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長編小説『海の青より、空の青』

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拙作長編小説『海の青より、空の青』全54話+1話のまとめです
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#青春

海の青より、空の青 第1話

あらすじ 一人暮らしの祖母が体調を崩した。 高校二年の夏休みを翌日に控えていた夏生は祖母…

青空野光
4か月前
8

海の青より、空の青 第26話

そういうところ 「夏生くんって、ちょっと変わってる」  夜店でフランクフルトを二本購入し…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第28話

浜栲  昨夜は家に帰った途端、日付が変わる直前まで大人たちの宴会に付き合わされてしまった…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第29話

二人の目指す場所  潮騒に混ざり、たまに遠くの方から海鳥の鳴き声が聞こえてくる。  海原…

青空野光
4か月前
5

海の青より、空の青 第30話

灯台  短い休憩を終え飲み終わったジュースの缶をゴミ箱に投入すると、灯台のある海に突き出…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第33話

見たかったなあ  祖父母の田舎から自分の住む町へ戻ってきた僕は、さして好きでもない部活に…

青空野光
4か月前

海の青より、空の青 第34話

第四章 高校一年美沙  将来の夢など一ミリも持ち合わせていなかった俺は、家から比較的近い場所にあり学力に見合った高校に進学した。  この学校を選んだもう一つの理由は、部活動への参加が強制ではなかったことにある。  中学では二年半続けたバスケットボールだったが、結局のところ俺には全く才能がなかったし、高校でも続けたいと思うほどの愛着もなかった。  晴れて栄光の帰宅部となった俺は委員会にすら所属することも無く、非常に怠惰な高校生活を送っていた。  入学して一ヶ月が経ち、林間学

海の青より、空の青 第35話

女難の相  目覚ましのスヌーズ機能を使わずに起きたのはいつ振りだろうか。  六時ちょうど…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第41話

ワンオペ  体育館の床には等間隔に座布団が敷かれており、その前には一枚の薄っぺらな板が置…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第42話

それより僕と  カレーをたらふく食べた後、俺の苦労の跡が在々と残る調理台やコンロを片付け…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第44話

闇夜を駆ける  俺たちのゴールが最後になったのは、どんなに甘めに見積もったとして九割は生…

青空野光
4か月前

海の青より、空の青 第45話

枯れ尾花  それは深夜のことだった。  俺は突然、目を覚ましたのだった。  ルームメイトた…

青空野光
4か月前
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海の青より、空の青 第46話

母からの依頼  高校二年一学期の終業式を翌日に控えた、七月のその日。  学校が終わり家に…

青空野光
4か月前
1

海の青より、空の青 第47話

変わらないもの  終業式が終わると手早く帰り支度を済ませて家路に就く。  駅の駐輪場で出会った親友と一緒に乗った電車は、あっという間に自宅の最寄り駅へ滑り込み、その直後には灼熱のホームに俺を放り出した。    二時間半を掛けてやってきた俺と母を出迎えてくれた祖母は、その手に大きな枝切り鋏を携えニコニコと微笑んでいた。 「お母さん、寝てなくて大丈夫なの?」  その祖母はといえば、母の心配を余所に「あんたら姉妹はいっつも大袈裟なんだよ」と苦笑いを浮かべた。  遺影の祖父に挨拶し