元気になる日々



「今日も疲れたぁ」

なんて家に帰って、玄関に座って靴ひもをゆるめ窮屈な靴を脱ぎ、臭くなった靴下も脱いで、洗面所に直行して手を洗って、コンタクトを外して、鏡を見るともなく見ると普通に自分の顔が映っていたりして、「今日の前髪イケてたかな?」なんて前髪を触ったりして、

「ふぅ、自分お疲れ!」

なんて思って、冷蔵庫に向かって扉を開けて、「ハンバーガーとか入ってないのかぁ」なんて思って、作ってあるお茶に手を伸ばして、それをミルクパンに注ぎ、お腹の弱い自分の為にあっためて飲む。

その段階で、やっと家に帰ってきたなと実感する。

しかしまだまだ安心なんてしてはいられない、一日頑張った自分(臭い)、をお風呂に入れてあげなくてはいけない。

途中で寝転んだり、座ったりしては、その瞬間にお風呂は1万キロも遠くに離れてしまう。

「よっしゃぁ!風呂に入るかぁ!」

自分の尻ではなく、心を奮い立たせ、ぬるっとお風呂に入る。

脱衣所に行って、服を脱いだからと言っても安心はできない、風呂に入り、体を洗う、髪も心底面倒だけど洗って、(この時に髪を乾かすときの事を考えては心が病むので洗うことだけに集中する。)やっと浴槽にダイブする。

「ああぁぁぁぁぁぁ。疲れたー。」

考えるすきを私に与えず、疲労が口から漏れる。


そう、私は毎日こんな調子で疲れているのだ。

毎日、毎日、疲れている。

もちろん、朝からだるい日もある。


でも何故か、毎日何とか生きている。


多分、私は毎日疲れていると同時に、毎日疲れているよりもほんのちょっと多く、元気になっているんだと思う。

その元気はどこから来るのかと言うと、夏の空の入道雲だったり、公園で遊ぶ子供たちだったり、掃除された廊下だったり、風に揺れるカーテンだったり、に付随するキラキラと揺らめくなにかから来るのだ。


臭くなった靴下は、私が丁寧に洗って干せば、それだけでまた私に元気をくれるし、面倒なお風呂は、上がった時には気持ちが良くなっていて、髪を乾かす時なんて、「こんなに疲れているのに、髪を洗って、ちゃんと乾かして私って偉すぎる!」なんて、寝る前にいい匂いがする髪の毛でご機嫌に眠りにつけるのだ。


もしも、毎日が疲れるだけだったら、私は3日と生きていけないだろう。


ある日の疲れ切った入浴タイムに、「どうしてこんなに毎日疲れているのに生きていられるのだろう?」と考えていてふと閃いた考えであります。







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