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二人の目指す場所 潮騒に混ざり、たまに遠くの方から海鳥の鳴き声が聞こえてくる。 海原…
灯台 短い休憩を終え飲み終わったジュースの缶をゴミ箱に投入すると、灯台のある海に突き出…
夏の終わり 彼女が夢の世界の住人になってからかれこれ三〇分は経つが、そのあいだ僕は身じ…
こんなにも 二つの影が繋がっていたのはたった数秒でしかなかったが、それは僕にとって永遠…
見たかったなあ 祖父母の田舎から自分の住む町へ戻ってきた僕は、さして好きでもない部活に…
第四章 高校一年美沙 将来の夢など一ミリも持ち合わせていなかった俺は、家から比較的近い…
女難の相 目覚ましのスヌーズ機能を使わずに起きたのはいつ振りだろうか。 六時ちょうどに布団から抜け出すと、すぐに朝食と身支度を済ませて玄関で靴を履く。 荷物でパンパンに膨らんだスポーツバッグを車のトランクに積み込み、自身も後部座席に乗り込んで母がやってくるのを待った。 程なくしてやってきた母に道順を伝えると、白いボディーを朝露に濡らした車は軽やかに動き出す。 「あ、お母さんあのコンビニ」 運転席と助手席の間から身を乗り出してその場所を指差す。 コンビニの軒先に
東へ 集合時間が十五分後に迫り、ジャージ姿に大きな荷物を抱えた学友たちが集まりつつあっ…
枝打ち名人 バスはやがて海岸線から離れると、ふたたび見知らぬ市街地を経由してから民家も…
山道 林間学校二日目の朝は、ちょっとした騒動で幕を開けた。 「本当だって! 窓の外から…
朱音 絶景に目を奪われているだろうと予想して覗き込んだ彼女の瞳には、何カラットもある宝…
管理棟の秘密 「ナツオのバカ! どこに行ってたの!」 食事を終えてバンガローに戻ったそ…
ワンオペ 体育館の床には等間隔に座布団が敷かれており、その前には一枚の薄っぺらな板が置…
それより僕と カレーをたらふく食べた後、俺の苦労の跡が在々と残る調理台やコンロを片付けてからバンガローへと引き上げた。 一息つこうと二段ベッドに腰を下ろしたその途端、激しい睡魔が襲いかかってくる。 それは考えるまでもなく、四人分の労働を一人で行った結果であった。 このまま横になることができればいいのだが、あと三十分もすればキャンプファイヤーと肝試しが控えているのでそういう訳にもいかなかった。 いっその事一足先に、集合場所である管理棟前に行ってしまおうか。 そう思