが安上がりなんじゃない?」。思わず、そう言いたくなるのも、またひとつの価値観に過ぎない。
秋葉原の3331 Arts Chiyodaに移動し、Tokyo Art Research Lab(TARL) ディスカッション「災間の社会を生きる術を探る」の運営ミーティングを行う。テクニカルで入ってもらうスタッフの方とスタジオの機能を確認し、進行に合わせたZoomの画面操作のシミュレーションやナビゲーターとの接続をテストする。実際に試してみると、いくつかひやっとする場面もある。準備は大事。それでも何かあったら焦らず、声を掛け合うこと。場合によっては参加者とも状況を共有し、原因を探り、修正をかける。いざとなればシンプルでアナログな方法に切り替えるのでも構わない。機材や技術があることで複雑に出来てしまうがゆえに、はまってしまう罠がある。ここ一年で学んだことを念ずるように思い出す。まだまだオンライン企画の経験値は足りない。もっと使いこなせるようにならねばと思いつつ、やっぱり、オンラインで足りないものがあるという気持ちも拭いされない。
東京都の新規感染者数は1149人。あまり驚きはない。何気ない会話でワクチン接種の有無が話題にあがるようになった。「ワクチン接種したら、遠距離の移動もしやすくなるんですかね?」。自問自答をするように、誰ともなく聞いてしまう。

2021年7月15日(木) 府中→秋葉原

朝から府中でACF(Artist Collective Fuchu)のミーティングへ。今年度の新たな取り組み「ラッコルタ 創造素材ラボ」の動きかたを議論する。市内の企業から素材をもらい、作品づくりやワークショップなど創造活動に活用しようという構想。どんな素材があるのか? そのリサーチをかねた企業への打診方法を議論する。地域の生活者であるACFのメンバーが持ち寄る情報は、いつも具体的で、誰かが話題をひとつテーブルにのっけると連鎖反応のように他の人がもつ情報と結びついて広がっていく。うまく情報が共有されるだけで動き出すことはあるのだろう。依然として共有の方法は課題だ。
秋葉原の3331 Arts Chiyodaへ。先週に続き、スタジオ302の講習会に参加する。今回もUDトークの使い方を学ぶ。講師の岩沢兄弟・卓さんから、表示方法のバリエーションや異なる用途をきく。現場では、結局のところ、使ってみないとわかってもらえないことも多いのだという。また(UDトークに限らず)話すスピードを配信の仕様に合わせていく必要もあるのだろうという言葉に納得する。オンラインに対応したユニバーサルな話し方……ほしい。
モデルナ製のワクチンを接種して数日後に現れる皮膚の赤みを「モデルナアーム」、もしくは「COVIDアーム」と呼んでいるニュースを見かける。うーむ、この名づけは必要なのだろうか? コロナ禍になってから新しい言葉が日々増えていることが気にかかる。それによって見えなくなっているものがあるのではないだろうか、と。気にしすぎなのだろうか?
東京都の新規感染者数は1308人。どんどん数字は増えていく。

2021年7月16日(金) 市ヶ谷→国立

朝から目 [mé]の「まさゆめ」が話題になっている。都内のどこかに公募で選ばれた「顔」が浮かぶ。オリンピック・パラリンピックの文化プログラム「Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13」 のひとつとして準備が進んでいた。オリンピックとともに1年延期になっていたけれど、今日実行されるとは知らなかった(そもそも「唐突に巨大な顔が東京の空に浮かぶ」というコンセプトのもとで事前告知はなし)。Yahoo! ニュースのトップには画像やニュースが出ずっぱりだった。Twitterでは「首吊り気球」や「巨大な顔」がトレンド入り。賛否両論が渦巻いていた。
市ヶ谷のオフィスから移動し、午後は国立で「ACKT(アクト/アートセンタークニタチ」のミーティング。ここまで議論してきた企画はどれもが、まちなかにある場所や建物を公(おおやけ)にひらいていくものなのではないだろうか。事業が目指すところを確認する。そして、ここでも「まさゆめ」が話題にあがる。帰り道に見れるかなと思いつつも、浮かんでいなかったため断念(朝に浮かんで、降りて、再浮上が何度か試みられていた)。
東京都の新規感染者数は1271人。3日連続で1000人を超えた。神奈川県は独自の緊急事態宣言を22日から発出(新規感染者数は446人、2日連続で400人超え)。ドイツ西部と隣接するベルギーでは大雨の影響により、洪水が発生。夜の時点では死者120人超えとなっていた。

(つづく)

▼ 1年前は、どうだった?(2020年の日記から)

Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021「2020年リレー日記」。1年前の7月の書き手は、大吹哲也さん(NPO法人いわて連携復興センター 常務理事/事務局長)→村上 慧さん(アーティスト)→村上しほりさん(都市史・建築史研究者)→きむらとしろうじんじん(美術家)さんでした。


佐藤李青(東京アートポイント計画)
アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。共著に『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』(生きのびるブックス、2022年)。