騙された! こんなのありか!
誰に? CADに。(同じ場所の寸法表示が違ってる)
ここのところ、製作にCADは手放せないツールになっていました。
3Dモデルで形状を確認して2Dの図面を作成し、それに従って加工するという手順です。
3Dモデルで部材の取り合いとかを確認できるので、確実にミスは減ったと思います。
…というか、もう、CAD無しでは「ミスの鬼」状態になって製作どころじゃなくなる可能性大。(笑)
CAD使ってたって間違うんだから。
加齢&鬱気味の頭では間違うなって言う方が無理ってもんです。
…で、お客様からサイズオーダの作品を制作途中の出来事。
いつものように3Dモデルを作成し、お客様にご了解を頂いた上で2D図面を出力して制作に入りました。
今回製作しているのは「棚板が引き出せる抽斗」で、抽斗無しの棚板3段の仕様。
サイズもご指定の一品ものです。
一昨日、天板・側板・底板を組み立てました。何時も仮組無しの一発勝負なので、とても緊張する作業です。
蟻組がきつ過ぎて入らなかったりすると、本当に悲惨で、最悪、それまで加工してきた部材を全部、廃棄という事にもなりかねません。
「仮組して硬さを確認してから接着剤を入れれば良いじゃん」
と言われそうですが、そうすると、組手が潰れて隙間が空いてしまうんですよね。SPFのような柔らかい材を使っていると、特に目立ちます。
接着剤の水分である程度は戻りますが、それでも…
なので、ちょっと様子を見る位に合わせる事はしますが、組手同士を嵌めこむことはしません。
今回もそんなこんなで緊張の時間でしたが、無事に組み立て終わり、一日置いてクランプを外しました。
「まぁ、良いでしょう」という感じで組みあがったので、ホッとしていたんですが、
一応、寸法を確認しておこうと思って、スケールを当てたら…????
なんか、上段2段分の寸法がおかしい。
途端に背中がヒンヤリとしました。本来は、上段2段分の空間は同じ61mmのはずなので、棚板の寸法を加味すると
65mm、69mmのはずなのに最上段が51mmしか無い。
色々、確認していたら、そもそも側板の高さが287.5mmの筈が、273.5mmしかない事に気付きました。(;_;)
なんで、こんな事に… 何度も確認したはずなのに。
「いよいよ、俺の頭も崩壊したか。」
こんなミスするようじゃ、もう、この先、やっていかれん。
そう思いました。
図面はちゃんチェックしていたはずだし、スケールの読み違い(これ、良く有るんです。1cm間違えて、となりの目盛りで切断しちゃったり…にしては、寸法が中途半端すぎるし。
キツネに騙されたのか。…な訳ないよね。
うんざりして母屋に帰って、CAD図面を眺めていて気づきました。
同じ個所の寸法なのに表示が違っている事に。(なんてこと!)
モデルをいじっている途中で側板の高さも変更しているのですが、この変更が2D図面に反映されていなかったようです。
新たに寸法線を追加すると、正確な値が表示されるけど、古い方は更新されないまま…
なんてこった。完全にやられました。
自分の頭は崩壊していませんでしたが、これは悩ましいです。どの寸法を信じたら良いのか分からないんですから。
これまでは、3Dモデルを変更すると2D図面にも自動で反映されていたので安心していたのですが…
結局、約3週間分(他の仕事も色々やってましたが)の作業と材料がフイになりました。
新たに材料を買って作り直さなきゃいけません。納期も余裕があるとは言えないし、ダメージはでかいです。
せめてnoteのネタにでもしなけりゃ、やってられんです。
オープンソースのCADだからね。仕方ないっちゃそうなんだけど。
でも、有料でもこういうのは保証してくれないんだろうなぁ…。
11/15追記
新しい材料を探し回って、よく目の詰まった柾目の建具にも使えそうな良材に出会えました。大きな節も有りましたが、上手く避けることが出来、他に欠点も無かったので、側板、天板は剥ぎ合わせ無しの一枚板です。
年輪を見た感じ、樹齢は200年を超えていそうで、貴重な材だと思います。
ホームセンターでも、ごくたまに、こういった板が並んでいることがあります。何時も注意していて目敏くGETしてます。
自分達が産まれる遥か昔から生きてきた木が、縁あって自分のところにやって来て作品に産まれ変わりつつあります。そう考えると、当然、無駄には出来ないし(失敗も)、神妙な気持ちにもなります。
いずれにしても、お客様にとっては、良い知らせですね。
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