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優先順位を付けるというか、全部やりたい|1/11〜1/14

佐藤李青(東京アートポイント計画)

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事中心。土日祝休(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の宣言解除の日から再開。少し休んで「第6波」から再々開。

2022年1月11日(火) 市ヶ谷→武蔵小金井

月曜日が祝日だと週の感覚が一日ずれる。雨が降っていて、寒い。午前は係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)。年度末までの動き、来年度の展開、それから先の見通し……手を動かすことも、考えることも多い。カレンダーを見ても、今週は予定が詰まっている。急いでメールをし、書類をつくり、昼を食べたら、移動する。
小金井アートスポット シャトー2Fへプロジェクトインタビューの収録に向かう。今年度からはじまった「多摩の未来の地勢図」について、NPO法人アートフル・アクションの宮下美穂さんに話を伺う。まずは宮下さんのポートレート撮影から。撮影をお願いした加藤甫さんのカメラはシャッター音がなかった。映像と一緒に撮るときは、音が入らないから便利なのだという。でも、音がないと撮られていて、たまに不満そうな人もいるのだという。気持ちはわかる。撮影者は画面で「撮影したこと」を確認できる。撮られる側は「撮影されたこと」を、あのカシャッという音で確認しているのだろう。
しばらくして、ライターの杉原環樹さん、対話役で東京アートポイント計画ディレクターの森司が到着。「微弱なもの」というフレーズから話ははじまる。宮下さんの個人史を掘り下げながら、いまの社会をどうまなざし、どうアートでかかわりをつくるのか、ふたりの応答が続く。10数年やってきて「はじめてアートが役に立つと思った」という宮下さんのことばが印象的だった。話の流れから推測するに、単純にアートの効用を示すのではなく、アートが役に立たねばらならないほどの社会の厳しさを表現しているように思えた。いい対話だった。
帰りの電車では濱口竜介さんの『ドライブ・マイ・カー』がゴールデングローブ賞で非英語映画賞を受賞したニュースが繰り返し流れていた。映画館で見逃した……と思ったら、まだ上映館はあった。見にいけるか。
沖縄では医療従事者が500人以上欠勤。週末にアメリカでは感染者が増えすぎて、いろんな職場が人手不足になっているというニュースを見たけれど、日本もそうなるのだろうか。東京都の新規感染者数は962人。週平均は前週の10倍になった。

2022年1月12日(水) 市ヶ谷→用賀

午前は「移動する中心|GAYA」のミーティング。次年度の展開を議論する。夕方からはGAYAに関連したヒアリング。ひさびさにremo/AHA!の松本篤さんと水野雄太さんに対面で会って、いろいろと話をする。
ヒアリングでは在宅医療の現場の話を伺う。人の家に入っていって、看取りまで最期の1〜2年にかかわる。部屋のなかで目に入ってくるもの、本人や家族に聞いたこと……あらゆるものを使って、日々向き合う相手のことを知り、どんな希望をもっているのかを考えていくのだという。ヒアリングの少しの時間でも、情景が浮かぶようなリアリティとスキルの奥深さが感じとれた。ただただ、日々の仕事のことを、じっくりと聞いてみたい。もともとは、GAYAで培った経験をケアの分野へ接続できるのではないかという目論見があった。そう簡単ではないことを確認しつつ、次のアクションを構想する。

2022年1月13日(木) 自宅

朝から「ラジオ下神白」のZoomミーティング。音源、映像、報奏会など進捗の共有と懸案を話し合う。感染者が急拡大で、また先が読めなくなってきた。1時間ほどで終えて、あとはパソコンへ向かう。手を動かすこと、考えることが多い。優先順位を付けるというか、全部やりたい。偶然見かけたツイートに打たれる。

泥酔したギャル男の友達が「1日が24時間なのやだやだ」って言うから、何時間がいいの?って訊いたら「は?任意」って言われた。そだね。

午後は都立大の非常勤。数か月かけて1年ずつ順番に読んできた『あわいゆくころ』は「五年目」に入った。瀬尾さんがほかの災厄に目が向き、いろんな土地を「歩きはじめる」ことが書かれている年。震災から時間の経った神戸に行ったこと、熊本地震が起こった現場を訪れたこと、広島での出会いのこと……そのなかで災厄の「強い経験をした土地」として「東京」が地名だけ記されていた。そこに引っかけて、関東大震災と東京大空襲、早乙女勝元さんと「東京空襲を記録する会」、東京大空襲・戦災資料センターのこと、東京都慰霊堂と東京都復興記念館を話す。こうやって見ると、東京は災厄の「強い経験をした土地」だと、よくわかる。でも、必ずしも、いまを生きる人たちの間で「強い」記憶として共有されているわけでもない。それは単なる時間の遠さがもたらすものなのだろうか? 記憶を巡る社会的な装置や歴史的経緯が影響しているのだろうか? 神戸や広島のことを思い起こしながら考える。
東京都の新規感染者数は3,124人。都知事は「病床使用率20%の段階で重点措置、また50%の段階で緊急事態宣言の発出について要請を検討」とし、「社会活動の停止を回避する重要な局面」と発言。職場から3回目の職域接種の希望調査の連絡が来る。

2022年1月14日(金) 市ヶ谷→秋葉原→市ヶ谷

今週は濃かった。いろんな人の話を聞いて、いまだ消化し切れていない。頭がぼんやりしつつも、午前は市ヶ谷のオフィスで作業をし、午後は秋葉原のROOM302に移動して「東京アートポイント計画事業・共催団体選定会議」。外部委員の方々を交えて、来年度の事業の継続と非継続を審議する。各事業を担当のプログラムオフィサーから報告し、委員のみなさんに意見をもらう。
東京アートポイント計画の「わかりにくい価値」を、どう伝えるのか(社会の一般的な理解の「逆張り」のやりかたなのではないか)。「できなかったこと」を話すのが大事だ。選ばなかったことがどうなったかを追うのは、自分たちの選択を検証するためにも必要だ。事業を通じて生まれたコミュニティは、事業後にどうなるのだろうか。ライフスパンを超える時間軸で、ものを考えるのは難しい。「当事者」をどうつくるか。モチベーションは誰がもつのか。弱・目的性、あいまいさを維持しつつ経済をつくること、アートと言わないで擬態すること……手元の説明資料にメモをとる。
その後は市ヶ谷に戻って、パソコンに向かう。東京都の新規感染者数は4,051人で、4,000人超えは昨年8月27日以来。全国では22,045人で、20,000人超えは「第5波」の9月1日以来。8月20日に記録した全国最多数25,990人に迫る。

(つづく)

▼ Tokyo Art Research Lab ディスカッション「災間の社会を生きる術(すべ/アート)を探る」のレポート、全6回分が公開中です!(リンク先、末尾にリストあり)


佐藤李青(東京アートポイント計画)
アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー。東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab、Art Support Tohoku-Tokyo(-2020)を担当。共著に『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』(生きのびるブックス、2022年)。